↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
英雄は世界を救う。でも、世界を住みやすくするのは八百屋でした ~勇者も魔王も悪の組織も常連です~  作者: 伝説の男前
戦争

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
57/599

第56話「まさかの交流」

祭りの熱狂が、ようやく落ち着いてから、十日ほどが過ぎた。



「田中さん、聞きました?」



エリナが、少し、驚いた様子で、店に、駆け込んできた。



「何かあったんですか」



「グランデルさんから、手紙が、届いてます」




誠は、少し、身構えながら、その手紙を、受け取った。




「田中! 聞いてくれや! ワシ、あれから、あの、フードの嬢ちゃんと、ちょくちょく、連絡取り合っとんねん!」




「え……」




誠は、思わず、二度見した。




「祭りの後、なんや、あの子、色々、思うところ、あったみたいでな。ワシに、手紙、寄越してきたんや。『あの歌う会、楽しかったです』って」




「それから、ちょくちょく、文通、するようになってな。この前なんか、向こうの、宮殿に、招待されて、行ってきたわ!」




「宮殿に……行った……!?」




誠は、思わず、声を、上げてしまった。




「田中さん、どうしたんですか」




「グランデルさんが、一色さんの、宮殿に、招かれたらしくて……」




エリナも、驚いた様子で、目を、丸くした。




「それは……大丈夫、なんでしょうか」




誠は、続きを、慌てて、読み進めた。




「いやぁ、皇帝の、宮殿いうんは、さすがに、豪華やったで! あの嬢ちゃん、普段は、随分と、気を張って、生きとるみたいでな。ワシの前では、ちょっとだけ、素の顔、見せてくれたわ」




「なんや、色々、重い立場、背負っとるみたいでな。話、聞いてやったら、随分と、気ぃ、楽になったて、言うてくれたわ」




「あと、な。あの、天界サポートセンターの、神さんの話、あの子にもしたら、『実は、私にも来ます』言うて、盛り上がったで! 田中も、知っとる話やろ?」




誠は、その一文に、思わず、笑ってしまった。




(あの神様、本当に、いろんな人のところに、行ってるんだな……)




「あの、田中さん、これって……」




エリナが、少し、戸惑った様子で、尋ねてきた。




「グランデルさんが、一色さんの、良き相談相手に、なってくれてるみたいだ」




誠は、その事実に、少し、驚きながらも、同時に、どこか、安堵する気持ちも、あった。




(一色さん、あの重い立場を、一人で、抱え込んでいたはずだから)




(グランデルさんみたいな、豪快で、裏表のない人が、そばにいてくれるなら……)




誠は、そう、思わずには、いられなかった。





数日後、誠は、この件について、竜崎にも、話してみた。




「グランデルさんと、一色が……?」




竜崎も、驚いた様子で、聞き返した。



「ああ。手紙のやり取りから、宮殿への招待まで、するようになったらしい」




「それは……意外な、組み合わせだな」




「でも、なんだか、いい話だと思うんだ」




誠は、静かに、そう、続けた。




「一色さんは、あの若さで、大きな責任を、背負っている。グランデルさんは、身分の差なんて、気にしない人だから……」




「田中の、繋いだ縁が、また、新しい繋がりを、生んだんだな」




竜崎が、しみじみと、そう、言った。





「田中よ」




その日の夕方、黒崎からも、噂を、聞きつけたのか、連絡が、あった。




「妖精王と、皇帝の、交流……。フッ、実に、面白い、運命の、絡み合いだな」




「黒崎、お前まで、その話、知ってるのか」




「我が、闇の、情報網を、舐めるでない」




「単に、噂が、広まってるだけだろ、それ」






「田中殿」




その頃、王都に、戻っていたアルフレートからも、手紙が、届いた。




「妖精王と、帝国の実質的な最高権力者が、個人的な交流を、深めているという話、耳にした。これは、田中の、これまでの繋がりが、生んだ、思いがけない、副産物なのだろう」




「もしかすると、この交流が、この先の、両国の関係にも、何らかの、良い影響を、もたらすかもしれん」




誠は、その手紙を、読みながら、静かに、頷いた。




(そんなことまで、考えていなかったけど……)




(もし、そうなったら、それは、素晴らしいことだ)





その夜、誠は、祖父のノートに、こう書き加えた。


「グランデルさんと、一色さんが、あの祭りをきっかけに、交流を始めたらしい。まさか、妖精王と、皇帝が、こんな形で、繋がるとは、思ってもみなかった。でも、一色さんの重い立場を思うと、グランデルさんのような、裏表のない人が、そばにいてくれるのは、きっと、いいことなんだと思う。じいちゃん、人と人との、縁って、本当に、どこで、繋がるか、分からないものなんだな」




窓の外、二つの月が、静かに、輝いていた。




まだこの時の誠は知らない。この、思いがけない、二人の交流が、この後の、国と国との関係に、どれほど大きな影響を、与えることになるのかを。


そして、この、小さな、しかし、確かな繋がりが、いつか、誠自身も、想像しなかったような、大きな変化を、この世界に、もたらすことになることも——今はまだ、知る由もなかった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。