表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
転生大賢者の現代生活  作者: サクラ近衛将監
第二章 異変

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

17/18

2―5 異界の調査 その三

 異界の中での時間は、外の世界に比べると随分と引き延ばされているから、儂が結構な調査時間を使っても大丈夫なのじゃ。

 政府が秘密にしておる調査報告書では、概ね地球側の1時間は、異界側の98時間程度に該当するはずじゃ。


 念のため、デジタル腕時計を持ち込んでおるから、後で外の世界との違いを確認するつもりじゃ。

 仮に98倍とすれば、こちらの時間で半日(12時間)過ごしたとしても、地球では精々7分強程度の時間経過にしかならぬはずじゃ。


 そのために、今回の調査は概ね半日、いや、この異界で陽のあるうちに限定しておるので、もっと短くなるはずじゃ。

 次回は夜行性の動物がいるかどうかも確認しようと思うてはおるが、異界からのモンスター侵攻が無い限りは、焦る必要もなかろう。


 但し、何時何処で何が起きるかわからないので、この内部調査が終わった時点で、日本国内のドーム・・・、いや、もしかするとゲートなのかな?

 いずれにしろこの特異点の場所を全てチェックしておいて、儂が何時でもその近傍に出現できるように備えておく必要がありそうじゃ。


 うーむ、平穏な生活を望んでいたに、このままでは普通の高校生活なんぞは望めぬかもしれないのぉ。

 儂は、そのままワイバーン若しくはそれに似た飛行生物の動向に注意しつつ、空中から監視を続けているのじゃが、パラサウロロプスに似た恐竜(いや、ここではもう『パラサウロロプス』にしておこう。)に動きが有った。


 後ろ足で立っていた個体が、突然に悲鳴にも似た叫び声をあげると、一斉に、恐竜たちが同じ方向に走り始めたのじゃ。

 個体差もあって、どうしても小さな体躯のものが後れを取る。


 或いは子供なのかもしれぬが、それにしてもパラサウロロプス集団はそれを一切(かば)う様な行動を見せない。

 種の保存本能が有るのであれば、ある意味で異様な行動じゃな。


 そうしてこの行動の意味をすぐにも知ったわい。

 パラサウロロプス集団が逃げる方向とは反対方向から、巨大な体躯の恐竜が凄い速さで向かってきているのじゃ。


 傍に寄ってみると、鎧竜或いは甲殻竜とでもいうべきなのか、黒っぽい鱗と尖ったとげのような甲羅を有する体躯を持っているのが見て取れた。

 頭部は、まぁ、中世のおとぎ話に出て来るドラゴン風じゃが、但し、スケールが違うな。


 全体的にみると何となくワニに似た形状でもあるのじゃが、長さが優に40mを越え、六本の太い足を持っているのじゃ。

 その六本の足を器用に動かして、かなり速い速度でパラサウロロプス達を追いかけている。


 明らかにパラサウロロプスよりも移動速度が速いから、いずれ追い付かれるのは間違いないじゃろう。

 ここで儂が介入することもできなくは無いのじゃが、この異界では弱肉強食が常であろう。


 そこに同族でも知己でもないパラサウロロプスを助ける義理は無い。

 この場では、儂は単なる傍観者に過ぎぬのじゃ。


 パラサウロロプスが時速40キロから50キロで走っているとすれば、六本脚のでかい恐竜はその倍の時速100キロ近い速度で迫っておるから、いずれパラサウロロプスは捕まるじゃろうな。

 その時点では、おそらくパラサウロロプスの集団はばらけてしまうじゃろう。


 この怪物は、とても集団で抵抗できる相手では無いのじゃ。

 およそ10分後、遅れていたパラサウロロプスが最初の犠牲となったが、一嚙みして倒すと、その場で食うのではなく、次の獲物に向かって突進した。


 もしや、このでかいのはラノベで云う地竜なのかな?

 まぁ、取り敢えずは地竜とでも言っておこう。


 この体躯からすると、おそらく小型のパラサウロロプス一頭では餌としては足りないのじゃろうな。

 じゃから、次の手近の獲物を狙って動き始めたということじゃろう。


 手近にいたもう一頭を倒すと、今度はそいつを引きずって、もう一匹の獲物のところに戻り、そこで(むさぼ)り始めたわい。

 その様子を詳細に語っても仕様が無いから省くが、二匹のパラサウロロプスを食べて満足したのか、ゆっくりとその場を地竜が離れて行った。


 すると途端に、上空を舞っていたワイバーンどもが競い合うように地上へ降りたって残骸をかじり始めたわい。

 やはり、死肉漁り(スカベンジャー)のようじゃな。


 パラサウロロプスのような比較的大型(?)の恐竜ではなく、小型のモノがいて単独なれば狙うのじゃろうが、どうもこの異界においてワイバーンの序列はさほど高くは無いようじゃな。

 但し、仮に異界から出て、地球に降りたてば、その序列は非常に高いものになるじゃろう。


 地球の野生の動物でワイバーンに勝てるものは少ないじゃろうと思うのじゃ。

 人間も余程高性能の武器を持っていなければ、単なる生餌になり果てるじゃろうな。


 一般人ならば、大の大人でも空中にかっさらわれて、巣の中で餌にされるのが落ちじゃ。

 いずれにせよ、この異界のモンスターどもに儂の魔導が効くのかどうかを一応試しておかねばなるまいな。


 そんなわけで、かわいそうな気もするのじゃが、目についたモンスターの討伐を試してみることにした。

 まずは地上にいる死肉漁り(スカベンジャー)のワイバーンじゃな。


 ひとまず地上に降りているワイバーンを狙って、ロックバレットを放った。

 ふむ、一撃でワイバーンの頭部を貫通しており、瞬殺じゃな。


 それに驚いたワイバーンが空中に跳び上がったのを確認して、もう一匹をアイスランスで攻撃し、これまた一発で撃墜に成功した。

 ラノベではこうした魔物には魔核があることになっておるのじゃが・・・・。


 ふむ、儂の感知魔法で確認すると、確かに体内に魔力が蓄積された部分があって、歪な球形を呈しておる。

 転移魔法で二匹のワイバーンから魔石と思われるモノを取り出し、儂のインベントリに保管しておく。


 あるいは後々役立つかもしれぬからのぉ。

 少なくとも前世では人型のモンスターから出た魔石は、魔導具の動力源となっていたから、あるいは魔導具の核として使えるやもしれぬ。


 その後数時間を異界の調査と試験的討伐で過ごし、陽が暮れて来たので、儂はドームから地球へと戻ることにした。

 因みに、その調査の間、かなりの水平距離を移動したはずじゃが、生憎と他のドームらしき特異点がある場所は感知できなかった。


 今一つ、儂の宇宙服じみた保護服は、短時間であれば成層圏にも行けるので、二十回ほどの連続垂直転移で上空(多分高度400キロm前後)へ跳んでみたが、生憎とこの異界の惑星の大きさを実感できなかったのじゃ。

 これほど高度をとれば、曲がりなりにも球形の惑星の一部が見えるじゃろうと思っていたのじゃが、当てが外れたわい。


 生憎とこの惑星の大きさを測れるような器具は何も持っておらぬからわからぬのじゃが、少なくとも地球よりはかなり大きな惑星ではないかと思われるのじゃ。

 但し、それにしては重力が大きくなさそうなので、理屈に合わぬのじゃが・・・。


 そもそも重力の概念そのものが幸次郎の身体に転生してから、初めて知ったものじゃでな。

 まして、異界とつながるドームの出現と合わせて、どんな事象が起きようと不思議ではないじゃろうと思っておる。


 儂が異界で過ごした時間は、およそ10時間ほどじゃが、地球では6分ほどが経過しておったな。

 これはドームの周辺に置いたゴーレムの内部に設置したデジタル時計で確認したから間違いはない。


 となれば、野津幌(のつほろ)のドームでつながっている異界も、この不科澤(ふかさわ)のドームでつながっている異界も、おそらくは同じ異界であろうと推測できる。

 これがもしも時間経過の違う異界であったとすれば、それぞれの特異点で異なる異界へとつながっている可能性もあったのじゃが、その懸念は薄れたかな?


 但し、正式な調査は少なくとも自衛隊が行った三か所の調査結果如何になるだろう。

 実のところ、時間経過については、そもそも時間推移が異なるなど予測していなかったことから、準備不足もあった上に、計測誤差が有って判然としないことから、第二回目以降の調査で精査することになっているようじゃ。


 まぁ、その辺は政府もしくは自衛隊の仕事に任せておこう。

 さて、不科澤(ふかさわ)には、儂の作った監視ゴーレムを設置したが、残り8カ所のドームについても位置を確認し、北海道の6カ所を含めて監視ゴーレムを配置することにする。


 北陸の富山県富山市八緒(やお)縫ノ谷(ぬのたに)、関東の栃木県佐野市富余城(とよしろ)町、中央高地の長野県岡谷市にあるゴルフ場、東海の愛知県北設楽郡登夜音(とよね)村、近畿の滋賀県蒲生郡竜汪(りゅうおう)町、中国の広島県府中市要度(ようど)町、四国の高知県志万斗(しまんと)町、九州の熊本県上益城郡にある大屋野原(おおやのはら)の八カ所じゃが、いずれも山中、たんぼ、はたけ、公園などであり、大都市の真ん中に出現した特異点はないのが幸いだったやも知れぬ。

 報道によれば、米国西岸の加州サンタクルーズは、観光とビーチで有名らしいのじゃが、高速道路脇にある教会のすぐ南側に突然ドームが出現し、住宅地の1ブロックが消滅したそうじゃ。


 残念ながら、そこにあった個人の住宅7戸とそこに住んでいた住民は消息不明のままじゃ。

 サンタクルーズでは、州兵と警察がこのドームに入って調べたそうじゃが、住居も住民も見当たらず、小型恐竜の群れに襲撃されて、命からがら逃げ帰った経緯があるらしい。


 特異点であるドームの出現した国では、いずれも鋭意調査を進めているが、余り調査が進んでいるところは無いうようじゃ。

 何れの場所でも、異界側の地形が調査を難しくしているらしい。


 確かにいきなり山岳部の頂上やら、ジャングルよりも密度の高い植生と巨木に阻まれてはまともな調査ができないじゃろうな。

 それでも準備を整えて徐々に調査を進めているようじゃぞ。


 九州大屋野原からの帰路、北海道の6カ所の特異点にも儂の監視ゴーレムを配置したわい。

 いずれも単なる岩塊であり、藪の中に設置しておけば誰も不思議には思わぬはずじゃ。


 監視カメラでは無いのじゃが、空間把握の魔導具と通信魔導具が内部に仕込んであるから、儂が自宅に居っても鋭意監視はできるのじゃ。

 じゃが、仲間山に監視ゴーレムを設置した際に、ドームでは無くて別の場所にほんのわずかな違和感を感知した。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ