表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
英雄は世界を救う。でも、世界を住みやすくするのは八百屋でした ~勇者も魔王も悪の組織も常連です~  作者: 伝説の男前
沈む世界、再びの日常

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
271/553

第15話「厨二病、大挙来たる」

五人の——自称・主人公が——出揃って。




やれやれ、と——思っていた——矢先。





その日は——朝から——空が——落ち着かなかった。






ピシ。ピシピシ。





空の——あちこちに。





細かい——ひびが——入り始めた。






「な、なんだ——今日は——数が——多いぞ——!?」





アルフレートが——空を——見上げて——叫んだ。






そして——次の、瞬間。





——バリバリバリッ!!!





空が——一斉に——裂けて。






——どどどどどっ!!!





大量の——人影が。





まとめて——降ってきた。






「うわあああ——!?」





十人。二十人。




いや——もっと。





次々と——若者たちが——広場に——降り立つ。






そして——彼らは。





降り立つなり。





——一斉に。






「——ふっ。ついに——目覚めの、時が——来たか」





「——我が、右腕に——宿りし——闇の、力が——疼く……!」





「——この、世界を——救うのは——選ばれし——我ら——!」






——決めポーズを——始めた。






「…………」





誠は——言葉を——失った。






若者たちは——皆。





片目を——前髪で——隠したり。




腕に——包帯を——巻いたり。





黒い——マントを——なびかせたり。




していた。






そして——口々に。





「——我が、名は——漆黒の——剣聖」




「——闇を——統べる、者、と——呼べ」




「——封印されし——我が、力……解放の、時——!」






「……えっと」





誠は——おそるおそる——アルフレートに——尋ねた。





「アルフレート様。あの、人たち……何——ですか?」






すると——アルフレートは。





なぜか——顔を——真っ赤に——して。





——ぷいっ、と——目を——そらした。






「……し、知らん」





「え? でも——なんか——見覚えの——ある——反応……」





「知らんと——言ったら——知らん——!」






アルフレートが——妙に——うろたえている。






(——あれ。アルフレート様……)





誠は——ふと——思い出した。





そういえば——アルフレートも——昔。





「我が——中に——眠る——闇が——どうの」、と。





似たようなことを——言っていた——ような。






「……アルフレート様。もしかして——あの、人たちの——気持ち、分かるんじゃ——ないですか?」





「——っ! わ、分からん——! 断じて——分からんぞ——!」






真っ赤に——なって——否定する——アルフレート。





その、様子は——どう見ても。





「——分かる」、と——言っていた。






「——おい! 貴様ら——何者だ——!」





そこへ——光の勇者が——割って入った。





「この、世界の——主人公は——俺だ——! 勝手に——主役面——するな——!」






すると——厨二病の——若者たちは。





一斉に——光の勇者を——見て。





そして——ふっ、と——不敵に——笑った。






「——フッ。我らを——ただの——勇者と——思うな」





「——我らは——"覚醒者"。この、世界の——理を——超えし——存在——!」





「——真の、主人公とは——我らのことだ——!」






「「「「「——なんだと——!?」」」」」






こうして。





五人の——自称・主人公に、加えて。





——大量の——厨二病・自称・主人公が。





一気に——加わった。






「「「「主人公は——俺(我ら)だ——!!!」」」」






広場は——大混乱に——陥った。






「……もう——収拾——つかないよ」





誠は——頭を——抱えた。






その時。





厨二病の——若者の——一人が。





ふと——誠の、方を——見て。





——ぴたり、と——動きを——止めた。






「……ん?」





その、若者は。





じっと——誠を——見つめて。






「……なあ、お前」





急に——決めポーズを——やめて。





素の——口調で——言った。






「お前……どっかで——会った——こと、ない?」






「——え?」





誠の——胸が。





また——きゅっ、と——なった。






——この、感じ。





賢者の、時と——同じだ。






「……僕も——なんだか——そんな、気が——します。どこかで——お会いした、ような……」





「だよなあ……。あれ……でも……どこで、だっけ……」






若者は——首を——ひねって。





うんうん、と——考え込んだ。





だが。






「——おい! 何を——腑抜けて——いる——!」





仲間に——肩を——叩かれて。





はっ、と——我に——返った。






「——っと。いけね。……ふっ! そう、闇の、宴は——これからだ——!」





若者は——また——決めポーズに——戻ってしまった。






「……行っちゃった」





誠は——ぽかんと——見送った。






——と。





店の、隅の——駄々丸が。





またしても——すっ、と——目を——細めていた。






(——ほう。あの、坊主も——か)





(——こりゃあ——ますます——面白く——なってきた)






駄々丸は——にんまり、と——笑って。





煙管を——ふかした。






その日、誠は、祖父のノートに、こう書き加えた。


「大変だ。今日は、空が、いっぱい、裂けて、厨二病の、若者が、団体で、落ちてきた! 二十人以上! 全員、片目、隠したり、包帯、巻いたり、マント、なびかせたり。"我が、右腕の、闇が、疼く"、とか、"覚醒者"、とか。……アルフレート様、なぜか、真っ赤に、なって、"知らん、分からん"、って。絶対、気持ち、分かってるよね、あれ。それから、厨二病の、一人が、僕を見て、"どっかで、会ったこと、ない?"、って! また、あの、きゅっと、なる感じ。賢者さんの時と、同じ。でも、その子も、思い出せないみたい。……なんだろう、この、感じ。最近、多いなあ。駄々丸さん、また、にやにや、してた。何、企んでるんだろう。じいちゃん、うちの店、もう、収拾、つかないよ」



心の中に——一つの、月が——浮かんでいた。



まだこの時の誠は知らない。この——厨二病の——若者たちの、中に。そして——賢者の、中に。



——懐かしい、誰かが。姿を——変え、記憶を——失って……紛れ込んでいたことを。


そして——その、"再会"、が——やがて——誠の——胸を——熱くする……大切な——出来事に——変わることも——今は……まだ、知らない。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ