表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
英雄は世界を救う。でも、世界を住みやすくするのは八百屋でした ~勇者も魔王も悪の組織も常連です~  作者: 伝説の男前
沈む世界、再びの日常

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
287/447

第31話「魔王討伐隊、結成」

地上が——灼熱に——閉ざされて。




人々の——暮らしが——地の底に——移って——数日。






自称・主人公たちも——ついに——観念して。





昼間は——地下で——過ごすように——なった。






「——ぐぬぬ。屈辱だ……」





光の勇者が——地下の——片隅で——歯噛み——した。





「主人公たる——俺が……地の底に——引きこもる、など」






「命あっての——ものだね、ですよ」





誠は——冷たい——麦茶を——差し出しながら——言った。






「——だが——このままでは——いかん——!」





光の勇者が——立ち上がった。






「——考えて、みろ——! この、異常な——暑さ——! 溶ける——氷——! 沈む——島——!」




「これは——明らかに——"何者か"、の——仕業だ——!」






「……何者か?」





誠は——きょとん、と——した。






「決まっている——! ——魔王だ——!」





光の勇者は——確信を——持って——言い切った。






「この、世界の——どこかに——魔王が——いる——! そいつが——世界を——焼いているのだ——!」




「ならば——魔王を——倒せば——すべては——元に——戻る——!」






「——おお! 一理——ある——!」





武闘家が——手を——打った。






「フフ……。確かに——これほどの——異常。人ならざる——者の——仕業と——考える——方が——自然、ですねえ」





魔術師も——頷いた。






「……論理的には——ありうる」





賢者が——顎に——手を——当てた。





「異常な——現象には——異常な——原因が——ある。それが——魔王で——あっても——不思議は——ない」






「……ふむ」





英雄も——静かに——同意した。






——五人の——意見が。





初めて——一致した——瞬間、だった。






「——ならば——決まりだ——!」





光の勇者が——高らかに——宣言した。






「——魔王討伐隊を——結成する——! 世界を——焼く——魔王を——討ち——この、世界を——救う——!」





「そして——魔王を——倒した——者こそが——真の——主人公——だ——!」






「「「「——おおっ——!」」」」






厨二病の——若者たちも——沸き立った。






「——我らも——加わるぞ——!」




「——闇の、力を——解き放つ——時が——来た——!」






「——HAHAHA——! 悪の——親玉が——いるなら——話は——早い——!」





アメリカン・ヒーローたちも——立ち上がった。






地下は——たちまち。





魔王討伐の——熱気に——包まれた。






「……あの」





その、熱気の——中で。





誠だけが——おずおずと——手を——挙げた。






「本当に——魔王が——原因、なんですか?」






——しん。





一同が——誠を——見た。






「——何を——言う、モブ」





「いえ……。だって——僕、この、世界に——ずっと——住んでますけど……魔王なんて——聞いたこと——ないんです」





「星喰いの、時も——敵は——魔王じゃ——なくて……別の——ものでしたし」






「ならば——今回——現れたのだ——!」





光の勇者は——譲らなかった。






「いいか、モブ。世界が——危機に——瀕する——時。そこには——必ず——"倒すべき——敵"、が——いる」




「それが——物語の——道理だ——!」






「……物語の——道理」





誠は——首を——かしげた。






(——でも——この、暑さは……)





(——誰かが——やってる、というより……)





(——もっと——こう……"仕組み"、みたいな……)






うまく——言葉に——できない。





けれど——誠には。





どうしても。





「悪い——魔王が——世界を——焼いている」、という——絵が。





——しっくり——こなかった。






「——では——出発だ——!」





「——おお——!」






魔王討伐隊は。





意気揚々と——旅立ちの——準備を——始めた。






「——待ってください」





誠は——彼らを——呼び止めて。





そして——大きな——包みを——手渡した。






「これ——持っていってください。保存食と——薬草と——水です」





「昼間は——絶対に——歩かないで。夜に——移動して——昼は——日陰で——休んでください」





「あと——これ、地図です。水場の——場所に——印を——つけておきました」






「…………」





光の勇者は。





その、包みを——じっと——見つめた。






「……なぜだ」





「え?」





「お前は——魔王の——存在を——信じて——いないのだろう。ならば——なぜ——支度を——してくれる」






誠は——きょとん、と——して。





そして——当たり前の、ように——答えた。






「だって——皆さん、行くんでしょう?」





「なら——無事に——帰ってきて——ほしいですから」






光の勇者は。





しばらく——黙って。





そして——ぶっきらぼうに——包みを——受け取った。






「……ふん。世話に——なる」





「気を——つけて」






こうして。





魔王討伐隊は——旅立っていった。






「——師匠。魔王、いるんですかね」





ルカが——尋ねた。






「さあ……。分からないな」





誠は——彼らの——背中を——見送りながら——呟いた。






「でも——もし——本当に——魔王が——いて」




「それを——倒せば——この、暑さが——収まるなら……」





「——それが——一番——いいよな」






そう——願う——気持ちは。





嘘では——なかった。






その日、誠は、祖父のノートに、こう書き加えた。


「主人公さんたちが、"魔王討伐隊"、を、結成した。"この、異常な、暑さは、魔王の、仕業に、違いない。魔王を、倒せば、元に、戻る"、って。五人の、意見が、初めて、一致してた。厨二病の、子たちも、ヒーローたちも、大乗り気。……でも、僕は、なんだか、しっくり、こない。この、世界に、魔王なんて、聞いたこと、ないし。それに、この、暑さは、誰かが、やってる、というより……もっと、"仕組み"、みたいな、感じが、する。うまく、言えないけど。でも、勇者さんは、"世界が、危機の時は、必ず、倒すべき、敵がいる。それが、物語の、道理"、って。……そういう、ものかな。とりあえず、保存食と、水と、地図を、持たせた。"信じてないのに、なぜ"、って、聞かれたけど、行くなら、無事に、帰ってきて、ほしいもん。……本当に、魔王を、倒して、暑さが、収まったら、いいのにな」



心の中に——一つの、月が——浮かんでいた。



まだこの時の誠は知らない。「世界が——危機の、時には——必ず——倒すべき——敵が——いる」、という——その、"物語の——道理"、が。



——この、世界では——通用——しないことを。


そして——誠が——うまく——言葉に——できなかった——「"仕組み"、みたいな——感じ」、こそが。



——恐ろしいほど——正しかったことも——今は……まだ、誰も——気づかない。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ