第215話「四百年前の、記憶」
石碑から——立ち上った——光の、映像。
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それは——四百年前の——ある、光景から——始まった。
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平和な——勇者の、里。
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まだ——世界が——穏やかだった、頃の——記憶。
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「これは……四百年前の……勇者の、里……」
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アルフレートが——呟いた。
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映像の中——ある日。
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里の、空に——一つの——"光る、もの"、が——落ちてきた。
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「あれは……!」
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誠は——目を、凝らした。
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それは——空から、落ちてきた——小さな——"乗り物"、のような、ものだった。
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見たことも、ない——不思議な——金属の、乗り物。
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その、乗り物から——一人の——"人物"、が——現れた。
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「人……? いや……」
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その、人物は——里の、人々とは——どこか——違っていた。
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肌の、色。服装。全てが——見慣れない——"よそ者"、だった。
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「あれは……一体……どこから……」
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誠が、呟くと——石碑から——声のような、ものが——響いた。
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——彼は……"遥か、彼方"、から……来た……
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——この、世界とは……全く、違う……"別の、世界"、から……
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「別の……世界……!」
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誠は——衝撃を、受けた。
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映像は——続いた。
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その、"よそ者"、は——里の、人々に——保護された。
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だが——彼は——この、世界の、言葉を——うまく——話せなかった。
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「あ……」
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誠は——はっと、した。
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「この、世界の、言葉を……うまく、話せない……。皆瀬さんが……言ってた……!」
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「そう、だったの……!」
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皆瀬も——揺れた。
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「言い伝えが……たどたどしかったのは……この、"よそ者"、が……託したから……!」
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映像の中——よそ者は。
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たどたどしい、言葉で——里の、人々に——必死に——何かを——伝えようと、していた。
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——彼は……警告、していた……
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石碑の、声が——響いた。
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——"追っ手が……来る"、と……
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「追っ手……?」
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——彼の、世界は……すでに……"敵"、に……焼き尽くされていた……
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——彼は……たった一人……その、"敵"、から……逃げてきたのだ……
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誠は——息を、呑んだ。
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「彼の、世界も……敵に……焼かれた……!?」
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——そして……彼は……知っていた……
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——その、"敵"、が……いずれ……この、世界にも……来る、ことを……
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映像の中——よそ者の、顔は。
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深い——悲しみと——そして——強い——決意に——満ちていた。
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「彼は……自分の、世界を……失って……それでも……この、世界を……救おうと……」
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誠は——胸が——締め付けられた。
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——彼は……この、世界に……"抗う、術"、を……遺そうと、した……
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——二度と……同じ、悲劇が……繰り返されないように……
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映像は——さらに——続いた。
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そして——そこに。
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もう一人——重要な、人物が——現れた。
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その、人物を、見て——誠は——驚愕した。
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「あれは……! 神様……!?」
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映像に、映ったのは——まぎれもなく。
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あの——麻雀好きの——神様、だった。
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その日、誠は、祖父のノートに、こう書き加えた。
「石碑が、映し出した、四百年前の、記憶。平和な、勇者の里の、空に……"光るもの"、が、落ちてきた。不思議な、金属の、乗り物。そこから……一人の、"よそ者"、が、現れた。石碑の声が、"彼は、遥か彼方の、別の世界から、来た"、って。別の、世界! しかも……彼は、この世界の、言葉を、うまく、話せなかった。皆瀬さんが、言ってた、通りだ! 言い伝えが、たどたどしかったのは……このよそ者が、託したから。彼は、警告してた。"追っ手が、来る"、って。彼の、世界は……すでに、"敵"、に、焼き尽くされてて……彼は、たった一人、逃げてきた。そして……その敵が、いずれ、この世界にも、来ることを、知ってた。自分の世界を、失っても……この世界を、救おうと……"抗う術"、を、遺そうと、した。そして……映像に、もう一人……あの、麻雀好きの、神様が、現れたんだ! じいちゃん……全部が……繋がり始めてる……」
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心の中に——二つの、月が——浮かんでいた。
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まだこの時の誠は知らない。この、"よそ者"、と……"神様"、の、間に——四百年もの、時を、超えた……深い……深い……"絆"、が、あったことを。
そして——その、絆こそが……この、世界の、命運を……握っていることも——今はまだ、知る由もなかった。




