第214話「禁忌の、間」
長に——導かれ。
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誠と、アルフレートは——里の、最奥へと——進んだ。
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そこには——古い——石造りの、神殿が——そびえていた。
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その、地下深くに。
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"禁忌の、間"、は——あった。
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重い——石の、扉。
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その、表面には——見たことも、ない——古い、文字が——刻まれていた。
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「この、封印は……」
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長は——扉に——手を、当てた。
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「四百年もの、間……誰にも……開けられなかった」
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「どうやって……開けるんですか?」
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誠が、尋ねると——長は——静かに、答えた。
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「この、封印を、解けるのは……"真に、世界を、想う、勇者"、のみ、と……言い伝えられておる」
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「アルフレート。お前が……扉に、触れてみなさい」
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アルフレートは——静かに——扉に、歩み寄った。
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「俺が……"真の、勇者"、か、どうか……分からん。だが……」
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アルフレートは——扉に——手を、当てた。
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「この、世界を……守りたい、という、想いは……誰にも……負けない」
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その、瞬間。
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——ゴゴゴゴゴ……
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扉に、刻まれた——古い、文字が——淡く——光り始めた。
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「これは……!」
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長が——驚愕した。
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「四百年……誰にも、反応、しなかった、封印が……アルフレート、お前に……反応、しておる……!」
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そして——
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——ズゴゴゴゴゴ……ゴォン!
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重い、石の、扉が——ゆっくりと——開いていった。
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「開いた……! 禁忌の、間が……!」
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長は——感慨深げに——アルフレートを、見た。
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「アルフレート……。お前は……"落ちこぼれ"、では、なかった」
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「里の、誰もが……開けられなかった、封印を……お前は……その、"心"、で……開いたのだ」
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「長……」
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「真の、勇者とは……力の、強さ、では、ない。世界を、想う……その、"心"、の、強さ、なのじゃ」
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長は——静かに、微笑んだ。
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「お前は……間違いなく……"真の、勇者"、じゃ」
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誠は——胸が——熱くなった。
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「アルフレート様……! やっぱり……あなたは……本物の、勇者、なんです……!」
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アルフレートは——静かに、頷いた。
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だが——その、表情は——複雑だった。
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「……ありがとう。だが……今は……喜んでいる、場合では、ない」
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「この、奥に……世界の、真実が……眠っている」
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開かれた——扉の、奥。
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そこには——暗い——階段が——地の底へと——続いていた。
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「行こう、田中。真実を……確かめに」
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「はい……!」
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誠と、アルフレート、そして——皆瀬は。
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暗い、階段を——一歩、一歩——降りていった。
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長い——階段の、先。
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そこに——待ち受けていたのは——
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広大な——地下の、空間だった。
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そして——その、中央に。
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何か——巨大な——"石碑"、のような、ものが——鎮座していた。
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「あれは……」
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誠は——その、石碑に——歩み寄った。
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石碑には——びっしりと——古い、文字が——刻まれていた。
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「これは……四百年前の……記録……?」
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その時——石碑が——淡く——光り始めた。
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そして——
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——ヴォォォン……
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石碑から——光の、映像が——立ち上った。
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「な……! 何だ、これは……!」
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それは——四百年前の——"記憶"、を——映し出す——映像だった。
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ついに——世界の、真実が。
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語られようと、していた。
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その日、誠は、祖父のノートに、こう書き加えた。
「禁忌の間に、着いた。四百年、誰にも、開けられなかった、封印。長が、"解けるのは、真に、世界を、想う、勇者のみ"、って。アルフレート様が、扉に、触れたら……光って……開いた! 長が、"アルフレートは、落ちこぼれでは、なかった。真の勇者とは、力の強さじゃ、なく、世界を想う、心の強さ。お前は、真の勇者じゃ"、って。僕、嬉しかった。やっぱり、アルフレート様は、本物の、勇者だ。扉の奥は……暗い、階段が、地の底へ。降りていったら……広大な、地下空間に……巨大な、石碑が。四百年前の、記録らしい。石碑が、光って……四百年前の、記憶を、映す、映像が、立ち上った。ついに……世界の、真実が……語られる。じいちゃん……いよいよだ。四百年前に、何が、あったのか……この目で、見てくるよ」
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窓の外——ではなく——地下深く——それでも——心の中に——二つの、月が——浮かんでいた。
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まだこの時の誠は知らない。この、映像が、映し出す、四百年前の、真実が——彼の……そして……皆の……敵に対する、"見方"、そのものを……根底から……覆すことを。
そして——それが……一人の……"よそ者"、と……一人の……"神"、の……哀しい、物語で、あることも——今はまだ、知る由もなかった。




