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異世界の君、復興物語 ~狩猟技術と農家の知恵でお国復興しちゃいます~  作者: ezodate
第20章 葡萄畑発展譚

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第365話 葡萄畑発展譚(4)

 作業が終わって割とへとへとな夜、晩御飯はミアカ村で食べることになった。今回は兄と私の合わせ技晩餐会となるというなかなかなハードルの高さを見せることとなった。


 兄に任されたのはのはホワイトシチュー。しかも、ホワイトソースは兄が先に作って保管していたものを分けてもらうというショートカット。前に私が言っていたレトルトを開発して欲しい、の、前段階の開発らしい。兄の得意な魔法は水と熱、要するにこれ、レトルト食品が作れる。現在実験中らしいけど、手始めにホワイトソースを作り実験していたらしい。

 ということで、試作品を消化するためにも私がホワイトシチューを作ることに。


 巨大な寸胴鍋2つ分の材料を一気に切って調理していく。肉についてはこの世界の鶏肉っぽいモンスター肉。この世界で一般的に流通しているのはモンスター肉ではなく、動物肉。ただ、兄も私も狩りにいく系冒険者なので、モンスター肉で事足りてしまうのでほぼ動物肉は購入していない。


 この世界で分かったことは、飼育動物、野生動物、モンスターが食肉対象。飼育と野生は技術が必要となるけれど、モンスター肉はそれこそ上位ドロップ出ない限りは肉はなぜか知らないけどモンスターの姿そのままのドロップにはならない。最初の血抜きや解体の手間がかからないのはありがたいけれど、兄曰く「所詮その程度の肉」らしいので、一定以上の肉だとモンスターままになるのは理にかなっているとか。どういう意味じゃい。


 ゆえに、私がレベルがあがって仕留めたモンスターをしっかり精肉まで行った良い状態の肉を期待している、らしい。ハードルが高いけどそのぐらいやって見せたいところではある。


 そんなことを考えながらも手だけはちゃんと動かす。


「本当は米飯で行きたいんだけど」


 そう言いながら兄はパンをどこぞから出したパン窯でパンを焼いている。焼成前の種は既につくってあったという。別に焼いたパンでもよかったとは勝手に思うものの、ミアカ村のみんなには焼き立てでしょ、だそう。

 ところでトースト1つとっても謎に兄がヒーティングすると美味しい。いくら霧吹きしたり工夫してみたところで謎に及ばないのはなんでなんだろう。腕?

 

「兄さんの焼くパン美味しいし、シチューだからパンで良いと思うよ?」

「それはそれとして、まだ米を代用できるもの、見つかってないんだよね」

「種籾がない……玄米にしていなければ……」

「いや、うち米つくってないからそもそも玄米か白米しかないよ。いとこの家はつくっていたけれど、うちは牛ちゃんメイン、米要素皆無」

「そうなんだよ。畑作と酪農はなんとなくいけるけど、稲作が……」

「私も手伝いにいったことしかないよ。前の異世界では?」

「これが米らしきものはあったんだけど、味が品種改良前の道産米。ゆきひかりに近いかな?」

「ああ、アレルギー持っている人には食べやすいお米だっけ」


 もっぱら最近家で食べていたのはななつぼしかゆめぴりか。


「品種改良を行うにもお前みたいに時魔法とかがないし、まずもって知識がない。結論諦めた」

「え、兄さんが?」

「餅も餅屋もなければ諦めるだろ。別のアプローチでの料理はしたけれど、こればかりは再現のしようがなかった」

「そうなんだ……」


 大鍋を混ぜながら、いくら食に貪欲だったとしても無理なものは無理なんだ、ってちょっと残念な気持ちになる。何気に兄は万能の生き物だと思っていたから。


「そこでお前だよ。時魔法もバイオサイエンスの知識もある!」

「正直私が努力したところでそこまでの結果を出すのは大変だから、手っ取り早いのは魔女さんのリソースを潤沢にして私たちの世界から転写してもら……」

「それはさすがに最終手段だろ?」

「やっぱりそうか」

「しかも転写する座標が定まらない。ってことでズルはしないけど最大限使えるものは使って生活環境を整えるのが良いと思うな~お兄ちゃんは~」


 そう言って兄は日本刀の短刀のような包丁を取り出す。きらめきがえぐい。

 そこからはすごかった。一気にキャベツを切り、続いて玉ねぎを切り水にさらす。あ、これスタンダードなサラダだ。


「シチューにイモ入れたよね?」

「入れた」

「じゃあポテサラはいらないね。グリーンサラダでいっか」

「ミニトマトが欲しい」

「ああ、いろどり。あったかな……ないからラディッシュでいいか?」

「仕方ないなあ。我慢する~」

「それほどのものか~?」

「それほどのもので~す」

「ドレッシングは?」

「醤油系か胡麻でいいんじゃないかな。青じそとか梅じそって私たちならいいけど、ミアカ村の人たちにとっては」

「未知だな」

「そうそう。じゃあ玉ねぎドレッシングにするか~」


 こう、惜しまずひと手間かけていく姿勢。さすがだなあ、と眺めていたらアオくんが私と兄の間に割って入ってきて、興味津々な顔をしていた。


「どうした、アオ」

「それ、よかったら教えてもらえませんか。あにさんが作ってるってことは、生野菜が大体美味しくなる魔法のドレッシングなんですよね?」

「まあ、大体の食材には」

「なぜか生野菜がそれほど得意じゃなくて。味つけ次第でいけるかな……って」

「じゃあ、これを食べてお世辞抜きで美味しいとおもったのならば、その時な」

「わかりました!ありがとうございます」

 

 兄の視線は常に手元。私の手は常にレードル(焦げないように混ぜているだけ)。シチューとパンとサラダだとまるで昼食なので、晩御飯らしくなるような工夫……これからするんだろうな。

お読みいただきありがとうございます。

現在不定期更新となっていますので、更新予告はX(@ezodate)をご覧ください。

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