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英雄は世界を救う。でも、世界を住みやすくするのは八百屋でした ~勇者も魔王も悪の組織も常連です~  作者: 伝説の男前
沈む世界、再びの日常

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第28話「主人公、選手権」

アルフレートの——過去話から——数日。




店は——また——いつもの——喧騒を——取り戻していた。






「——だから——主人公は——俺だ——!」




「——いいや——俺だ——!」




「——フフ——私です——!」






五人の——自称・主人公が。





今日も——性懲りも、なく——言い争っている。






「——もう——! いい加減に——してください——!」





ルカが——怒鳴った。





「毎日——毎日——主人公——主人公、って——! そんなに——決めたいなら——勝負で——決めたら——どうなんですか——!」






「「「「——む」」」」





五人が——ぴたり、と——止まった。






「……勝負、か」





光の勇者が——顎に——手を——当てた。





「なるほど。一理——ある。一番——優れた——者が——主人公。それが——道理だ」






「——よかろう——!」





武闘家が——拳を——鳴らした。





「主人公決定戦——だ——! 勝った——者が——真の——主人公——!」






(——あっ。ルカ、余計なこと——言っちゃった)





誠は——頭を——抱えた。






こうして。





なぜか——「主人公決定戦」、なる——ものが。





開催——される、ことに——なった。






「——第一種目——! 力比べ——!」





司会は——なぜか——駄々丸が——買って——出た。






「へえ、皆さん——ご覧あれ——! 主人公を——決める——晴れ舞台——! さあ、まずは——力比べで、ござい——!」






大きな——岩を——誰が——一番——遠くへ——投げられるか。






「——ふん——! 見ておれ——!」





武闘家が——岩を——持ち上げ——投げる。





——が。





レベル1の——腕では。





——ぽとり。





足元に——落ちた。






「……あれ?」





「——ぶはっ! 情けない——!」





「貴様も——やってみろ——!」






光の勇者も——賢者も——魔術師も——英雄も。





全員——レベル1、なので。





岩は——誰も——まともに——投げられなかった。






「……この、種目——意味——ありますか?」





誠が——呆れて——言った。






「——次——! 第二種目——! 魔法比べ——!」





駄々丸が——構わず——進行する。






「——フフ——! 魔法なら——私の——独壇場——!」





魔術師が——杖を——構えた。





「——見るがいい——! 我が——最大の——魔法——!」






——ぼん。





杖の、先から。





小さな——火花が——一つ——散った。






「…………」





「…………」





「……線香花火、みたい——ですね」





ルカが——ぽつり、と——言った。






「——う、うるさい——! レベル1、では——これが——限界なのだ——!」






結局。





何を——やっても。





全員——レベル1、なので——どんぐりの——背比べ、だった。






「——ええい——! こんな——勝負では——埒が——あかん——!」





光の勇者が——苛立った。





「もっと——主人公らしい——種目は——ないのか——!」






「——では」





駄々丸が——にやり、と——した。






「——最終種目——! "人望"、比べ——!」





「——じんぼう?」






「へえ。主人公ってなァ——皆に——慕われて——なんぼ、でしょう?」





駄々丸は——扇子を——ぱちり、と——開いた。






「そこで——だ。この、町の——人たちに——聞いて——みやしょう」




「"あんたが——一番——頼りに——してるのは——誰だい"、とね」






「——ほう! 面白い——! 俺の——人望を——見せてやる——!」





五人は——自信満々に——胸を——張った。






駄々丸は——通りかかった——町の、人に——声を——かけた。






「——もし、そこの——おかみさん。あんたが——一番——頼りに——してるのは——この——五人の、うち——誰だい?」






おかみさんは——五人を——見比べて。





そして——きょとん、と——した。






「え? この、人たち——誰だい?」





「「「「——!?」」」」






「あたしが——頼りに——してるのは——そりゃ——誠さんだよ」





おかみさんは——当たり前の、ように——言った。






「野菜も——分けて——くれるし——困った時は——相談に——乗って——くれるし——避難所も——作って——くれた。誠さんが——いなきゃ——うちら——生きて——いけないよ」






「「「「…………」」」」





五人が——固まった。






駄々丸は——別の——人にも——聞いてみた。






「——あんたは?」




「誠さんだね」





「——あんたは?」




「誠さん一択だろ」





「——そちらの——ご老人は?」




「誠さんに——決まっとる」






——誰に——聞いても。





答えは——同じ、だった。






「「「「…………」」」」





五人の——自称・主人公は。





言葉を——失って——立ち尽くしていた。






「——という——わけで」





駄々丸が——にんまり、と——して——扇子を——閉じた。






「"人望"、比べの——優勝は……八百屋の——田中の——旦那、で——ございやす」






「——え!? 僕!?」





種目に——参加すら——していなかった——誠が。





きょとん、と——した。






「——ちょ、ちょっと——待て——!」





光の勇者が——叫んだ。





「なぜ——モブが——優勝——なのだ——! 主人公決定戦——だぞ——!?」






「へえ。ですから——ねェ」





駄々丸は——静かに——笑って。





意味深に——言った。






「——皆に——一番——慕われてる、お人が——主人公、だと——したら」





「そりゃあ——旦那しか——おりやせんでしょう?」






——しん。





その場が——静まり返った。






「——ば、馬鹿な——! あんな——モブが——主人公の——はずが——ない——!」





光の勇者が——うろたえた。






「——そうだ——! 主人公とは——もっと——強く——華々しい——存在だ——!」




「——フフ——冗談は——やめて——いただきたい——!」






五人は——口々に——否定した。






「——はいはい。ただの——余興の——結果で、さァ」





駄々丸は——あっさり、と——引き下がった。





「本気に——しなさんな。ねェ?」






そう——言って。





駄々丸は——にやにやと——煙管を——ふかした。






(——駄々丸さん……絶対——わざと——だよね)





誠は——冷や汗を——かいた。






その日、誠は、祖父のノートに、こう書き加えた。


「ルカが、"そんなに、決めたいなら、勝負で、決めろ"、って言ったら、主人公さんたち、本当に、"主人公決定戦"、始めちゃった。力比べも、魔法比べも、全員、レベル1だから、どんぐりの、背比べ。全然、決まらない。そしたら、駄々丸さんが、司会で、"最終種目、人望比べ"、って。町の人に、"一番、頼りにしてるのは、誰?"、って聞いたら……なぜか、みんな、"誠さん"、って。え、僕? それで、駄々丸さんが、"優勝は、田中の旦那。皆に、一番、慕われてる人が、主人公なら、旦那しか、いない"、って。主人公さんたち、"モブが、主人公の、はずない"、って、大慌て。駄々丸さん、"ただの、余興"、って、笑ってたけど……絶対、わざとだよね、あれ。じいちゃん、駄々丸さん、人が、悪いよ」



心の中に——一つの、月が——浮かんでいた。



まだこの時の誠は知らない。駄々丸が——余興の——ふりを、して——突きつけた——その、答えが。



——ただの——冗談では——なかったことを。


そして——「皆に——一番——慕われてる、者が——主人公」、という——その、"人望"、比べの——結果こそが。



——やがて——世界が——たどり着く……たった一つの——真実と——寸分——違わなかったことも——今は……まだ、誰も——気づかない。

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