第242話「それぞれの、帰路」
祝いの——賑わいが——過ぎ。
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やがて——仲間たちにも。
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それぞれの——故郷へ、帰る——時が——訪れた。
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戦いのために——集った、種族たち。
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彼らには——それぞれの——帰るべき、場所が——あった。
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まず——鬼族の、グランデルが——旅立つことに、なった。
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「田中。世話に、なったな」
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グランデルは——大きな、手を——差し出した。
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「グランデルさん……。健太くん、ですね」
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誠は——その、手を——握った。
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グランデル——かつての、同級生、田中健太。
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妖精王から——鬼族へと——姿を、変え。
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今では——三メートルを、超える——巨躯の、戦士。
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「ワシは……鬼族の、里へ、帰る。皆を……率いて、いかなあかん」
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グランデルは——静かに、言った。
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「でも……たまには……顔を、出すわ。お前の、飯……食いに、な」
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「はい! いつでも……待ってます!」
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誠は——笑った。
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「達者でな、田中。……いや」
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グランデルは——ふと——懐かしそうに——笑った。
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「達者でな……"誠"」
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同じ、名字の——かつての、同級生。
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その、名を——久しぶりに——名前で——呼び合って。
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二人は——静かに——笑い合った。
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次に——龍族の、藤原が——旅立った。
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「田中くん。ほんま……世話に、なったわ」
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藤原——京香は——龍の、姿を——現した。
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「うちは……龍族として……天と、地を……繋ぐ、役目が、ある。空から……この、世界を……見守っていくわ」
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「困った、ことが……あったら……いつでも、呼び。飛んでくるさかい」
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「ありがとう、藤原さん」
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「田中くん」
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藤原は——静かに、微笑んだ。
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「あんた……ほんまに……変わった、男や。戦えへんくせに……世界、救うてしもうた」
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「でも……そういう……あんた、やから……皆……ついていったんやと、思う」
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藤原は——大きな、翼を——広げた。
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「ほな……またな、田中くん」
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そして——龍は——空高く——舞い上がって、いった。
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虫人族の、森川。
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鉱物の、宮田。
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そして——落語家兼、元忍者の、末広。
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同級生たちも——次々と——それぞれの、場所へと——帰っていった。
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「田中……。お前と、また……この、世界で……会えて……良かったよ」
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「うん……。僕も、だよ」
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異世界に——転移し。
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バラバラに——なっていた——かつての、同級生たち。
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その、絆が——この、戦いを、通じて。
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再び——一つに——繋がった。
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一色も——帝国へ——帰ることに、なった。
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「田中くん。私……帝国に、戻るわ」
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一色——美奈子は——静かに、言った。
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「復興が……たくさん……待ってるから。皇帝として……やらなきゃ、いけないこと……いっぱい、ある」
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「一色さん……。無理は……しないでくださいね」
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誠は——気遣った。
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「大丈夫」
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一色は——微笑んだ。
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「もう……一人じゃ、ないもの。職人も……学者も……みんな……私と、一緒に……やってくれる」
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「あなたが……教えてくれた……"繋がり"、の……おかげよ」
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かつて——孤独に——レールガンを、作っていた——一色。
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その、彼女は——今は——多くの、仲間と——繋がっていた。
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「ありがとう、田中くん。あなたに……会えて……本当に……良かった」
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一人、また一人と。
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仲間たちが——それぞれの、場所へ——帰っていく。
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別れは——寂しかった。
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だが——それは——悲しい、別れでは——なかった。
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それぞれが——守り抜いた、世界で。
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それぞれの——新しい、日常を——生きていく。
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その、ための——旅立ち、だった。
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その日、誠は、祖父のノートに、こう書き加えた。
「仲間たちが……それぞれの、故郷へ、帰っていく。グランデルさん……健太は、鬼族の里へ。"たまには、顔を、出すわ。お前の、飯、食いにな"、って。最後に、"達者でな、誠"、って……名前で、呼んでくれた。藤原さんは、龍として、空から、世界を、見守る、って。"戦えへんくせに、世界、救うてしもうた。でも、そういう、あんたやから、皆、ついていった"、って。森川、宮田、末広……同級生たちも、それぞれの、場所へ。バラバラに、なってた、絆が……この戦いで、また、一つに、繋がった。一色さんは、帝国へ。"もう、一人じゃ、ない。あなたが、教えてくれた、繋がりの、おかげ"、って。別れは、寂しい。でも……悲しい、別れじゃ、ない。それぞれが、守り抜いた、世界で……新しい、日常を、生きていく。その、ための、旅立ちだ。じいちゃん……皆……それぞれの、場所で……頑張るよ」
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心の中に——一つの、月が——浮かんでいた。
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まだこの時の誠は知らない。たとえ……離れ離れに、なっても……この、戦いで、生まれた……"繋がり"、は——決して……消えないことを。
そして——いつか、また……皆が……この、繋がりで……集う、日が……来ることも——静かに……信じていた。




