第217話「遺された、術」
たった一人で——この、世界を——守ろうとした——よそ者。
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映像は——彼が——"抗う、術"、を——遺していく、過程を——映し出した。
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——よそ者は……知っていた……
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石碑の、声が——響いた。
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——"星喰い"、を……倒す、方法を……
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「倒す、方法を……知ってた……!?」
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誠は——身を、乗り出した。
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——彼の、故郷では……"星喰い"、と……長きに、渡り……戦ってきた……
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——その中で……"倒す、方法"、は……見出されていた……
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「じゃあ……なんで……彼の、故郷は……焼かれたんですか?」
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誠が、尋ねると——石碑の、声は——静かに、答えた。
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——方法は……あった……
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——だが……"間に合わなかった"、のだ……
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——"星喰い"、の、数が……あまりにも、多く……
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——それを、実行する……"備え"、が……間に合う、前に……
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——故郷は……焼かれた……
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誠は——息を、呑んだ。
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「方法は、あったのに……準備が……間に合わなかった……」
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——だから……よそ者は……この、世界で……
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——"星喰い"、が、来る、前に……"備え"、を……間に合わせようと、した……
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「そのために……四百年も、前から……準備を……!」
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映像は——続いた。
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よそ者は——この、世界の——様々な、種族を——訪ね歩いた。
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そして——一つ、一つの、種族に——"倒す、方法"、の——一部を——託していった。
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「あ……! これが……! バラバラの、伝承の……!」
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誠は——はっと、した。
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——彼は……"倒す、方法"、を……一つの、種族に……全て、託す、ことは……しなかった……
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石碑の、声が——響いた。
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——なぜなら……
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——"星喰い"、が、来た、時……どの、種族が……生き残るか……分からなかったから……
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「だから……バラバラに……分けて、託した……!」
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誠は——理解した。
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「どこか、一つの、種族が……滅んでも……他の、種族が……生き残っていれば……」
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「いつか……また……繋げられるように……!」
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——その、通りだ……
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石碑の、声が——響いた。
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——スライム族には……"鏡"、を……
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——龍族には……"天と、地を、繋ぐ、力"、を……
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——鬼族には……"運ぶ、力"、を……
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——虫人族には……"群れる、力"、を……
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——そして……忍者の里には……"最後の、鍵"、を……
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「最後の……鍵……!」
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誠は——ぞくり、とした。
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「それが……"ガン"……!」
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——そう……
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——"星喰い"、を……倒すための……最後の、鍵……
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——それを……彼は……"ガン"、と……呼んだ……
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誠の、胸が——高鳴った。
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「ついに……! "ガン"、の、正体が……!」
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だが——石碑の、声は。
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そこで——一旦——途切れた。
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——だが……その、"ガン"、が、何であるか……
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——それを、語る、前に……
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——お前たちは……知らねば、ならぬ……
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——なぜ……この、世界に……"二つの、月"、が、あるのかを……
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「二つの……月……!?」
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誠は——はっと、した。
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アルフレートが——言っていた——「二つで、一組」、という、言葉。
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「二つの、月と……"ガン"、が……関係、してるんですか……?」
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——全ては……繋がっている……
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石碑の、声が——静かに、響いた。
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——次に、語るのは……この、世界、そのものの……"始まり"、の、物語……
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真実は——さらに——深く。
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世界の、根源へと——迫っていった。
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その日、誠は、祖父のノートに、こう書き加えた。
「よそ者は……"星喰い"、を、倒す、方法を、知ってた。彼の故郷で、見出されてた。でも……方法は、あったのに、"備え"、が、間に合わなくて、故郷は、焼かれた。だから、よそ者は、この世界で、星喰いが、来る前に、備えを、間に合わせようとした。四百年も、前から。彼は、様々な種族を、訪ね歩いて……"倒す方法"、を、一つずつ、託した。これが、バラバラの、伝承の、正体だ! 一つの種族に、全部、託さなかったのは……どの種族が、生き残るか、分からなかったから。滅んでも、いつか、繋げられるように。スライムに、鏡。龍族に、天と地を、繋ぐ力。鬼族に、運ぶ力。虫人族に、群れる力。そして……忍者の里に、"最後の鍵"……"ガン"! ついに、ガンの、正体が……と、思ったら……石碑が、"その前に、なぜ、二つの月が、あるのかを、知らねばならぬ"、って。二つの月と、ガンが、関係してる? 次は……この世界、そのものの、"始まりの、物語"。じいちゃん……真実は……もっと、深いんだ……」
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心の中に——二つの、月が——浮かんでいた。
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まだこの時の誠は知らない。この、世界の、"始まり"、の、物語こそが——"ガン"、の、正体を、解き明かす……最後の、鍵で、あることを。
そして——それを、知った、時……皆が……"答え"、の……あまりの……身近さに……言葉を、失うことも——今はまだ、知る由もなかった。




