閑話「悪の組織、また冤罪」
夜が——四刻だけ——戻って。
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——地下に。
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——祭りが——立った。
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「——三年ぶりだねえ」
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「——星が——落ちる、って——聞いてから——初めてだ」
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「——たまには——こういうのも——なきゃな」
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——第五層の——広場に。
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——屋台が——並んだ。
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——焼いた——芋。
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——干し肉の——串。
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——スライムが——冷やした——氷菓子。
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「——数は——少ないですけど」
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——誠が——言った。
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「——皆さんが——少しずつ——出し合ってくれました」
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「——上出来だ」
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——賢者が——珍しく——頷いた。
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「——腹より——先に——気が——参るからな」
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——その、広場を。
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——黒ずくめが——一人——歩いていた。
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「——イー」
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——八一八号。
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——本日の——任は——見回り、である。
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「——あ——! おじちゃんだ——!」
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「——イーッ——!」
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——子どもたちに——囲まれて。
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——律儀に——手を——振り返す。
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——そして。
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——焼き芋の——屋台の——前で。
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——財布を——取り出した——その、時。
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「——ない——!!」
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——悲鳴が——上がった。
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「——配給の——荷が——ない——!!」
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——広場が——ざわめいた。
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——祭りの——ために——広場の——隅に——積んであった。
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——明日——配る、はずの——荷。
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——それが——二十ばかり——消えていた。
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「——泥棒だ——!!」
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「——誰だ——!!」
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——そして。
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——人々の——目が。
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——一斉に——一点に——集まった。
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——黒い——装束。
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——黒い——覆面。
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——腰の——ベルト。
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——赤い——手袋。
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——見た目だけなら——文句なしに——怪しい——男が。
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——荷の——山の——すぐ——脇に——立っていた。
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「——イ?」
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「——黒い——!」
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「——悪そう——!」
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「——もう——こいつで——いいだろ——!」
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「——イイイイ——!?」
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「——待て——!!」
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——武闘家が——飛んできた。
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「——現行犯——だな——!!」
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「——武闘家さん——!! この前——反省したじゃ——ないですか——!!」
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——誠が——叫んだが。
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「——む。……だが——今度は——荷の——横に——立って——おったぞ——!」
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「——見回りだからです——!!」
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——結局。
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——八一八号は——牢に——入れられた。
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——焼き芋だけが。
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——地面に——落ちていた。
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——牢の——中。
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「——イ……」
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——鉄格子に——もたれて。
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——八一八号は——うなだれていた。
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「——反省しろ」
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——番の——男が——言った。
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「——イー?」
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——「何を——したのか——分からない」、という——顔、だった。
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「——兄ちゃん。何——やった」
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——同じ——牢に——いた——酔っ払いが——尋ねた。
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「——イー」
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——何も——していない、という——意味、だった。
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「——その、格好で——損しとるな」
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——八一八号は。
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——静かに——頷いた。
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——一方。
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——祭りは——続いていた。
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——空が——裂けたのは。
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——その、最中、だった。
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「——ふはは——!! ついに——来たか——!!」
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——降ってきたのは。
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——きらびやかな——鎧の——男、だった。
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「——我が——名は——聖光の——勇者——!!」
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「——この、世界の——真の——主人公——である——!!」
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「…………」
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——広場が。
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——妙な——顔を——した。
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「——また——来たぞ」
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「——何人目だ、あれ」
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「——最近は——珍しくもないな」
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「——なぜ——驚かぬ——!!」
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——だが。
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——この、新顔は。
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——妙に——気前が——よかった。
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「——民よ——! 食え——!」
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——彼は——どこからか——干し肉を——出して——配り始めた。
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「——おお——! 気前が——いいな——!」
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「——いい人じゃ——ないか——!」
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「——ふはは——! 主人公とは——民を——養う——ものよ——!」
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——その、時。
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——誠が。
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——じっと——その、干し肉を——見つめていた。
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「……あの」
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「——なんだ、モブ」
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「——それ——うちの——荷、ですよね」
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「…………」
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——広場が。
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——静まった。
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「——な、何を——言うか——! これは——我が——蓄えだ——!」
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「——うちの——干し肉、こう——結ぶんです」
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——誠は——紐を——指した。
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「——二回——巻いて——端を——中に——入れるんです」
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「——じいちゃんから——教わった——結び方で——うちしか——やってません」
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「…………」
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「——それに」
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——誠は——静かに——言った。
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「——あなた——さっき——降ってきましたよね」
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「——いつ——蓄えたんですか」
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「…………」
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——ぱん、と。
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——広場の——空気が——変わった。
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「——おい」
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「——こいつ——降りた——直後に——荷の——ところへ——行っとったぞ」
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「——見た——! 俺も——見た——!」
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『——見てた』
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——足元で。
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——皆瀬が——ぷるん、と——揺れた。
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『——わたしたち……広場じゅうに——いるから』
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『——荷を——抱えて——走ってた』
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「——なんだと——!?」
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『——映せる。……光を——曲げれば』
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「——ま、待て——!!」
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——だが——遅かった。
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