↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
英雄は世界を救う。でも、世界を住みやすくするのは八百屋でした ~勇者も魔王も悪の組織も常連です~  作者: 伝説の男前
昭和の怪獣ってこんなんだよね

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
67/607

第65話「龍子ちゃんの部屋」

村での、あの、大混乱から、数日後。



「これ以上、村の中に、藤原さんを、置いておくのは、危険すぎます」



宮田が、真剣な顔で、そう、提言した。




「そうだな……」



村長も、深く、頷いた。屋根に開いた、大穴の修理費は、決して、安くはなかった。




「うち、ほんまに、迷惑ばっかり、かけてもうて……」




藤原が、しょんぼりと、俯いていた。




「藤原さんが、悪いわけじゃないんです」




誠は、優しく、そう、フォローした。




「ただ、藤原さんの、力が、これから、どこまで、大きくなるか、分からない以上……安全な、専用の場所が、必要だと、思います」





「田中殿、それなら、私に、考えがある」




アルフレートが、そう、切り出した。




「私の、マジックバッグに、こういう時のために、資材が、色々と、収納されている」




「え、また、何か、出てくるんですか」




誠は、少し、身構えた。




「大掛かりな、建築資材だ。以前、拠点建設用に、集めていたものだが……藤原殿のために、使うのも、良いだろう」





こうして、村外れの、広大な、未利用の土地に、藤原専用の、建物を、建設する計画が、立ち上がった。




「どのくらいの、大きさに、なるか、分からないので……」




誠は、慎重に、考えを、巡らせた。




「今の、藤原さんの、成長速度を、考えると……相当、大きな建物に、しておく必要が、あると思います」




「うむ。念には、念を、入れよう」





こうして、村人たち、竜崎の守り竜団、そして、鈴森が、送ってくれた虫人族の鉱夫たちも、加わり、大規模な、建設作業が、始まった。




「これは……随分、大きな、建物になりそうですね」




エリナが、設計図を、見ながら、感心したように、言った。




高さ、二十メートル以上。頑丈な、石造りの壁。そして、天井には、光線対策として、分厚い、金属板が、張り巡らされることになった。




「これなら……多少の、ビームや、炎にも、耐えられるはずです」




宮田が、自信ありげに、そう、説明した。





「田中くん、うちの、部屋、こんなに、立派で、ええんか」




藤原が、建設中の、建物を、見上げながら、少し、恐縮した様子で、尋ねた。




「藤原さんが、安心して、暮らせる場所が、必要ですから」




「ありがとうな、田中くん」





建設は、数週間かけて、進められた。




「田中殿、内装は、どうする」




アルフレートが、尋ねた。




「藤原さんの、好きなように、してもらいましょう」





「藤原さん、何か、要望は、ありますか」




誠が、尋ねると、藤原は、少し、考えてから、答えた。




「うちな、京都、恋しいんや。せやから、床の間、みたいなん、作ってほしいわ」




「床の間、ですか」




「せや。あと、畳、みたいな、床材も、あったら、嬉しいわ」





誠は、その、思いがけないリクエストに、少し、驚きながらも、これまでの、この世界での知識を、総動員して、藤原の望む空間を、作り上げていくことにした。




「畳、って、どうやって、作るんだ……」




誠は、乾燥させた、藁を使い、試行錯誤しながら、簡易的な、畳のようなものを、作り上げていった。




「これは……」




出来上がった、藁製の敷物を見て、藤原は、目を、輝かせた。




「おお、これ、ええ感じやん! 田中くん、ほんま、器用やな!」






数ヶ月後——




巨大な、しかし、どこか、和の趣を、残した、龍の館が、完成した。




「これは……」




完成した、その建物を、見上げ、藤原は、感慨深げに、そう、呟いた。




「うちの、新しい、住処、やな」





「藤原さん、気に入って、もらえましたか」




「めっちゃ、気に入ったわ! 田中くん、ほんまに、ありがとう!」




藤原は、嬉しそうに、翼を、大きく、広げた。




その、大きさは——もう、以前の、小さな姿とは、比べ物にならないほどに、成長していた。





「これで、もう、村の中で、うっかり、光線や、炎を、出しても……」




宮田が、安堵の表情を、浮かべた。




「村への被害は、最小限に、抑えられるはずだ」





「藤原さん、これからは、ここが、あなたの家です」




誠が、そう、告げると、藤原は、静かに、頷いた。




「せやな。田中くんや、みんなが、ここまで、してくれたんや。うちも、この場所、大事に、せなあかんな」





「それに」




藤原は、少し、悪戯っぽく、続けた。




「これだけ、広かったら……ウラン、いくらでも、貯め込んどけるしな!」




「藤原さん……」




誠は、思わず、苦笑いした。





こうして、藤原——「龍子ちゃん」の愛称で、村人たちにも、親しまれるようになった彼女は、村外れの、この、新しい住処で、これからの、日々を、過ごしていくことになった。





その夜、誠は、祖父のノートに、こう書き加えた。


「藤原さんのための、専用の建物が、完成した。畳や、床の間まで、作ってあげることになるとは、思わなかった。でも、藤原さんが、喜んでくれて、良かった。じいちゃん、この世界で、また一つ、新しい"家"を、作ることに、なったよ」




窓の外、二つの月が、完成した、龍の館を、優しく、照らしていた。




まだこの時の誠は知らない。この、龍子ちゃんの新しい住処が、この後、この国の、重要な"施設"として、様々な役割を、果たしていくことになることを。


そして、藤原の成長が、まだ、この先も、続いていくことになることも——今はまだ、知る由もなかった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。