第245話「帰る、場所」
仲間たちとの——別れを——済ませ。
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誠は——ついに——"帰る"、ことに、した。
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自分の——故郷の、町へ。
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八百屋の——ある、場所へ。
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アルフレートと——エリナと、共に。
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長い、旅路を——経て。
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誠は——懐かしい、町へと——戻ってきた。
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「ただいま……」
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誠は——町の、入り口で——静かに、呟いた。
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戦火は——この、町にも——及んでいた。
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いくつかの、家は——焼け。
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畑も——荒れていた。
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だが——町の、人々は。
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それでも——懸命に——復興に——励んでいた。
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「あっ! 田中さんだ! 田中さんが……帰ってきた!」
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誰かが——叫んだ。
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町の、人々が——一斉に——集まってきた。
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「田中さん! ご無事で!」
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「聞いたよ! あんたが……世界を、救ったって!」
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「よく……帰ってきてくれた!」
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温かい——歓迎に。
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誠は——胸が——熱くなった。
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「みんな……。ただいま……帰りました」
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その時——人混みを——かき分けて。
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一人の、少年が——駆けてきた。
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「師匠ーーー!」
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「ルカ!」
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誠の、弟子——ルカ、だった。
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ルカは——誠に——飛びついた。
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「師匠! 師匠! 無事だったんですね! 良かった……! 本当に……良かった……!」
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ルカの、目から——涙が——溢れた。
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「僕……ずっと……心配で……! 師匠が……戦いに、行ったきり……!」
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「ごめんな、ルカ。心配、かけて」
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誠は——ルカの、頭を——優しく——撫でた。
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「でも……ちゃんと……帰ってきたよ。約束、通り」
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「はい……! おかえり、なさい……! 師匠……!」
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ルカは——涙を、拭いて——顔を、上げた。
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「師匠! 僕……師匠が、いない、間……ずっと……畑を、守ってたんです!」
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「畑を?」
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「はい! 師匠に……教わった、通り……! 地味な、ことを……丁寧に……飽きずに……!」
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ルカは——誇らしげに、言った。
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「戦火で……荒れちゃった、けど……。でも……なんとか……いくつかの、野菜は……守れました!」
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誠は——ルカに——連れられ。
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畑へと——向かった。
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そこには——荒れた、大地の、中に。
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けれど——確かに——青々とした——野菜が——育っていた。
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「ルカ……。これを……お前が……一人で……」
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「はい! 師匠の……教えを……守って!」
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誠は——胸が——いっぱいに、なった。
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祖父から——自分へ。
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そして——自分から——ルカへ。
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「地味な、ことを……丁寧に……飽きずに、続けろ」
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その、教えが——確かに——受け継がれていた。
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「ルカ……。よく……頑張ったな」
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誠は——ルカを——抱きしめた。
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「立派な……八百屋に……なったな」
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「師匠……!」
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ルカは——また——泣き出した。
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その、光景を——アルフレートが——静かに——見ていた。
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「田中。良い……弟子だな」
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「はい。僕の……自慢の、弟子です」
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「師匠から……弟子へ……受け継がれていく、もの、か」
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アルフレートは——感慨深げに、呟いた。
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「これも……一つの……"繋がり"、だな」
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「はい」
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誠は——微笑んだ。
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「一番……身近で……一番……大事な……繋がり、です」
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こうして——誠は。
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帰るべき、場所へ——帰ってきた。
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世界を、救った、後に——待っていたのは。
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大げさな——英雄の、称号でも——なく。
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ただ——温かい——"日常"、だった。
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その日、誠は、祖父のノートに、こう書き加えた。
「町に、帰ってきた。戦火は、この町にも、及んでて……家も、畑も、荒れてた。でも、皆、懸命に、復興してた。"田中さんが、帰ってきた!"、って、温かく、迎えてくれた。そして……ルカが、駆けてきた。"師匠ーーー!"、って、飛びついて、泣いて……"ずっと、心配で"、って。ごめんな、心配、かけて。ルカ、"師匠が、いない、間、ずっと、畑を、守ってた。師匠に、教わった、通り、地味なことを、丁寧に、飽きずに"、って。畑に、行ったら……荒れた、大地の中に、青々とした、野菜が、育ってた。ルカが、一人で、守ったんだ。じいちゃんから、僕へ、僕から、ルカへ……教えが、受け継がれてた。"よく、頑張ったな。立派な、八百屋に、なったな"、って、抱きしめた。アルフレート様が、"師匠から、弟子へ……これも、繋がりだな"、って。一番、身近で、一番、大事な、繋がり。じいちゃん……帰ってきたよ。僕の、帰る場所に」
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心の中に——一つの、月が——浮かんでいた。
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まだこの時の誠は知らない。世界を、救った、英雄の、物語が……終わった、後も——この、小さな、町の……八百屋の、日常は……ずっと……続いていくことを。
そして——その、当たり前の、日常こそが……彼が……命がけで……守り抜いた……"宝物"、で、あることも——今は……確かに……胸に……抱きしめていた。




