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英雄は世界を救う。でも、世界を住みやすくするのは八百屋でした ~勇者も魔王も悪の組織も常連です~  作者: 伝説の男前
異世界との窓

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第263話「戻ってきた、理由」

名誉回復の、話が、虚空に、広まって、一週間。



# 変化


セレスが、毎日、視聴者数を、確認していた。



# セレス


「誠さん」



「はい」




セレス。



「見てくれる人、増えてます」




誠。



「本当ですか」




セレス。



「三百人から、今、二万人です」



# 誠


誠は、その数字に、少し、驚いた。





「増えましたね」




セレス。



「はい」



# 銅像


その様子を、誠は、毎日、確かめに、行っていた。



# 確認


銅像は、変わらず、そこに、あった。





けれど。



# 誠


誠は、ある日、気づいた。





「……何か、光ってます」



# 光


銅像の、表面に。





かすかな、光が、点滅していた。



# ルカ


ルカが、駆けつけた。




「師匠!」




誠。



「見てくれ、これ」



# 一色


一色が、測定を、始めた。



# 一色


一色は、しばらく、機材を、見ていた。





「誠さん」



「はい」




一色。



「反応が、戻ってきています」



# 誠


誠は、その言葉に、動きを、止めた。





「戻る、というのは」




一色。



「MISSION COMPLETEの、機能です」



# 一色


「視聴者数が」



一色は、続けた。




「ある、閾値を、超えると」



「はい」




一色。



「シリーズが、再開する、仕組みだったようです」



# 誠


誠は、しばらく、その言葉を、考えた。





「じゃあ」




一色。



「はい」




誠。



「戻ってくる、かもしれない」



# 田中


田中が、来て、その光を、見ていた。




「やおや」



「はい」




田中。



「これ、いい、しるしか」



# 誠


誠は、頷いた。




「いい兆候だと、思います」




田中。



「ほな、まとか」




誠。



「待ちましょう」



# 待つ


その日から、誠は、毎日、銅像の、前に、座るように、なった。



# 光景


田中も、隣に、座った。





そして、時々、ルカや、セレスも、加わった。



# 誠


「誰かが、待ってたら、戻れる気がします」




田中。



「にたようなこと、いうな」




誠。



「はい」



# 田中


田中は、少し、笑った。




「わしのばあいと、おなじやな」




誠。



「そうですね」



# 一週間後


そして、一週間後。



# 変化


その日の、朝。



# 光


銅像が、急に、強く、光った。



# 誠


誠は、慌てて、立ち上がった。





「ルカ! 一色さん!」



# 皆


村中から、人が、集まってきた。



# 反応


光が、次第に、強くなっていった。



# 誠


誠は、しばらく、それを、見つめていた。





「ジョンさん」



# 動き


そして。





銅像が、動いた。



# ジョン


ジョンが、腕を、下ろした。





そして、周りを、見回した。





「……ここは」



# 誠


誠は、しばらく、動けなかった。





それから、掠れた声で、言った。





「おかえりなさい」



# ジョン


ジョンは、しばらく、誠を、見ていた。





そして、少し、戸惑った顔で、聞いた。





「……私は、どれくらい、経った」



# 誠


誠は、静かに、言った。




「一ヶ月です」




ジョン。



「一ヶ月」



# 村人


村人が、歓声を、上げた。





「ジョンさん、戻ってきた!」





「よかった!」



# ジョン


ジョンは、その、歓声に、しばらく、動かなかった。





それから、静かに、聞いた。





「誠殿」



「はい」




ジョン。



「何が、あった」



# 誠


誠は、しばらく、考えた。





そして、話し始めた。



# 経緯


「あなたの、視聴者が、いなくなったこと」



誠は、続けた。




「その、理由が、誤解だったこと」



「はい」




誠。



「それを、伝えたら」



# 誠


「見てくれる人が、また、増えました」



誠は、静かに、言った。





「それで、戻ってきたんだと思います」



# ジョン


ジョンは、しばらく、その話を、聞いていた。





そして、静かに、言った。





「……誰が、伝えた」



# 誠


誠は、少し、間を、置いた。





「俺です」



# ジョン


ジョンは、しばらく、誠を、見ていた。





それから、掠れた声で、言った。





「なぜ」



# 誠


誠は、静かに、言った。




「あなたが、いい人だって、知ってたので」



# 誠


「盾のこと」



誠は、続けた。




「カゲさんの、ベルトのこと」



「はい」




誠。



「全部、覚えてます」



# ジョン


ジョンは、しばらく、動かなかった。





そして。





深く、頭を、下げた。



# ジョン


「……ありがとう」



# 誠


誠は、その様子に、少し、笑った。





「おかえりなさい」



# ジョン


ジョンは、しばらく、頭を、上げなかった。





それから、静かに、言った。





「もう一度、聞きたい」




誠。



「何をですか」



# ジョン


ジョンは、少し、間を、置いた。





「私の、本当の名前を」



# 誠


誠は、頷いた。




「ジョンさんです」



# ジョン


ジョンは、その言葉に、しばらく、動かなかった。





それから、少し、笑った。





「そうだ。……ジョンだ」



# 田中


田中が、隣で、聞いていた。




「やおや」



「はい」




田中。



「もどってきたな」




誠。



「はい」



# 田中


田中は、少し、笑った。




「みまもられたら」



「はい」




田中。



「もどれる、いうことか」



# 誠


誠は、頷いた。




「そうみたいです」



# ジョン


ジョンが、しばらく、皆を、見回していた。





そして、静かに、聞いた。





「誠殿」



「はい」




ジョン。



「今後は、どうすれば、いい」



# 誠


誠は、少し、考えた。





そして、言った。





「いつも通りで、いいと思います」



# 誠


「優しくして、名前を聞いて」



誠は、続けた。




「あとは、時々、遊びに来てください」



# ジョン


ジョンは、その言葉に、しばらく、動かなかった。





それから、少し、笑った。





「分かった」



# 数日後


数日後。



# 光景


ジョンが、店に、来た。





「誠殿」



「ジョンさん、いらっしゃい」



# ジョン


ジョンは、縁台に、座った。





そして、麦茶を、受け取った。



# ジョン


「配信は、しない」



ジョンは、言った。




「今日は、ただ、来た」



# 誠


誠は、少し、笑った。




「それでいいんです」



# 田中


田中も、隣に、座った。





「あんたが、ジョンか」




ジョン。



「そうだ」




田中。



「よろしゅう」



# ジョン


ジョンは、しばらく、田中を、見ていた。





そして、少し、笑った。





「一万三千年、彫り続けた、方だな」




田中。



「そうや」




ジョン。



「頭が、下がる」



# 三人


そして、三人は、しばらく、無言で、麦茶を、飲んでいた。



# 誠


誠は、その、静かな、時間を、しばらく、味わっていた。





そして、静かに、思った。





(——戻ってきて、よかった)





その日、誠は、祖父のノートに、こう書き加えた。


*「じいちゃん、ジョンさんが、戻ってきました。一ヶ月ぶりです。視聴者が、二万人まで戻ったところで、光り始めて、目を覚ましました。俺、あなたがいい人だって知ってたから、伝えた、って言ったら、深く頭を下げてくれました。田中さんが言いました。見守られたら、戻れるんやな、って。そうみたいです、って答えました。それから、数日後、ジョンさんが、配信もせずに、ただ、遊びに来てくれました。田中さんとも、初めて会って、頭が下がる、って言ってくれました。三人で、無言で麦茶を飲む時間が、なんだかとても、いい時間でした。じいちゃん、戻ってこないものもあれば、戻ってくるものもあるんですね。今日は、戻ってきてくれて、よかったです」*



心の中に——一つの、月が——浮かんでいた。




——たとえ——空に——見えなくても。



まだこの時の誠は知らない。「見守られたら戻れる」という仕組みが、いつか自分自身にも、当てはまることになるのかどうかを。



——そしてもう一つ、まだこの時の誠は知らない。


その答えを、そう遠くない未来に、知ることになるとは。



——今は......まだ、誰も——知らない。

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