第234話「決戦、前夜(二度目)」
布陣が——整った。
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刻限まで——あと——半日。
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世界中の——レールガンが。
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繋がりの、陣の——配置に——ついた。
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その、夜。
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決戦を、前に——皆は——束の間の——休息を——取っていた。
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前線の、中心——誠のもとには。
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いつものように——皆が——集まっていた。
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だが——今夜は。
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以前の——決戦前夜とは——少し——違っていた。
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「なあ、田中」
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グランデルが——ぽつり、と、言った。
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「あの時……最初の、決戦前夜……覚えてるか」
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「はい。皆で……"戦いが、終わったら、何がしたい"、って……語り合いましたね」
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「そうや。あの時は……正直……勝てるか、どうか……分からへんかった」
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グランデルは——静かに、続けた。
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「でも……今は……違う」
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「今は?」
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「今は……"勝てる"、気が、しとる」
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グランデルは——力強く、言った。
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「なんでか、分からへん。でも……お前が……皆を、繋いでくれた、から……そう、思えるんや」
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藤原も——微笑んだ。
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「うちも……そう、思う。ここまで……皆で……来られたんやもん」
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「あと……一歩、やろ?」
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誠は——皆を、見渡した。
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そこには——第二部の、始まりから——共に、戦ってきた——仲間たちの、顔が、あった。
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覚醒した——グランデル。藤原。竜崎。黒崎。森川。宮田。末広。
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孤独を、越えた——一色。
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身体を、得た——皆瀬。
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真の、勇者と、なった——アルフレート。
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そして——傍らには——妻の、エリナ。
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「みんな……」
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誠は——胸が——熱くなった。
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「ここまで……本当に……ありがとう」
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「僕……一人だったら……何も、できなかった。でも……皆が、いてくれたから……ここまで、来られた」
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「明日……。必ず……この、世界を……守ろう」
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「「「おう!」」」
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やがて——皆が——それぞれの、持ち場へ——戻っていった。
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誠は——一人——高原に——残った。
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「じいちゃん……」
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誠は——夜空を——見上げた。
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「明日……いよいよ……最後の、戦いだ」
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その時——傍らに——エリナが——やってきた。
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「あなた」
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「エリナ」
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エリナは——誠の、隣に——静かに——腰を、下ろした。
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「明日……怖い?」
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「うん……。正直……怖いよ」
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誠は——素直に、答えた。
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「もし……失敗したら……世界が……焼かれる。皆が……死んでしまう」
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「その、重さを、考えると……足が、震える」
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エリナは——静かに——誠の、手を——握った。
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「でもね、あなた。私……知ってるの」
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「あなたは……いつも……そうやって……"怖い"、って、言いながら……」
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「それでも……誰かを、守るために……立ち上がってきた」
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エリナは——優しく、微笑んだ。
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「八百屋の、店先で……困ってる、人が、いたら……放っておけない。それが……あなた」
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「その……小さな、優しさが……いつのまにか……世界中を……繋いだのよ」
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誠は——エリナの、言葉に——胸が——熱くなった。
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「エリナ……」
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「大丈夫。あなたなら……できる」
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エリナは——誠の、手を——強く、握った。
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「だって……あなたには……こんなに……たくさんの……"繋がり"、が、あるんだもの」
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誠は——空を——見上げた。
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二つの、月が——静かに——輝いていた。
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「よそ者……。神様……」
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誠は——静かに、呟いた。
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「あなたたちの……四百年の、想い……。明日……必ず……形に、します」
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その日、誠は、祖父のノートに、こう書き加えた。
「布陣が、整った。刻限まで、あと、半日。決戦前夜、皆が、集まった。グランデルさんが、"最初の、決戦前夜は、勝てるか、分からへんかった。でも、今は、"勝てる"、気が、しとる。お前が、皆を、繋いでくれたから"、って。第二部の、始まりから、共に、戦ってきた、皆の、顔。覚醒した、皆。孤独を、越えた、一色さん。身体を、得た、皆瀬さん。真の、勇者に、なった、アルフレート様。そして……エリナ。皆に、"ありがとう。一人だったら、何もできなかった"、って。夜、エリナが、来て……"あなたは、いつも、怖いって、言いながら、それでも、誰かを、守るために、立ち上がってきた。八百屋の、店先で、困ってる人を、放っておけない、それが、あなた。その、小さな、優しさが、世界中を、繋いだのよ"、って。エリナ……ありがとう。二つの、月を、見上げた。よそ者……神様……あなたたちの、四百年の、想い……明日、必ず、形に、します。じいちゃん……行ってくるよ」
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窓の外——ではなく——高原の、空に——二つの、月が——浮かんでいた。
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まだこの時の誠は知らない。明日の、戦いで——彼が……そして……皆が……見せる、"繋がり"、の、力が——四百年の、時を、超えて……よそ者の、魂すら……救うことに、なることを。
そして——夜が、明ければ……いよいよ……全ての、決着が……つくことも——今はまだ、静かに……受け止めていた。




