表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
英雄は世界を救う。でも、世界を住みやすくするのは八百屋でした ~勇者も魔王も悪の組織も常連です~  作者: 伝説の男前
勇者の里

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
227/447

第225話「瀕死の、報せ」

刻限まで——あと、三日。



"ガン"、の、完成の、目処は——立たない。



焦りと、絶望が——皆を——包む中。



さらなる——凶報が——届いた。




「田中殿……! 大変です……!」




一人の、伝令が——血相を、変えて——駆け込んできた。




「東の……防衛戦線が……!」





「東の、戦線が……どうしたんですか!」




誠は——身を、乗り出した。





「星喰いが……最後の、攻撃の、準備を、しながら……余った、力で……各地の、戦線に……攻撃を……」




伝令は——息を、切らしながら、続けた。




「東の、戦線が……その、攻撃で……壊滅、寸前です……!」





「壊滅、寸前……!」





「戦線を、守っていた……竜崎、殿の、部隊が……住民を、守るために……最後まで……踏みとどまり……」




伝令の、声が——震えた。




「竜崎、殿が……重傷を……負われました……! 今……瀕死の、状態、です……!」





「竜崎が……!?」




誠は——愕然と、した。






すぐに——竜崎が——運ばれてきた。




その、姿を、見て——誠は——言葉を、失った。





竜崎の、身体は——ひどく——焼け、爛れていた。




呼吸は——浅く——今にも——消え入りそう、だった。





「竜崎……! しっかりしろ……!」




誠は——駆け寄った。




「田中……か……」




竜崎は——薄く——目を、開けた。





「すまん……。俺……住民を、守るのに……必死で……油断、しちまった……」




「喋るな! 今……回復させる……!」





誠は——竜崎の、身体に——手を、当てた。




「竜崎……! "生きたい"、って……"また、戦いたい"、って……強く、念じろ……!」





だが——




「田中……。もう……いいんだ……」




竜崎は——弱々しく——微笑んだ。




「俺は……傭兵だ。戦いで、死ぬのは……覚悟の、上さ……」





「何を、言ってるんだ! 諦めるな!」




誠は——必死に——叫んだ。




「竜崎! 君は……戦いが、終わったら……何が、したいって……言ってた!」





竜崎は——ぼんやりと——誠を、見た。




「戦いが……終わったら……?」




「そうだ! 決行前夜……皆で、夢を、語っただろ! 君は……なんて、言ってた!」





竜崎の、記憶が——蘇る。




「そう……だな……。俺は……」




竜崎の、目に——わずかに——光が——戻った。




「部下を……疫病で、失った、時から……ずっと……傭兵として、戦ってきた……」




「戦いが、終わったら……もう……誰も、失わない……平和な、場所で……のんびり……暮らしたい……」





「そうだ! だから……諦めるな! その、夢を……叶えるんだ!」




誠は——叫んだ。




「まだ……戦える! まだ……守れる! 立ち上がれ、竜崎!」





竜崎の、目に——生きようとする——強い、意志が——宿った。




「そう……だな……。まだ……終われねえ……!」




「俺は……まだ……皆と……生きるんだ……!」





その、瞬間。




——ゴォォォォォォォッ!!!





誠の、手が——竜崎の、身体を——眩く、光らせた。





竜崎の——焼け爛れた、身体が——みるみる——癒えていく。




「治って……いく……!」





やがて——竜崎は——完全に——回復し——立ち上がった。




「はぁ……はぁ……。生き……返った……」




「竜崎……! 良かった……!」




誠は——安堵に——崩れ落ちそうに、なった。






だが——この、出来事は。




皆に——改めて——現実を——突きつけた。




「田中くん……。竜崎さんは……助かった。でも……」




桜庭が——静かに、言った。




「あなたが……その場に、いなかったら……竜崎さんは……死んでた」




「各地の、戦線で……今も……大勢の、仲間が……あなたの、力なしで……戦ってる……」





誠は——はっと、した。




「そうだ……。僕は……一人。全部の、戦線を……守れない……」





刻限は——迫る。




戦線は——各地で——崩れかけている。




そして——"ガン"、は——完成しない。





絶望的な——状況の中。




誠は——決断を——迫られていた。





その日、誠は、祖父のノートに、こう書き加えた。


「竜崎が……瀕死の、報せが、届いた。東の戦線で、住民を、守るのに、必死で……重傷を、負って。運ばれてきた、竜崎は……焼け爛れて、今にも、消えそうだった。回復させようと、したけど……竜崎、"もう、いいんだ、傭兵だから"、って、諦めかけてた。だから、叫んだ。"戦いが、終わったら、何がしたいって、言ってた!"、って。竜崎、思い出した。"誰も、失わない、平和な場所で、のんびり、暮らしたい"、って。その、生きようとする、意志で……回復した! 良かった。でも……桜庭さんが、"あなたが、いなかったら、竜崎さんは、死んでた。各地で、今も、大勢が、あなたの力なしで、戦ってる"、って。そうだ。僕は、一人。全部の、戦線を、守れない。刻限は、迫る。戦線は、崩れかけてる。ガンは、完成しない。じいちゃん……僕は……どうすれば……」



心の中に——二つの、月が——浮かんでいた。



まだこの時の誠は知らない。この、"一人では、全部を、守れない"、という、絶望こそが——彼を……前線の、中心へと……そして……"答え"、へと……導くことを。


そして——その、答えが……全ての、戦線を……一つに、繋ぐことで……見えてくることも——今はまだ、知る由もなかった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ