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英雄は世界を救う。でも、世界を住みやすくするのは八百屋でした ~勇者も魔王も悪の組織も常連です~  作者: 伝説の男前
昭和の怪獣ってこんなんだよね

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第67話「龍族を探して」

龍の館は、既に、二度目の拡張工事を、迎えていた。



「五十メートルを、超えたか……」



アルフレートが、大きく成長した、藤原の姿を、見上げながら、重い、ため息をついた。




「アルフレート様」




誠が、静かに、声をかけた。




「僕たちだけの、知識では、もう、限界かもしれません」




「ああ、その通りだ」




アルフレートは、深く、頷いた。




「私にも、責任がある。何とかして、解決策を、見つけなければ」





そんな、ある日のことだった。




「田中殿」




アルフレートが、古びた、分厚い書物を、抱えて、誠のもとを、訪れた。




「これは……?」




「王家に、代々、伝わる、古文書だ。この国に、伝わる、様々な種族についての、記録が、記されている」





アルフレートは、その、古文書を、慎重に、開いた。




「実は、ずっと、気になっていたことがあってな」




「なんでしょうか」




「藤原殿のような、龍という種族が、この世界に、藤原殿、一体だけの、存在とは、思えなかったのだ」





誠は、はっとした。




「確かに……この世界には、様々な種族が、いますし……」




「そうだ。もし、龍族という、種族が、存在するなら……藤原殿にとって、最も、自然な、居場所に、なるかもしれん」





アルフレートは、古文書のページを、一枚一枚、丁寧に、めくっていった。




「あった」




「本当ですか!」




誠は、思わず、身を、乗り出した。





「北の果て、万年雪に、覆われし、竜の谷。古来より、巨躯を持つ、龍族の、住処と、伝えられる——」




「竜の谷……」




「ここに、行けば……もしかしたら」




アルフレートの目に、確かな、希望の色が、宿った。





「ただし」




アルフレートは、少し、慎重な、口調で、続けた。




「この記録は、随分と、古いものだ。今も、龍族が、実在するかは、定かではない」




「それでも……調べる、価値は、ありますよね」




「ああ。私が、直接、赴いて、確かめてこよう」





「僕も、行きます」




誠は、迷わず、そう、申し出た。




「危険な旅に、なるかもしれんぞ」




「藤原さんの、これからに、関わることです。放っておけません」






「藤原さん」




誠は、龍の館を、訪れ、藤原に、この話を、伝えることにした。




「実は、龍族という、種族が、この世界に、いるかもしれないという、記録を、見つけたんです」




「龍族……?」




藤原は、驚いた様子で、目を、見開いた。




「うちと、同じ、種族が……おるんか」




「はっきりとは、分かりません。でも、可能性はあると思います」





藤原は、しばらく、考え込むように、俯いていた。




「なあ、田中くん」




「はい」




「うち、正直、怖いんや」




「怖い、ですか」




「せや。もし、同じ、龍族がおったとしても……うちの、この経歴、受け入れて、もらえるんやろか」




藤原は、静かに、続けた。




「元は、人間で、一回死んで、龍に生まれ変わって……それに、ウランを、食べ過ぎて、こんなに、でかくなってもうた」




「そんな、うちを……本物の、龍族の人らが、仲間や、思ってくれるか、分からへん」





誠は、静かに、その、不安を、受け止めた。




「藤原さん」




「うん?」




「もし、受け入れて、もらえなかったとしても……藤原さんには、僕たちが、います」




「田中くん……」




「でも、可能性があるなら、確かめてみたい。藤原さんが、この世界で、もっと、自然に、生きられる場所があるなら」





藤原は、しばらく、誠の顔を、見つめた後、静かに、頷いた。




「そうやな……確かめてみる、価値は、あるかもな」




「うちも、一緒に、行っても、ええんか」




「もちろんです。むしろ、藤原さん本人がいないと、意味がありませんから」






「アルフレート様、藤原さんも、一緒に、行くことになりました」




誠が、そう、報告すると、アルフレートは、少し、悩ましげな、表情を、浮かべた。




「五十メートルの、藤原殿を、連れての、旅、か……」




「どうやって、移動するんですか」




「藤原殿、空を、飛べるか」




アルフレートが、そう、尋ねると、藤原は、少し、考えてから、答えた。




「多分、いけると、思うで。まだ、ちゃんと、試したこと、あらへんけど」





「よし、では、まず、その、確認から、始めよう」





村の外れの、広い場所で、藤原は、初めて、大きな翼を、広げてみた。




「せーの……!」




大きく、羽ばたくと——




藤原の、巨躯が、ふわりと、宙に、浮かび上がった。




「おお……!」




「飛べてる……!」




誠と、アルフレートが、揃って、感嘆の声を、上げた。




「うち、飛べるやん!」




藤原自身も、驚きと、喜びの混じった声を、上げた。





「これなら、竜の谷まで、十分、辿り着けそうだ」




アルフレートが、頼もしげに、頷いた。




「田中殿、宮田殿にも、声を、かけておこう。この、調査には、彼の、知識も、必要になるかもしれん」




「わかりました」





その夜、誠は、祖父のノートに、こう書き加えた。


「藤原さんのために、龍族という種族を、探す旅に、出ることになった。北の果て、竜の谷という場所らしい。藤原さんは、少し、不安そうだったけど、確かめてみる、決心をしてくれた。藤原さんが、初めて、空を飛べることも、分かった。じいちゃん、この旅が、藤原さんにとって、良い結果に、繋がることを、願うよ」




窓の外、二つの月が、これから、始まる、新たな旅を、静かに、見守っているようだった。




まだこの時の誠は知らない。この、竜の谷への旅が、藤原の、そして、この世界の運命に、どれほど、大きな意味を、持つことになるのかを。

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