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英雄は世界を救う。でも、世界を住みやすくするのは八百屋でした ~勇者も魔王も悪の組織も常連です~  作者: 伝説の男前
昭和の怪獣ってこんなんだよね

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第62話・補足「勇者の土産」

——時系列としては、鉱山探索からの帰路、少し、遡る。


⸻


「田中くん、これ、危険だから、大量には、持ち帰れない」


⸻


宮田が、慎重な口調で、そう、告げた。


⸻


「ウランは、正しく、厳重に、封をすれば、少量だけなら、持ち運びも、できるはずだ。でも……」


⸻


⸻


宮田は、少し、言いにくそうに、続けた。


⸻


「今の、僕たちの装備では、その"厳重な封"を、確実に、用意するのが、難しい」


⸻


⸻


「じゃあ、諦めるしか、ないのか」


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⸻


誠は、少し、落胆した様子で、そう、呟いた。


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その様子を、少し離れた場所から、見ていたアルフレートが、静かに、近づいてきた。


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「田中、宮田殿」


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「アルフレート様?」


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⸻


「私の、マジックバッグには、密閉性の高い、収納魔法が、備わっているという話は、していなかったか」


⸻


⸻


「え……」


⸻


⸻


「以前、田中の、荷物が、なぜか、入らなかったのは、覚えているだろう。だが、私のバッグ自体は、あらゆるものを、外気と、完全に、遮断した状態で、収納できる」


⸻


⸻


宮田は、少し、驚いた様子で、その話を、聞いていた。


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「もし、それが、本当なら……放射線の、漏出も、防げるかもしれません」


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「試してみよう」


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⸻


こうして、アルフレートは、こっそりと、少量のウランを、自身のマジックバッグに、収めることにした。


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「田中には、まだ、内緒だ」


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「え? どうしてですか」


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宮田が、不思議そうに、尋ねた。


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「田中は、危険なものを、扱うことに、慎重な性分だからな。事前に告げれば、きっと、反対するだろう」


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⸻


アルフレートは、少し、悪戯っぽく、笑った。


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「それに、これは、いずれ、何かの、役に立つかもしれん。私の、勘だがな」


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⸻


⸻


⸻


村に戻ってから、しばらく後——藤原が、ウランを、好んで食べることが、判明した、あの日。


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「田中、実は、話がある」


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⸻


アルフレートが、少し、改まった様子で、誠を、呼んだ。


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「なんでしょうか」


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「実は、鉱山から、こっそりと、少量のウランを、持ち帰っていたのだ」


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アルフレートは、マジックバッグから、厳重に、封をされた、小さな容器を、取り出した。


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「え……! いつの間に……!」


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誠は、驚いて、目を、見開いた。


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「宮田殿の、協力を得て、私の、収納魔法で、安全に、保管しておいた」


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「でも、どうして……」


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「田中には、事前に告げれば、反対されると思ってな」


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アルフレートは、少し、悪びれずに、そう、答えた。


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「田中の、慎重さは、美徳だ。だが、時に、それが、可能性を、狭めることもある」


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「アルフレート様……」


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「結果的に、藤原殿の、思いがけない特性が、判明した。これが、あって、良かったと、思わないか」


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⸻


誠は、少し、複雑な気持ちながらも、頷かざるを得なかった。


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「確かに……このタイミングで、少量でも、あったから、藤原さんの反応を、すぐに、確かめられました」


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「だろう」


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「でも、次からは、危険なものを、扱う時は、ちゃんと、事前に、相談してくださいね」


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誠は、少し、釘を刺すように、そう、伝えた。


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「もちろんだ。今回だけは、私の、悪戯心を、許してくれ」


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アルフレートは、そう言って、朗らかに、笑った。


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「田中殿、実は」


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宮田も、少し、申し訳なさそうに、口を、開いた。


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「僕も、この計画に、加担していた。田中くんの、安全を思う気持ちと、この、発見の可能性を、天秤にかけて……正直、迷ったんだけど」


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「宮田も、か」


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誠は、少し、呆れながらも、しかし、二人の判断が、結果的に、藤原の、新しい可能性を、開いたことを、認めないわけには、いかなかった。


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⸻


「まあ、結果的に、良かったから……今回は、良しとします」


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⸻


「ありがとう、田中」


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⸻


⸻


その夜、誠は、祖父のノートに、こう書き加えた。


「アルフレート様が、こっそり、ウランを、持ち帰っていたことが、分かった。宮田も、それに、協力していたらしい。二人には、少し、呆れたけど、結果的に、藤原さんの、新しい特性が、見つかるきっかけに、なった。じいちゃん、時には、こういう、悪戯心も、悪くないのかもしれないな」


⸻


⸻


窓の外、二つの月が、静かに、輝いていた。


⸻


⸻


まだこの時の誠は知らない。このアルフレートの、密かな判断が、この後の、村の未来にとって、どれほど、重要な意味を、持つことになるのかを。

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