第117話「第一年」
表が——貼られた——翌日から。
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——世界は——動き出した。
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「——鱗を——集めるぞ——!!」
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——竜の——里に。
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——初めて——人が——大勢——上がった。
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「——うわあ……」
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——寝床の——奥を——覗いた——一色が——絶句した。
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「——本当に——山ほど——ある」
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——岩棚の——隅に。
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——何百年——分の——鱗が——積もっていた。
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「——掃除が——面倒でな」
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——長が——けろり、と——言った。
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「——放って——おった」
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「——宝の——山ですよ——これ——!!」
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「——ごみだ」
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「——ごみじゃ——ありません——!!」
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——だが。
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——ここで——リサイガーが——動いた。
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「——分別する——!!」
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「——鱗を——ですか?」
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「——古さで——分ける——!!」
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——リサイガーは——真剣な——顔で——言った。
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「——新しい——ものは——強い——!」
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「——古い——ものは——脆い——!」
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「——混ぜたら——駄目だ——!!」
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「——それは——大事だわ——!!」
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——一色が——飛び上がった。
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「——強い——ものは——外側に——!」
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「——脆い——ものは——中の——支えに——!」
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「——捨てれば——ごみ——! 分ければ——資材——!!」
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——一方——硝石。
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「——増やせるか」
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——賢者が——農夫たちに——尋ねた。
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「——増やせます」
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——年老いた——農夫が——頷いた。
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——十八年——前。
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——「じいさんが——やってました」、と——言った——男、だった。
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「——今は——弟子が——五十人——おります」
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「——五十——!?」
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「——十八年ですから」
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——農夫は——微笑んだ。
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「——教えて——おかんと——わしが——死んだら——終わりですので」
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「…………」
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——誠は。
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——深く——頭を——下げた。
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「——ありがとう——ございます」
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「——何のことで?」
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「——渡して——くださって」
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——そして——計算の——道具。
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「——動かせるように——なったわ」
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——一色が——地下の——赤い——灯りの——下で——言った。
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「——なぜ——休憩室で——やって——おる」
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——賢者が——訝しんだ。
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「——落ち着くのよ」
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「——お前も、か——!!」
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『——フハハハハ——!!』
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「——今の——なんだ——!!」
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「——気に——しないで」
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——第一年は——終わった。
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——表の——通りに。
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「——遅れて——おらぬな」
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——賢者が——表に——印を——つけた。
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「——初めてです、ね」
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——誠が——微笑んだ。
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——第二年。
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——殻を——作る——年、だった。
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「——うまく——いかぬ——!!」
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——工房で——悲鳴が——上がった。
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「——鱗が——繋がらぬのだ——!!」
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——鬼族の——鍛冶師が——頭を——抱えていた。
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「——鉄なら——溶かして——繋げる」
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「——だが——鱗は——溶けん——!!」
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「——竜の——熱でも——駄目ですか」
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——誠が——尋ねると。
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——藤原が——首を——振った。
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「——うちの——ブレスに——耐える——もんが」
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「——うちの——ブレスで——溶けるかいな」
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「——確かに——!!」
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——三月。
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——工房は——行き詰まった。
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「——では——どう——繋ぐのだ——!」
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「——縛るしか——ないわね」
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——一色が——渋い——顔を——した。
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「——でも——縛ると——隙間が——できる」
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「——隙間から——熱が——入るわ」
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「——駄目では——ないか——!」
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——だが。
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——誠は。
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——藤原の——身体を——じっと——見ていた。
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「——藤原さん」
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「——なんや」
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「——鱗、隙間——ありませんね」
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「——そら——あったら——困るわ」
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「——どう——なってるんですか」
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「——重なっとる」
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——藤原は——けろり、と——言った。
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「——瓦と——一緒や」
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「…………」
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——一色が。
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——ゆっくりと——顔を——上げた。
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「——重ねる」
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「——繋がなくて——いいの?」
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「——うちは——繋いでへんで」
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——藤原は——不思議そうに——言った。
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「——皮に——刺さっとるだけや」
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「——それよ——!!」
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——一色が——絶叫した。
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「——下に——柔らかい——ものを——敷いて——!!」
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「——その、上に——鱗を——重ねて——並べるの——!!」
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「——柔らかい——ものとは——何だ——!」
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「——虫人族の——布よ——!!」
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「——おおお——!!」
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