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英雄は世界を救う。でも、世界を住みやすくするのは八百屋でした ~勇者も魔王も悪の組織も常連です~  作者: 伝説の男前
知らんけど

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第74話「運搬作戦」

長との、話し合いを、経て、ある、計画が、立てられることになった。



「藤原殿に、ウランを、たくさん、口に、含んでもらい、あの、鉱山まで、運ぶのは、どうだろう」




アルフレートが、そう、提案した。



「藤原さんの、口の中に……」



誠は、少し、考え込んだ。



「藤原さん、それ、大丈夫ですか」




「うーん……試してみな、分からんけど」



藤原は、少し、考えるように、首を、傾げた。



「うちの、体の中に、入れる、ちゅうよりは、一時的に、"運ぶ"だけやったら、多分、大丈夫やと、思うで」




「あの鉱山まで、随分、距離が、ありますが……一度に、飛べますか」



宮田が、心配そうに、尋ねた。



「正直、無理やと、思うわ」



藤原は、正直に、答えた。



「一気に、あの距離、飛ぶんは、しんどいで。休み休み、やらな」




「では、休憩を、挟みながら、少しずつ、運ぶ、ということで」



誠が、そう、まとめた。





長も、この、計画に、賛同してくれた。



「里の若い者を、何人か、案内役として、つけよう」




こうして、藤原、誠、アルフレート、そして、数匹の、小さな、龍族の若者たちが、あの、鉱山へと、向かうことになった。




鉱山までの道のりは、想像以上に、遠かった。



「よし、飛ぶで!」




藤原が、大きく、翼を、羽ばたかせ、飛び立った。




「うわ、速いな……!」



背に乗った、小さな龍族たちが、興奮した様子で、声を、上げた。




数時間、飛び続けたところで——



「田中くん……そろそろ、限界や……」



藤原が、息を、切らしながら、そう、告げた。



「わかりました、一旦、降りましょう」




一行は、開けた、雪原に、着地し、休憩を、取ることにした。




「アルフレート様、いつもの、テント、お願いします」



誠が、半ば、諦めたように、そう、頼んだ。



「うむ、任せろ」




見慣れた、快適な、テントが、瞬時に、展開される。




「わあ……! なんじゃ、これは!」



小さな龍族たちが、その、テントの、快適さに、目を、輝かせた。



「な、これは……ええもんやろ」



藤原が、少し、疲れた様子ながらも、得意げに、そう、言った。





数日かけて、一行は、何度も、休憩を、挟みながら、少しずつ、鉱山へと、近づいていった。




そして、ようやく——



「着いたで……!」




一行は、あの、見覚えのある、鉱山の、坑道の入り口に、たどり着いた。




「よし、藤原殿、頼む」



アルフレートが、そう、告げると、藤原は、大きく、口を、開けた。




坑道の中、以前、宮田が、確認した、ウランの、鉱脈へと、皆で、向かう。




「田中くん、掘るで」



藤原は、そう言うと、器用に、爪で、鉱石を、掘り出していった。




「これ、口に、含めるだけ、含んでみるわ」




藤原は、次々と、掘り出された、ウランの塊を、口の中に、収めていった。




「大丈夫ですか」



誠が、心配そうに、尋ねた。



「んん……なんとか、大丈夫や」



藤原は、頬を、少し、膨らませながら、そう、答えた。




「あと、もう少し、いけそうか」



「んー……もうちょい、いけるで」




こうして、藤原は、口の中いっぱいに、ウランの鉱石を、詰め込んでいった。




「もう、限界やわ」




藤原は、頬を、パンパンに、膨らませながら、そう、伝えてきた。




「それでは、この分を、まず、里まで、運びましょう」



誠が、そう、提案した。




「あんまり、しゃべられへんから……ふぁい、ふぉうぐふぁい」




「藤原さん、無理に、喋らなくて、大丈夫ですから」




誠は、思わず、苦笑いした。





こうして、一行は、再び、休み休み、飛びながら、里への、帰路に、つくことになった。




「これは……何往復も、必要になりそうだな」



アルフレートが、そう、呟いた。




「はい。でも、少しずつでも、続けていけば……」



誠は、そう、答えながら、頬を、膨らませたままの、藤原の姿を、見つめた。





里に、たどり着き、口の中の、ウランを、吐き出した、藤原は、大きく、息を、吐いた。




「ふぅ……疲れたわ」




長が、その、様子を、見て、深く、頭を、下げた。



「藤原殿、そして、田中殿。感謝の、言葉も、ない」




小さな龍族たちも、集まってきた、ウランの塊を、目を、輝かせて、見つめていた。




「これで……久しぶりに、"糧"に、ありつける、若い者も、おるじゃろう」




長は、しみじみと、そう、呟いた。




「まだ、こんなもんじゃ、足りひんやろ」



藤原が、そう、言うと、再び、鉱山へと、向かう、準備を、始めた。




「藤原さん、無理は、しないでくださいね」



誠が、そう、声をかけると、藤原は、力強く、頷いた。



「大丈夫や。この子らのためやったら、何往復でも、するで」





その夜、誠は、祖父のノートに、こう書き加えた。


「藤原さんが、里の皆のために、ウランを、口いっぱいに含んで、運ぶ、運搬作戦が、始まった。何往復も、必要になりそうだけど、藤原さんは、頑張ってくれている。じいちゃん、こうして、誰かのために、力を尽くす姿を、見ると、藤原さんも、僕たちも、同じなんだなと、思う」



窓の外、二つの月が、静かに、この、地道な、運搬作業を、見守っていた。



まだこの時の誠は知らない。この、運搬作戦が、この後、龍族と、この国との間に、どれほど、深い、絆を、築いていくことになるのかを。

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