第232話「早まる、刻限」
「繋がりの、陣」の——準備を——進めていた、その、時。
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異変は——突然——起きた。
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「田中くん! 大変や!」
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藤原が——空を、指さして——叫んだ。
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誠が——空を——見上げると。
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星喰いの——集めた、光の、塊が。
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これまで、以上の——速さで——凝縮され始めていた。
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「桜庭さん! これは……!」
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「まさか……!」
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桜庭は——慌てて——計算し直した。
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そして——青ざめた。
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「敵が……光を、集める、速度を……急激に……上げてる……!」
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「刻限が……早まってる……! "二日後"、じゃ、ない……!」
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「いつ、なの!?」
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誠が、叫ぶと——桜庭は——震える、声で、答えた。
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「……明日の、正午。あと……一日、しか……ない……!」
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「一日……!」
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誠は——愕然と、した。
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「なぜ……! なぜ……急に……!」
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その時——アルフレートが——静かに、言った。
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「……気づかれたのかもしれん」
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「気づかれた?」
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「星喰いは……"本体"、が……全体を、統べている。ならば……本体には……"意志"、が、ある」
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アルフレートは——険しい、顔で、続けた。
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「俺たちが……"繋がりの、陣"、で……反撃、しようとしていることに……気づき……」
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「その、準備が、整う、前に……先手を、打とうと、しているのだ」
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「そんな……!」
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誠は——拳を、握りしめた。
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「みんな……! 時間が、ない……!」
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誠は——世界中の、仲間に——呼びかけた。
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「繋がりの、陣の……準備を……大至急……進めるんだ……!」
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だが——問題は——山積みだった。
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「田中くん……。世界中の、レールガンを……連携させる、練習が……まだ……全然……!」
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桜庭が——焦った。
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「ぶっつけ、本番に……なるってこと?」
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「そう……。しかも……一度でも、失敗したら……もう……後は、ない……」
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一同に——重い、緊張が——走った。
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世界中の——レールガンを——完璧に——連携させる。
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それを——練習も、なしに——たった一度で——成功させねば、ならない。
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失敗すれば——星が——焼かれる。
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「……できるのか、田中」
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竜崎が——静かに、尋ねた。
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誠は——一瞬——言葉に、詰まった。
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だが——すぐに——顔を、上げた。
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「やります。やるしか……ないんです」
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「でも……一人じゃ、できない」
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誠は——皆を、見渡した。
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「僕が……皆を、繋ぐ。でも……皆が……僕を、信じて……力を、合わせてくれないと……"繋がりの、陣"、は……完成しない」
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「みんな……! 僕を……信じてくれるか……!」
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その、問いに。
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返ってきたのは——迷いの、ない——答えだった。
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「当たり前や!」
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藤原が——即答した。
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「うちら……ずっと……田中くんに……繋いで、もらってきた。今更……何を、言うとるん」
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「お前が……繋ぐなら……ワシらは……どこまでも……ついていく!」
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グランデルも——胸を、叩いた。
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「田中。お前は……もう……立派な……"世界の、中心"、だ」
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竜崎が——微笑んだ。
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「安心して……俺たちを……繋げ」
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誠の——胸が——熱くなった。
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「みんな……。ありがとう……」
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「アルフレート様も……」
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「無論だ」
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アルフレートは——静かに、頷いた。
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「俺は……お前を、支える。それが……俺の……"勇者"、としての、務め、だからな」
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刻限——明日の、正午。
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あと——一日。
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世界の、命運を、賭けた——最後の、戦いが。
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刻一刻と——迫っていた。
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「みんな……! 準備を、始めよう……!」
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誠は——空を——見上げた。
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不気味に——輝きを、増す——光の、塊。
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「必ず……間に合わせる……! 必ず……この、世界を……守るんだ……!」
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その日、誠は、祖父のノートに、こう書き加えた。
「繋がりの陣の、準備を、してたら……星喰いが、急に、光を、集める速度を、上げた。刻限が、早まった。"二日後"、じゃ、ない……明日の、正午。あと、一日、しか、ない。アルフレート様が、"星喰いの、本体には、意志が、ある。俺たちの、反撃に、気づいて、先手を、打とうと、してる"、って。世界中の、レールガンを、連携させる、練習も、まだ、なのに……ぶっつけ、本番。しかも、一度でも、失敗したら、後は、ない。竜崎に、"できるのか"、って、聞かれて……一瞬、詰まった。でも……やるしか、ない。一人じゃ、できない。皆が、僕を、信じて、力を、合わせてくれないと。"信じてくれるか"、って、聞いたら……藤原さん、"当たり前や! 今更、何を!"、って。グランデルさん、"どこまでも、ついていく!"。竜崎、"安心して、俺たちを、繋げ"。アルフレート様も、"俺は、お前を、支える"、って。みんな……ありがとう。刻限まで、あと、一日。必ず……間に合わせる。必ず……この世界を、守る!」
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心の中に——二つの、月が——浮かんでいた。
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まだこの時の誠は知らない。明日の、正午——世界の、全てを、賭けた……最後の、戦いが……始まることを。
そして——その、戦いで……四百年前の……よそ者の、願いが……ついに……果たされることも——もう……すぐ、そこまで……来ていた。




