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英雄は世界を救う。でも、世界を住みやすくするのは八百屋でした ~勇者も魔王も悪の組織も常連です~  作者: 伝説の男前
異世界との窓

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閑話「座談会、開催」

それは。





——セレスの——思いつき、だった。







「——座談会を——やりましょう——!!」







「——なんですか——それ」








——誠が——尋ねると。






——彼女は——目を——輝かせた。








「——皆さんに——並んで——いただいて——お話を——聞くんです——!!」







「——誰が——ですか」






「——ヒカルさんと——カゲさんと——!!」








「——それと?」






「——八一八号さんと——ノワールさんと——宇宙防衛隊の——皆さんです——!!」








「…………」







——誠は。






——しばらく——考えて。






——そして——言った。








「——半分——喋れませんよ」






「——大丈夫です——!!」








「——なぜですか」






「——皆瀬さんが——通訳します——!!」








『——聞いてない』









## 当日






——高座に——長い——机が——据えられた。







——そして——五人が——並んだ。







——いや。







「——ヒカルさんが——入りません——!!」








「——シュワ……」







——四十メートルの——巨人が。






——広場の——外から——首だけ——覗かせていた。








「——藤原さんと——同じ——形ですね」







——誠が——言った。







「——うちも——三十年——これや」








——藤原が——隣で——ぼやいた。









「——皆さーん——!!」







——セレスが——虚空に——向かった。







「——本日は——特別——座談会です——!!」








——虚空が——流れ始めた。







「——コメント——来てます——!!」






「——読め——!!」








「——ええと——!!」







——セレスが——読み上げた。








「——"待って"——!!」






「——"は?"——!!」






「——"なんで——並んでるの"——!!」






「——"画面の——情報量が——多い"——!!」








「——荒れて——おるな」







——ミネルが——ぼやいた。









## 自己紹介






「——では——お一人ずつ——!!」







——セレスが——札を——向けた。








「——シュワッ——!!」







『——"ヒカルだ。よろしく"』








「——コメント——!!」






「——"通訳が——雑"、って——!!」








『——うるさい』








「——カゲだ」







——仮面の——男が——胸を——張った。







「——名乗る——ほどの——者では——ない——!!」








「——名乗ってますよね」






「——ぬう」








「——"様式美"、って——コメントが——!!」






「——分かって——おるではないか——!!」









「——イーッ」







『——"八一八号です。よろしく——お願いします"』








「——丁寧——!!」







——セレスが——驚いた。







「——コメントも——"丁寧すぎる"、"好き"、"優勝"、って——!!」








「——イ——!?」







——八一八号が——うろたえた。









「——ノワールである」







——首領が——マントを——翻した。







「——悪の——組織の——長だ」








「——コメント——!!」






「——"それ——嘘だろ"、って——!!」








「——嘘では——ない——!!」






「——"ごみ拾いしてるの——知ってる"、って——!!」








「——なぜ——知って——おる——!!」









「——イーッ——!!」







——宇宙防衛隊の——五人が——一斉に——言った。







「…………」








「——皆さん——戻ってますよね」







——誠が——訝しんだ。







「——癖だ」








——赤が——けろり、と——言った。







「——あの、日から——抜けぬ」








「——一日でしたよね——!?」






「——濃い——一日だった」









## 議題一「変身について」






「——では——お伺いします——!!」







——セレスが——札を——掲げた。







「——"変身"、について——!!」








「——よい——題だ——!!」







——カゲが——身を——乗り出した。







「——変身とは——覚悟である——!!」








「——おお——!!」






「——コメント——"急に——いい、こと——言った"、って——!!」








「——シュワッ——!!」







『——"わたしは——変身では——ない"』








「——違うのか——!?」






「——シュワ——!!」






『——"合体だ"』








「——なんだと——!?」







——カゲが——立ち上がった。







「——では——中に——誰か——おるのか——!!」








「…………」







——広場が。






——一瞬——静まった。








「——シュワ」







『——"おった"』








「——おった?」






「——シュワッ」






『——"今は——一つだ"』








「…………」







——誠は。






——藤原と——目が——合った。







——藤原は——何も——言わなかった。








「——コメントが——止まりました——!!」







——セレスが——言った。







「——全部——止まってます——!!」








「…………」







——そして。







「——あ——! 来ました——!!」







「——なんと——書いてある——!!」








「——"泣いた"、って——!!」






「——"知ってた"、って——!!」






「——"ありがとう"、って——!!」








「——シュワ……」







——ヒカルが。






——ゆっくりと——首を——下げた。









## 議題二「悪の組織について」






「——気を——取り直して——!!」







——セレスが——次の——札を——掲げた。







「——"悪の——組織の——お仕事"、について——!!」








「——待て——!!」







——カゲが——ノワールを——指した。







「——貴様——本当に——悪の——組織か——!!」






「——無論だ」








「——では——今日——何を——した——!!」






「——第七層の——予定表を——書いた」








「——それは——役所の——仕事だ——!!」






「——世界征服の——一環である」








「——どこがだ——!!」






「——支配とは——まず——秩序からだ」








「…………」






「——コメント——!!」






「——"詭弁"、"でも——正論"、"混乱する"、って——!!」








「——では——聞くが」







——ノワールが——カゲを——見た。







「——なんだ——!!」






「——貴殿は——今日——何を——した」








「…………」







——カゲが。






——固まった。







「——芋を——運んだ」








「——三十袋か」






「——四十だ——!!」








「——増えて——おるではないか」






「——鍛えた——!!」








「——コメント——"どっちも——農家"、って——!!」








「——違う——!!」






「——違わぬ」









## 議題三「八一八号さんについて」






「——では——次——!!」







——セレスが——札を——掲げた。







「——"八一八号さんに——聞きたいこと"——!!」








「——イ——!?」







——本人が——うろたえた。







「——コメント——すごい——量です——!!」








「——読め——!!」






「——"七度の——冤罪の——気持ちは"、って——!!」








「——イー」







『——"慣れました"』








「——慣れるな——!!」







——カゲが——叫んだ。







「——イー」






『——"皆さん——謝って——くださいますので"』








「——優しい——!!」






「——コメント——"聖人"、"なんで——悪の——組織"、って——!!」








「——次の——質問です——!!」







——セレスが——読んだ。







「——"奥様との——馴れ初めは"——!!」








「——イ——!?」







——八一八号が——固まった。







「——コメント——"それ——聞きたい"、"待ってた"、って——!!」








「——イー……」







『——"殴られて——おりましたら"』







『——"治して——いただきました"』








「——それだけか——!!」






「——イーッ」






『——"それだけです"』








「——コメント——大荒れです——!!」







——セレスが——叫んだ。







「——"情報が——少ない"、"もっと——喋れ"、"でも——好き"、って——!!」









——だが——その、時。







「——補足しても——よろしいかしら」







——聖女ルナが——現れた。








「——ルナさん——!?」






「——通りかかりましたの」








——彼女は——澄まして——言った。







「——偶然ですわ」






「——待って——ましたよね」








「——偶然ですわ」









——ルナは——机の——前に——立った。







「——この、人はね」






「——イ——!?」








「——五百二十ゴールドの——治療を——受けましたの」







——彼女は——静かに——言った。







「——半年——かけて——銅貨で——払いに——来ましたわ」








「…………」







「——四百年で——初めてでしたの」








「…………」







——広場が。






——静まった。








「——コメント——!!」







——セレスが——涙声で——言った。







「——全部——止まりました——!!」






「——それから——一斉に——"泣いた"、って——!!」








「——イーッ——!?」







——八一八号が——真っ赤に——なっていた。







——ように——見えた。







——覆面なので——分からないが。









## 議題四「決め台詞」






「——では——最後です——!!」







——セレスが——札を——掲げた。







「——"皆さんの——決め台詞"——!!」








「——待って——おった——!!」







——カゲが——立ち上がった。







「——聞け——!!」








——彼は——構えた。







「——"悪は——滅びる——!!"」








「——おお——!!」






「——コメント——"きた"、"これこれ"、"世代"、って——!!」








「——シュワッ——!!」







『——"地球を——守る"』








「——短い——!!」






「——シュワ——!!」






『——"それで——十分だ"』








「——コメント——"かっこいい"、って——!!」








「——我は——な」







——ノワールが——マントを——翻した。







「——"世界征服だ"——!!」








「——コメント——"やる——気ないだろ"、って——!!」







「——ある——!!」








「——"予定表は"、って——!!」






「——来月——三日だ——!!」








「——"催しの——予定じゃん"、って——!!」









「——では——八一八号さん——!!」







——セレスが——振った。







「——イ——!?」








「——決め台詞を——お願いします——!!」







「…………」








——八一八号は。






——しばらく——考えて。






——そして——立ち上がった。








「——イーッ——!!」








「…………」







——広場が。






——静まった。








「——皆瀬さん——通訳を——!!」







『…………』








『——通訳——要る?』








「——え?」






『——それが——決め台詞』








「…………」







「——コメント——!!」







——セレスが——泣きながら——叫んだ。







「——"優勝"、って——!!」






「——"それしか——言ってない"、って——!!」






「——"でも——全部——伝わる"、って——!!」








「——イ——!?」









## 締め






「——では——最後に——!!」







——セレスが——皆を——見回した。







「——皆さんで——決めポーズを——お願いします——!!」








「——望む、ところ——!!」






「——イーッ——!!」






「——シュワッ——!!」








——全員が——構えた。







——巨人。





——仮面。





——戦闘員。





——悪の首領。





——五色の——防衛隊。







——そして——なぜか——ルナも——混ざっていた。








「——ルナさんも——!?」






「——妻ですもの」








「——理由に——なってません——!!」









——ぱしゃ。







——記録が——残された。








「——コメント——!!」







——セレスが——絶叫した。







「——読めません——!! 流れが——速すぎます——!!」






「——一つだけ——読めました——!!」








「——なんだ——!!」






「——"情報量が——限界"、って——!!」









## 後日






——広場に——札が——貼られた。








*——【座談会——第二回——決定】*








「——やるんですか——!?」







——誠が——驚いた。







「——ご要望が——多くて——!!」







——セレスが——胸を——張った。








「——次は——誰が——出るんですか」






「——怪獣の——皆さんです——!!」








「——喋れない——方が——増えますね」






「——大丈夫です——!!」








『——また——わたし?』








「——皆瀬さん——お願いします——!!」







『——手当が——欲しい』








「——出します」







——誠が——即答した。







『——本当?』






「——当たり前です」








——誠は——真剣な——顔で——言った。







「——三十年——ただ働きさせてました」








『…………』







『——今——気づいたの?』








「——今——気づきました」








『——遅い』






「——すみません」






その日、誠は、祖父のノートに、こう書き加えた。


*「セレスさんが、座談会をやりたい、と。ヒカルさん、カゲさん、八一八号さん、ノワールさん、宇宙防衛隊の皆さん。半分、喋れませんよ、って言ったら、"皆瀬さんが通訳します"、って。皆瀬さん、"聞いてない"、って言ってた。……ヒカルさんは、大きすぎて、机に入らなかった。広場の外から首だけ。藤原さんが、"うちも三十年これや"、って、ぼやいてた。……コメントが、最初から荒れてた。"待って"、"なんで並んでるの"、"画面の情報量が多い"、って。……宇宙防衛隊の皆さん、全員、"イーッ"、って自己紹介してた。戻ってますよね、って言ったら、"癖だ。あの日から抜けぬ"、って。一日でしたよね。"濃い一日だった"、って。……変身の話で、カゲさんが、"変身とは覚悟である"、って。急にいいことを言った、ってコメントが。ヒカルさんが、"わたしは変身ではない。合体だ"、って。中に誰かいるのか、って聞かれて、"おった"、"今は一つだ"、って。……コメントが、全部、止まった。それから、"泣いた"、"知ってた"、"ありがとう"、って。ヒカルさん、首を下げてた。……悪の組織の話では、カゲさんが、"貴様、本当に悪の組織か。今日何をした"、って。ノワールさんが、"第七層の予定表を書いた"、"支配とは、まず秩序からだ"、って。コメントが、"詭弁"、"でも正論"、って。……逆に聞かれたカゲさんが、"芋を運んだ。四十袋だ"、って。"どっちも農家"、ってコメントが。……八一八号さんの馴れ初めを聞かれて、"殴られておりましたら、治していただきました"、"それだけです"、って。コメントが大荒れ。……そこにルナさんが、"通りかかりましたの。偶然ですわ"、って現れて、"この人は、五百二十ゴールドの治療を、半年かけて銅貨で払いに来ましたわ。四百年で初めてでしたの"、って。……コメントが止まって、それから一斉に、"泣いた"、って。……最後、決め台詞。カゲさんが、"悪は滅びる"。ヒカルさんが、"地球を守る"。ノワールさんが、"世界征服だ"、って言ったら、"やる気ないだろ"、って。……八一八号さんの番で、あの人、立ち上がって、"イーッ"、って。皆瀬さんが、"通訳要る? それが決め台詞"、って。……コメントが、"優勝"、"それしか言ってない"、"でも全部伝わる"、って。……最後に、皆で決めポーズ。ルナさんまで混ざってた。"妻ですもの"、って。理由になってません。……第二回が、決まったそうです。次は怪獣の皆さん。皆瀬さんに、"手当が欲しい"、って言われた。出します、って即答した。三十年、ただ働きさせてました。"今気づいたの?"、"遅い"、って。すみません。じいちゃん、楽しい日でした」*



心の中に——一つの、月が——浮かんでいた。




——たとえ——空に——見えなくても。





まだこの時の誠は知らない。ヒカルが——「中に——おった」、と——言った——その、相手が。




——今——どこに——いるのかを。


そして——「今は——一つだ」、という——言葉の——本当の——意味も。





——今は……まだ、藤原しか——気づいて——いない。

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