第24話「フリーダムの、行方」
避難民の——受け入れで。
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町は——てんてこ舞い、だった。
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そんな——さなか。
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また——空が——裂けた。
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「——今度は——なんだ——!?」
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誠が——空を——見上げると。
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——ドンッ! と。
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例の——理由なき——爆発と、共に。
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一人の——大男が——降ってきた。
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胸に——大きく——「F」の——一文字。
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真っ赤な——マントを——なびかせた。
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いかにも——な——アメリカン・ヒーロー、だった。
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「——HAHAHA——! 待たせたな——! 自由と——正義の——ヒーロー——!」
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「——キャプテン・フリーダム——参上——!」
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「……また——アメリカンだ」
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誠は——もはや——驚きも——しなかった。
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「——おお! すでに——同胞が——いるな——!」
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キャプテン・フリーダムは。
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先に——来ていた——星・盾・彗星の——三人を——見つけて。
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——がしっ、と——握手した。
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「——おお、フリーダム——! 遅かったな——!」
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「——HAHAHA——! 転移の——渦で——迷子に——なっていた——!」
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どうやら——知り合い、らしい。
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「——さて——! この、星の——悪党は——どこだ——! 俺の——フリーダム・パンチで——成敗——してくれる——!」
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「——あ」
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星のマークの——男が——気まずそうに——目を——そらした。
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「フリーダム……。悪いことは——言わん。太陽だけは——やめておけ」
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「——太陽? なんだ——それは——! この、星の——悪党の——名か——!?」
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「——ち、違う——! 太陽は——本当の——太陽で——!」
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「——なるほど——! "太陽"、という名の——悪党だな——! 任せろ——!」
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「——ま、待て——! 話を——聞け——!」
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だが——時すでに——遅し。
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キャプテン・フリーダムは。
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——ビュゴォォォン! と。
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太陽に——向かって——飛び立って——しまった。
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「……行っちゃった」
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誠は——空を——見上げた。
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小さな——点が——太陽に——近づき。
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——ボンッ。
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そして——お約束のように。
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——ヒュゥゥゥ……ドサッ。
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黒焦げに——なって——落ちてきた。
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「……FREEDOM……」
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黒焦げの、まま——ぴくぴくと——痙攣する——フリーダム。
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「——やっぱりィ……」
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先の——三人が——頭を——抱えた。
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「あーあ……。だから——言ったのに」
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誠は——慣れた——手つきで。
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黒焦げの——フリーダムに——井戸水を——かけ。
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薬草を——塗ってやった。
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「もう——太陽に——挑むのは——やめてくださいね。何回——やっても——同じですから」
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「……ぐ。し、しかし……あの、悪党を——放っては……」
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「太陽は——悪党じゃ——ないですよ。ただの——太陽です」
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誠は——苦笑しながら——手当てを——続けた。
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やがて。
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黒焦げから——復活した——フリーダムは。
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きょろきょろと——あたりを——見回して。
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避難民たちの——姿に——気づいた。
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「——む? あの——者たちは——なぜ——あんなに——疲れている——!?」
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「港町が——沈んで——逃げてきた——人たちです。家も——何もかも——失って」
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「——なんだと——!? 家を——失った——!?」
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フリーダムの——表情が——変わった。
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「——それは——一大事——だ——! ならば——俺が——新しい——家を——建てて——やろう——!」
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「——え?」
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フリーダムは——復活したばかりの——体で。
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——のっしのっし、と——歩き出した。
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「——さあ——! 材木は——どこだ——! 岩は——どこだ——! この、俺が——地下の——住まいを——ドドンと——建ててやる——!」
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「——HAHAHA——! それは——いい——! 俺も——手伝おう——!」
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星条の——ヒーローたちも。
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一斉に——立ち上がった。
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こうして。
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アメリカン・ヒーロー——四人は。
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その——桁外れの——馬鹿力で。
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避難民たちの——住まいを——次々と——建てていった。
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「——おお! すごい——早さだ——!」
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「——ヒーローさんたち——ありがとう——!」
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避難民たちが——歓声を——上げる。
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「——HAHAHA——! 困った——人を——助けるのが——ヒーローだ——!」
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フリーダムは——白い歯を——見せて——笑った。
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(——太陽は——倒せないけど)
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誠は——その、光景を——見ながら——微笑んだ。
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(——こういうの——本当に——助かるなあ)
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拳が——届かない——太陽には——無力でも。
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困った——人の——ために——なら。
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彼らは——確かに——ヒーロー、だった。
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「——なあ、モブ」
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家を——建てながら。
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フリーダムが——ふと——言った。
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「お前は——なぜ——戦わない——! これだけ——皆に——慕われて——いるのに——!」
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「お前も——ヒーローに——なれば——いいではないか——!」
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「はは。僕は——ヒーローの——柄じゃ——ないですよ」
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誠は——笑って——答えた。
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「僕は——ただの——八百屋です。戦えないし——空も——飛べないし」
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「できるのは——困ってる——人に——ご飯を——出したり……みんなを——繋いだり……そのくらい、です」
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「——HAHAHA——! 何を——言う——!」
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フリーダムは——豪快に——笑った。
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「困った——人を——助ける——! それこそが——ヒーローだ——! お前は——立派な——ヒーローだぞ——モブ——!」
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「……そう、ですかね」
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誠は——照れて——頭を——掻いた。
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その、言葉を。
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近くで——聞いていた——光の勇者が。
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ぴくり、と——反応した。
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(——ヒーロー……だと)
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光の勇者は。
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握り飯を——配る——誠の——背中を。
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また——じっと——見つめていた。
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その日、誠は、祖父のノートに、こう書き加えた。
「また、アメリカン・ヒーローが、来た。胸に、F。キャプテン・フリーダムさん。先に、来てた、三人と、知り合いみたい。案の定、"太陽を、成敗する"、って、飛んでって、黒焦げに、なって、落ちてきた。もう、お約束。でも、避難民が、家を、失ったって、知ったら、"新しい家を、建ててやる"、って、四人で、すごい、早さで、住まいを、建ててくれた。大助かり。太陽は、倒せないけど、困った人の、ためなら、本当に、ヒーローだ。フリーダムさん、"お前も、ヒーローに、なれ。困った人を、助けるのが、ヒーローだ。お前は、立派なヒーローだ"、って。僕が、ヒーロー。まさか。ただの、八百屋なのに。でも、ちょっと、嬉しかったな。じいちゃん、変な人ばっかりだけど、いい人たちだよ」
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心の中に——一つの、月が——浮かんでいた。
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まだこの時の誠は知らない。フリーダムが——何気なく——言った——「お前は、立派な、ヒーローだ」、という、言葉が。
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——的を——射ていたことを。
そして——「戦わず、空も、飛べず、ただ、困った人を、繋ぐ」、その、力こそが……やがて——空を、飛ぶ——どんな——ヒーローにも——できなかった……本当の——世界の——救済に——繋がることも——今は……まだ、知らない。




