第63話「龍の食事処」
藤原の、ウランに対する、強い反応が、判明してから、数日後。
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「よし、それでは、鉱山へ、向かうとしよう」
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アルフレートが、そう、宣言した。
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「僕も、行きます」
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誠は、迷わず、そう、申し出た。
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「田中、本当に、来るのか」
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「はい。だって、面白そうですし」
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誠は、素直に、そう、答えた。これまでの、様々な発見の中でも、この「龍が、ウランを食べて、成長する」という現象は、誠の、探究心を、大いに、刺激していた。
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「宮田も、来てくれるか」
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「もちろん。この、現象、しっかり、記録に、残しておきたいからな」
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こうして、アルフレート、誠、宮田、そして、藤原の、四人(?)は、再び、あの、山岳地帯へと、向かうことになった。
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「藤原さん、久しぶりの、外ですね」
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誠が、そう、声をかけると、藤原は、嬉しそうに、翼を、パタパタと、動かした。
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「ようやく、うちの、好物に、ありつけるんやな! 楽しみやわ!」
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道中、藤原は、以前よりも、少しだけ、体が、大きくなっていた。まだ、人間の子供くらいの、大きさではあったが、確実に、成長の兆しが、見えていた。
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「藤原さん、随分、大きくなりましたね」
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「せやろ! あの、黒い石の、おかげやな!」
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「その、"黒い石"って呼び方、そろそろ、正式な名前、覚えた方が、いいんじゃないですか」
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宮田が、苦笑いしながら、そう、指摘した。
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「ウラン、ですよ」
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「ウラン、な。よし、覚えたで」
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数日かけて、一行は、鉱山に、到着した。
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「ここが、あの時の……」
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誠は、あの、探索の記憶を、思い出しながら、坑道の入り口を、見上げた。
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「くん、くん……」
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藤原が、既に、鼻を、忙しなく、動かし始めていた。
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「この、下や! この下に、めっちゃ、匂う!」
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藤原は、そう言うと、迷いなく、坑道の奥へと、進んでいった。
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「藤原さん、待って!」
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誠たちは、慌てて、その後を、追いかけた。
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坑道の奥、以前、宮田が、ウランの鉱脈を、見つけた場所に、たどり着くと——
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「ここや! ここに、ぎょうさん、あるで!」
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藤原は、興奮した様子で、その場を、掘り始めた。
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小さな爪で、器用に、岩肌を、削っていく。
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「これは……」
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宮田が、計測器を、取り出し、確認した。
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「間違いない。ここに、まだ、かなりの量の、ウラン鉱脈が、眠っている」
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「よっしゃ! いただきます!」
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藤原は、掘り出した、ウランの鉱石を、次々と、パクパクと、食べ始めた。
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「うまい……! めっちゃ、うまいわ、これ!」
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食べる、たびに——
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藤原の、体が、少しずつ、しかし、確実に、大きくなっていくのが、見て取れた。
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「すごい……本当に、成長していく」
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誠は、その様子を、食い入るように、見つめていた。
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「田中殿、これは、興味深い」
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アルフレートも、感心したように、その光景を、見守っていた。
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「危険物として、扱いに、困っていたものが、こうして、価値ある存在の、糧になるとはな」
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「藤原さん、体調は、大丈夫ですか」
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宮田が、心配そうに、尋ねた。
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「めっちゃ、元気やで! なんか、力が、みなぎってくるような、感じや!」
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数時間かけて、藤原は、その、鉱脈の、かなりの部分を、食べ尽くした。
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「ふぅ……お腹、いっぱいや」
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満足げに、そう、呟く藤原の姿は——
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出発した時よりも、明らかに、一回り、大きくなっていた。
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「田中くん」
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宮田が、計測器の、記録を、確認しながら、興奮した様子で、言った。
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「この鉱山、ウランの、埋蔵量が、想像以上に、豊富だ。藤原さんが、定期的に、ここに、通うだけで……」
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「危険な資源を、安全に、処理しながら、藤原さんも、成長できる、ということですね」
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「そういうことだ」
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「田中くん、アルフレートはん」
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藤原が、満足げな様子で、二人に、話しかけた。
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「これから、定期的に、ここに、連れてきてくれるか」
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「もちろんです」
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「ありがとうな。うち、この世界で、こんな風に、頼れる相手が、できて……ほんまに、嬉しいわ」
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「藤原さん」
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誠は、静かに、そう、答えた。
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「これからも、一緒に、色々、乗り越えていきましょう」
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「せやな」
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帰り道、誠は、この、鉱山の、"新しい役割"について、思いを、巡らせていた。
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(危険物だった、ウランが、藤原さんを通じて、この世界に、必要とされる、資源になった)
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(そして、藤原さんも、成長していく)
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「アルフレート様」
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「なんだ、田中」
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「藤原さんが、これから、どこまで、大きくなるのか、少し、楽しみですね」
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「そうだな」
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アルフレートは、少し、意味深に、笑った。
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「もしかすると、いつか、この国を、守る、大きな力に、なってくれるかもしれん」
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その夜、誠は、祖父のノートに、こう書き加えた。
「藤原さんを、鉱山に、連れて行った。予想通り、ウランを、たくさん食べて、また、少し、大きくなった。危険物が、こんな形で、役に立つとは、思わなかった。じいちゃん、この世界には、まだまだ、僕の知らない、不思議な仕組みが、たくさん、あるみたいだ」
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窓の外、二つの月が、静かに、輝いていた。
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まだこの時の誠は知らない。この、藤原の成長の先に——この世界の運命を、大きく、動かす、ある、重大な局面が、待ち受けていることを。




