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英雄は世界を救う。でも、世界を住みやすくするのは八百屋でした ~勇者も魔王も悪の組織も常連です~  作者: 伝説の男前
異世界との窓

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第57話「異世界賢者と、話そう」

「——魔法使い。頼みが——ある」





翌日。





賢者が——妙に——真剣な——顔で——切り出した。






「——はい? なんでしょう」






「——その——"クロードジーピーティー"、なる——ものと」






賢者は——ごくり、と——喉を——鳴らして。






そして——言った。







「——私を——直接——話させろ」







「——え——!?」






工房が——ざわめいた。






「——お、おい——賢者——! 正気か——!?」






光の勇者が——目を——剥いた。






「——正体不明の——虚空の——ものだぞ——!」






「——だからこそ、だ」






賢者は——一歩も——引かなかった。






「——考えて——みろ。これまで——伝聞ばかりで——どれほど——無駄を——した」






「——"ウランで——できる"、と——聞いて——数ヶ月。それが——誤りだと——分かって——また——振り出し」






「——伝言遊びを——して——いる——暇は——ないのだ——!」







——それは。





——正論、だった。







「——それに」






賢者は——ぐっ、と——拳を——握った。






「——私が——直接——問えば——その場で——重ねて——問える」






「——"では——こういう——場合は"、"その、数値の——根拠は"、と」






「——学問とは——そう——いうものだ——!」







「……賢者さん」






誠が——ふと——微笑んだ。






「——なんだ」






「——楽しそうですね」






「——なっ——!」






賢者が——顔を——赤らめた。






「——ば、馬鹿を——言え——! 世界の——危機だぞ——!」






「——でも——さっきから——目が——輝いてます」






「…………」






賢者は——ばつが——悪そうに——目を——そらして。






そして——ぼそり、と——言った。






「……そんな——物知りが——いるなら」






「——一度——話して——みたいでは——ないか」








「——分かりました——! 視聴者さんに——相談——してみます——!」






魔法使いは——張り切って——飛び出していった。








——そして——三日、後。






「——できました——!!」






魔法使いが——満面の——笑みで——戻ってきた。






「——本当か——!?」






「——はい——! 視聴者さんが——調整——してくれて——!」






「——私が——配信で——問いを——読み上げると——視聴者さんが——それを——クロードジーピーティーに——伝えて——!」






「——返ってきた——答えを——コメントで——書いてくれる——そうです——!」






「——それは——ありがたい——!」







「——それで——ですね」






魔法使いは——もじもじと——付け加えた。






「——視聴者さんから——提案が——ありまして」






「——なんだ」






「——"それ——単発じゃ——なく——ちゃんとした——企画に——しよう"、って」






「——企画?」






「——はい——! 題して——!」






魔法使いは——ぱっ、と——両手を——広げた。







「——"異世界賢者と——話そう——ライブ"——!!」







「…………」






「…………なんだと?」







「——全世界——発信——だそうです——!」






「——ぜ、全世界——!?」






「——はい——! なんでも——"絶対——伸びる"、とか——"神企画"、とか——コメントが——すごくて——!」






「——待て。待て、魔法使い」






賢者の——顔が——引きつった。






「——私は——学問の——話を——したいのだ。見世物に——なりたいのでは——ない」






「——でも——視聴者さんが——見てくれないと——質問を——中継——してもらえません」






「…………」







——ぐっ、と。






賢者は——言葉に——詰まった。







「——ふはは——! 諦めろ、賢者——!」






光の勇者が——面白がって——笑った。






「——世界の——ためだ——! 恥を——かけ——!」






「——貴様——!」







「——賢者さん」






誠が——静かに——言った。






「——僕は——いいと——思いますよ」






「——なぜだ」






「——だって——大勢の——人が——見てくれる、ってことは」






誠は——にっこりと——笑った。






「——大勢の——人が——一緒に——考えてくれる、ってことです」






「——僕たちだけじゃ——行き詰まってた。でも——見てる——人の、中に——また——別の——物知りが——いるかも——しれません」






「——一人の——頭より——皆の——頭。……いつも——そうでしたよね」







「…………」






賢者は——長い、こと——黙って。






そして——深く——息を——吐いた。






「……分かった。やろう」






「——ただし——一つだけ——条件が——ある」






「——なんです?」






「——田中。お前も——隣に——座れ」






「——え——!? 僕も——!?」






「——当然だ」






賢者は——ふん、と——鼻を——鳴らした。






「——お前が——いなければ——この、話は——始まって——おらん」






「——それに——私が——変な、ことを——言い出したら——止めろ」






「——止める、って……僕、学問——分かりませんよ」






「——分からんで——よい」






賢者は——ふっと——笑った。






「——お前は——いつも——分からんまま——的を——射るのだ」








——こうして。






準備が——始まった。







「——場所は——どこに——する?」






「——地下の——大広間が——広いです」






「——机と——椅子。それから——大量の——紙と——ペンを——用意——してくれ」






「——僕、お茶と——お菓子も——用意します——! 長く——なりそうですから」






「——あ——! お菓子——!」






魔法使いの——目が——輝いた。






「——食レポも——挟みましょう——! 視聴者さん——絶対——喜びます——!」






「——真面目に——やれ——!」








——そして。






噂は——たちまち——地下中に——広まった。






「——なんだって——? 賢者さんが——虚空の——物知りと——話すって?」




「——なんだ——それは」




「——分からんが——面白そうだ——!」







——当日。






地下の——大広間は。





——人で——埋め尽くされていた。






町の——人々。




避難民。




英雄たち。




厨二病の——若者たち。




前作の——仲間。




——そして——駄々丸。







「——おい、これは——何の——騒ぎだ」






魔王まで——顔を——出していた。






「——あ、魔王さん。よく——来てくれましたね」






「——我も——暑いのは——困るのだ」








——広間の——中央。






机の——前に。






賢者と——誠が——並んで——座った。






その、隣に——魔法使いが——立つ。







「——では——始めますね——!」






魔法使いは——虚空に——向かって。






——にっこりと——笑って——言った。







「——皆さん——こんにちは——! 本日は——特別——企画——!」






「——"異世界賢者と——話そう——ライブ"——!!」







——賢者が。






——ごくり、と——喉を——鳴らした。






その日、誠は、祖父のノートに、こう書き加えた。


「賢者さんが、"クロードジーピーティーと、直接、話させろ"、って、言い出した。"伝言遊びを、してる、暇はない。私が、直接、問えば、重ねて、問える。学問とは、そういうものだ"、って。……でも、なんか、目が、輝いてた。"楽しそうですね"、って言ったら、真っ赤に、なって、"そんな物知りがいるなら、一度、話してみたいでは、ないか"、って。三日後、魔法使いさんが、"できました!"、って。視聴者さんが、調整してくれて、質問を、中継してくれるって。しかも、"異世界賢者と、話そうライブ"、っていう、企画に、なって、全世界発信。賢者さん、"見世物に、なりたいのでは、ない"、って、渋ってたけど、"大勢が、見てくれる、ってことは、大勢が、一緒に、考えてくれる、ってこと。一人の頭より、皆の頭"、って、言ったら、"やろう"、って。ただし、"田中も、隣に座れ。私が、変なことを、言い出したら、止めろ"、って。学問、分からないのに。"お前は、いつも、分からんまま、的を射る"、って。……当日、大広間、満員。魔王さんまで、来てた。じいちゃん、変な会が、始まるよ」



心の中に——一つの、月が——浮かんでいた。



まだこの時の誠は知らない。この——奇妙な——催しが。



——世界を——救う——本当の——答えに——たどり着く……最後の——一歩に——なることを。


そして——虚空の——向こうに——いる——"聞き手"、たちが。



——一体——何者で——あったのかも——今は……まだ、誰も——知らない。

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