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英雄は世界を救う。でも、世界を住みやすくするのは八百屋でした ~勇者も魔王も悪の組織も常連です~  作者: 伝説の男前
沈む世界、再びの日常

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第52話「...からの、朗報」

太陽の——原理が——分かっても。




——作り方は——分からなかった。






「——小さな——粒を——ぎゅうぎゅうに——押し込む」





賢者は——毎日——うなっていた。






「——だが——どれほどの——力で——押せば——よいのだ。そもそも——その——"粒"、とは——何だ」






「——あの、少年も——それ以上は——覚えてないみたいで」






「——うむ……。行き詰まった、な」







そんな——ある日。






——地下の——八百屋に。






とんがり帽子が——飛び込んできた。







「——誠さん——!! 大変です——!!」






「——うわっ——! ま、魔法使いさん——!?」






魔法学院に——通う——あの——魔法使いが。





——息を——切らして——立っていた。






「——どうしたんですか——! そんなに——慌てて——!」






「——朗報です——!! 太陽——作れます——!!」







——八百屋の——時間が——止まった。






「…………は?」








——工房に——一同が——集められた。






「——さあ——! 話して——ください——!」






「——はい——!」






魔法使いは——胸を——張って——言った。






「——太陽を——作るには——"放射能物質"、が——あれば——いいそうです——!」







「——ほうしゃのう——ぶっしつ?」






聞き慣れない——言葉に。





一同が——首を——かしげる。






「——はい——! なんでも——それ——自体が——ずっと——熱を——出し続ける——物質で——!」





「——うまく——集めて——押し込めば——太陽と——同じ——ことが——起きる、とか——!」






「——待て——!」






賢者が——身を——乗り出した。






「——それを——どこで——知った——!?」






「——あ、はい——!」






魔法使いは——にっこりと——笑って——言った。






「——視聴者さんに——教えて——もらいました——!」







——しん。






「…………」






「…………なんだと?」







「——ですから——配信中に——コメントで——!」






魔法使いは——当たり前の、ように——続けた。






「——最近——"視聴者参加型"、の——企画を——やってまして——!」





「——"皆さんの——知恵を——お借りします——! 星を——救う——方法を——教えて——ください——!"、って——!」






「——そしたら——コメント欄が——大盛り上がりで——!」






「——"それ——核融合じゃね"、とか——"ウラン——集めろ"、とか——!」





「——めちゃくちゃ——詳しい——視聴者さんが——いっぱい——いて——!」







「——ま、待て——! 待て、待て、待て——!」






賢者が——両手を——挙げた。






「——その——"視聴者"、とは——何者だ——!」






「——え? 分かりません——!」






「——分からんのか——!?」






「——はい——! でも——毎日——見に——来てくれて——優しい——人たちです——!」






「——どこに——おるのだ——!」






「——分かりません——! 虚空です——!」






「——虚空——!?」







賢者は——頭を——抱えた。






「——正体不明の——虚空の——者どもが——星を——救う——方法を——知っている、だと……」






「——意味が——分からん——!」







「——あの、賢者さん」






誠が——おずおずと——口を——挟んだ。






「——意味は——分からないですけど……役に——立つ、なら——いいんじゃ——ないですか?」






「…………」






賢者は——しばらく——黙って。






そして——深く——ため息を——ついた。






「——……お前の——そういう——ところは——大したものだ」








「——で——その——"ウラン"、とは——何だ」






「——石です——! 光る——石——!」






「——どこに——ある」






「——それも——聞きました——!」






魔法使いは——得意げに——言った。






「——コメントで——"この世界なら——竜が——知ってるはず"、って——!」






「——竜?」






「——はい——! "竜は——長生きで——地の底の——ことを——よく——知ってる"、って——!」







——その、瞬間。






誠が——ぱっ、と——顔を——上げた。






「——竜——!」






「——心当たりが——あるのか——!?」






「——ありますよ——! 藤原さんが——!」








——藤原。






前作の——仲間の——一人。






——龍族に——なった——元・同級生、だった。







「——すぐ——文を——出します——!」






誠は——駆け出そうと——して。





——そして——ふと——足を——止めた。







「——あの、魔法使いさん」






「——はい?」






「——本当に——ありがとう——ございます」






誠は——深く——頭を——下げた。






「——あなたの——おかげで——道が——開けました」






「——そんな——! 私は——ただ——聞いて——きただけで——!」






魔法使いは——顔を——真っ赤に——して——手を——振った。






「——それに——皆さんが——魔王と——戦ってる——間……私、ずっと——食レポばっかり——してましたし」






彼女は——恥ずかしそうに——うつむいた。






「——役立たずで——ごめんなさい、って——思ってたんです」







「——そんなこと——ないですよ」






誠は——きっぱりと——言った。






「——現に——魔王を——四十七体——倒した——人たちより」





「——食レポを——してた——あなたの、方が——世界を——救うのに——近づけてくれました」







「…………」






離れた——場所で——聞いていた——武闘家が。





——がっくりと——膝を——ついた。






「——事実だけに——効く……」






その日、誠は、祖父のノートに、こう書き加えた。


「魔法使いさんが、飛び込んできて、"太陽、作れます!"、って! "放射能物質"、っていう、ずっと熱を出し続ける、物質が、あれば、いいらしい。どこで、知ったのか、聞いたら……"視聴者さんに、教えてもらいました"、って。配信で、"視聴者参加型"、の、企画を、やってて、"星を救う方法を、教えてください"、って、聞いたら、コメント欄が、大盛り上がりだったって。"核融合じゃね"、とか、"ウラン集めろ"、とか。賢者さん、"その視聴者とは、何者だ"、"どこにいる"、って、聞いたけど、"分かりません。虚空です"、って。賢者さん、頭、抱えてた。でも、僕、"意味は、分からないけど、役に立つなら、いいんじゃ"、って、言った。それから、"ウランは、竜が、知ってる"、って、コメントが。竜! 藤原さんだ! すぐ、文を、出す。……魔法使いさん、"皆が、魔王と、戦ってる間、食レポばっかりで、役立たずで、ごめんなさい、って、思ってた"、って。だから、言った。"魔王を、四十七体、倒した人より、食レポしてた、あなたの方が、世界を、救うのに、近づけてくれました"、って。武闘家さん、膝から、崩れ落ちてた。……ごめん」



心の中に——一つの、月が——浮かんでいた。



まだこの時の誠は知らない。虚空から——"視聴者"、が——寄越した——その、知恵が。



——一体——どこの——誰の——ものであったのかを。


そして——「魔王を——倒す」、ことでは——なく。



——「食レポ」、と——「雑談」、から——世界が——救われようと——している、この——奇妙な——巡り合わせこそが。



——この、物語の……何よりも——確かな——真実で、あることも——今は……まだ、誰も——気づかない。

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