第229話「氷解」
刻限まで——あと、二日。
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誠は——前線の、中心で。
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世界中を——繋ぎ続けていた。
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そして——アルフレートの——あの、言葉が。
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胸の中で——何度も——反響していた。
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「繋ぐ、者……。世界中の……レールガンを……繋ぐ……」
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誠は——繋がりを、通じて。
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改めて——世界中の、戦線を——見渡した。
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東の、戦線に——並ぶ——光集束レールガン。
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西の、戦線に——並ぶ——光集束レールガン。
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南も。北も。
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世界中に——無数に——並ぶ——太陽の光を、集めて、撃つ——巨大な、砲。
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そして——誠の、頭の中には。
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皆瀬が、記憶した——"ガン"、の、設計図。
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「太陽の光を……集めて……弾として、撃つ……巨大な、砲……」
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誠は——設計図を——思い浮かべた。
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そして——目の前に、並ぶ——光集束レールガンと——見比べた。
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「……同じ、だ」
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誠の——心臓が——大きく——跳ねた。
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「太陽の光を、集めて……弾として、撃つ……。"ガン"、の、設計図と……光集束レールガンが……全く……同じ、仕組み……」
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「まさか……」
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誠の——頭の中で。
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四百年の——謎が。
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一気に——繋がっていく。
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「"ガン"、って……」
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誠は——呆然と——呟いた。
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「もしかして……"レールガン"、の……ことじゃ……ないのか……?」
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その、瞬間。
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全てが——氷解した。
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「そうだ……! そうに、決まってる……!」
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誠は——立ち上がった。
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「よそ者は……別世界から、来た。この、世界の、言葉を……うまく、話せなかった!」
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「だから……! "レールガン"、を……最後まで、言えずに……"ガン"、と……略して、しまった、んだ……!」
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誠は——確信した。
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「"レール・ガン"、の……"ガン"! それが……忍者の里に、伝わった、"最後の、鍵"……!」
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「四百年もの、間……皆が……重々しく……"ガンとは、何か"、と……探し続けてきた、その、正体は……」
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誠は——脱力、しそうに、なった。
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「ただの……"レールガン"、の……略、だったんだ……!」
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「田中!? どうした!」
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アルフレートが——駆け寄ってきた。
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「アルフレート様……! 分かったんです……! "ガン"、の……正体が……!」
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「なに!? 一体……何なのだ!」
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誠は——世界中に、並ぶ——光集束レールガンを——指さした。
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「あれです」
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「……あれ?」
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アルフレートは——きょとん、とした。
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「あれは……一色の……光集束レールガンだが……」
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「そうです。"レールガン"、です」
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誠は——静かに、言った。
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「"ガン"、っていうのは……"レールガン"、の……略、だったんです」
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しん——と——沈黙が——流れた。
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「………は?」
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アルフレートは——間の抜けた、声を——出した。
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「よそ者は……別世界の、人で……この、世界の、言葉が……うまく、話せなかった。だから……"レールガン"、って……正確に、言えなくて……"ガン"、って……略した、まま……忍者の里に……伝えた」
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誠は——淡々と、続けた。
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「それが……四百年……"ガン、ガン"、って……重々しく……語り継がれて……」
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「その、正体を、探して……勇者の里まで、行って……禁忌の間、まで、開けて……」
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誠は——空を——見上げた。
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「答えは……最初から……僕たちの、目の前に……ずらっと……並んでたんです」
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アルフレートは——しばらく——固まっていた。
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そして——ゆっくり、と——世界中に、並ぶ——レールガンを——見た。
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「……つまり……」
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アルフレートの、声が——震えた。
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「俺たちが……四百年の、謎だと……命がけで……追い求めていた……"ガン"、とは……」
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「一色が……とっくに……量産して……そこら中に……並べていた……"レールガン"、の、ことだった……と?」
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「はい」
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「……そんな、オチが……あるか!」
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アルフレートは——思わず——叫んだ。
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その、叫びは。
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繋がりを、通じて——世界中の、仲間にも——届いていた。
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その日、誠は、祖父のノートに、こう書き加えた。
「ついに……気づいた。"ガン"、の、正体に。世界中に、並ぶ、光集束レールガン。その、仕組みが……ガンの、設計図と……全く、同じだった。太陽の光を、集めて、弾として、撃つ、巨大な砲。……そこで、繋がった。"ガン"、って……"レールガン"、の、略、だったんだ。よそ者は、別世界の人で、この世界の、言葉を、うまく、話せなくて……"レールガン"、を、"ガン"、と、略して、忍者の里に、伝えた。それが、四百年……重々しく、語り継がれて……僕たちは、その正体を、探して、勇者の里まで、行って、禁忌の間まで、開けて……。答えは、最初から、目の前に、ずらっと、並んでた。アルフレート様、"そんな、オチが、あるか!"、って、叫んでた。じいちゃん……四百年の、謎の、正体が……こんな……拍子抜けする、ものだったなんて……。でも……ということは……!」
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心の中に——二つの、月が——浮かんでいた。
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まだこの時の誠は知らない。この、"拍子抜けする、真実"、こそが——実は……世界を、救う……最も、確かな、"希望"、で、あることを。
そして——"ガン"、が……すでに……世界中に、揃っている、なら……あとは……それを……"繋ぐ"、だけだと、いうことも——もう……すぐ、そこまで……気づきかけていた。




