第218話「二つの、月の、始まり」
「この、世界の……"始まり"、の、物語……」
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石碑の、声が——静かに——語り始めた。
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映像は——さらに——古い、時代へと——遡っていった。
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——遥か、昔……
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——この、世界には……"月"、は……一つ、しか……なかった……
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「月が……一つ……!?」
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誠は——驚いた。
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「じゃあ……もう、一つの、月は……後から……?」
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——そうだ……
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石碑の、声が——響いた。
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——四百年、前……
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——よそ者が……この、世界に……"抗う、術"、を……遺した、後……
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映像は——四百年前へと——戻った。
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伝承を——各種族に、託し終えた——よそ者。
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だが——彼には——まだ——やるべきことが——残っていた。
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——よそ者は……"最後の、備え"、を……作ろうと、した……
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——"星喰い"、を……倒すための……"最後の、鍵"、を……
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「"ガン"、を……!」
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誠は——身を、乗り出した。
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映像の中——よそ者は。
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自分が、乗ってきた——"乗り物"、を——分解し始めた。
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そして——その、部品を、使って——何か——巨大な、"装置"、を——作り始めた。
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「あの、装置が……"ガン"……?」
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——だが……
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石碑の、声が——沈んだ。
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——彼、一人の、力では……"ガン"、を……完成させる、ことは……できなかった……
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「完成、できなかった……!?」
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——"ガン"、を……真に……機能させるには……
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——とてつもない……"力"、が……必要、だった……
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——一人では……到底……足りない……"力"、が……
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誠は——考え込んだ。
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「一人では、足りない、力……」
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——そこで……"神"、が……動いた……
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「神様が……!」
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映像に——再び——神様が——現れた。
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天の、存在と、なった——神様。
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彼は——直接、関わることは——できなかった。
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だが——⸻
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——神は……己の、"力"、の……一部を……
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——親友の、"ガン"、を、補うために……捧げた……
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「自分の、力を……捧げた……!」
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——神は……己の、"存在"、の……半分を……
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——一つの……"月"、と、して……この、世界の、空に……昇らせた……
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誠は——息を、呑んだ。
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「まさか……二つ目の、月は……神様、自身……!?」
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——そうだ……
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石碑の、声が——響いた。
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——二つ目の、月は……神が……親友の、ために……捧げた……"己の、半身"……
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「そんな……!」
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誠は——言葉を——失った。
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——その、"月"、が……この、世界に……降り注ぐ、力……
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——それが……"ガン"、を……動かすための……エネルギー、源、なのだ……
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「神様が……自分の、半身を……月に、して……"ガン"、の、力に……!」
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誠は——胸が——締め付けられた。
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「そこまでして……親友の……よそ者を……!」
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——"必ず……また、会おう"……
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——その、約束を……神は……果たそうと、した……
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——たとえ……己の……半身を……失っても……
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誠の、目に——涙が——滲んだ。
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「だから……"二つで、一組"……。二つの、月は……神様の……"想い"、そのものだったんだ……」
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「アルフレート様……。これが……二つの、月の……真実……」
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アルフレートも——静かに——涙を——こらえていた。
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「四百年もの、間……神は……よそ者との、約束を……守り続けて、きたのか……」
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真実は——あまりにも——重く。
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そして——あまりにも——哀しく——美しかった。
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その日、誠は、祖父のノートに、こう書き加えた。
「この世界の、始まりの、物語。昔、月は、一つしか、なかった。二つ目の、月は……四百年前に、できた。よそ者は……"ガン"、を、作ろうと、した。自分の、乗り物を、分解して、巨大な、装置を。でも……一人の力じゃ、完成、できなかった。ガンを、機能させるには、とてつもない、力が、必要だった。そこで……神様が、動いた。神様は……己の、存在の、半分を……一つの、"月"、として、空に、昇らせた。二つ目の、月は……神様、自身! 親友の、ガンを、補うために、捧げた、己の、半身。その月が、降り注ぐ、力が……ガンを、動かす、エネルギー源。神様が、そこまでして……親友を……。"必ず、また、会おう"、の、約束を、果たそうと。だから……"二つで、一組"。二つの、月は……神様の、想い、そのものだったんだ。じいちゃん……なんて……哀しくて……美しい、物語なんだ。涙が、止まらないよ……」
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心の中に——二つの、月が——浮かんでいた。
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まだこの時の誠は知らない。神様が、捧げた、その、"月の、力"、と……皆が、探し続けた、"ガン"、が、揃った、時——ついに……"星喰い"、を、倒す……準備が、整うことを。
そして——その、"ガン"、の、正体が……いよいよ……次に……明かされることも——今はまだ、知る由もなかった。




