第212話「北への、道」
翌朝——誠と、アルフレートは。
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勇者の、里へ——旅立った。
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見送りには——皆が——集まった。
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「田中くん! 気をつけてな!」
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「真実を……確かめてこいよ!」
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「うん! みんな……ここを、頼んだよ!」
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誠は——皆に——手を、振った。
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「田中くん」
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皆瀬が——進み出た。
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「私も……一緒に、行っていい? スライムなら……小さく、なって……あなたの、身体に……くっついていけるから」
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「皆瀬さん……。でも……危険だよ」
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「大丈夫。それに……何か、あった時……私が、いれば……皆と……繋がれるでしょう?」
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皆瀬は——優しく、揺れた。
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「そうだね……。ありがとう、皆瀬さん」
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誠は——微笑んだ。
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こうして——誠、アルフレート、そして——小さくなった、皆瀬の——三人(?)で。
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北への、旅が——始まった。
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北へ——向かう、道は——過酷だった。
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敵に、焼かれた——荒野。
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崩れた——町の、跡。
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その、間を——縫うように——進んでいく。
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「ひどい……。ここも……焼かれたんだ……」
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誠は——焼け野原を——見て——胸を、痛めた。
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「かつては……人が、暮らしてた、はずなのに……」
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「田中」
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アルフレートが——静かに、言った。
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「この、光景を……よく、見ておけ。俺たちが……何のために、戦うのか」
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「はい……」
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旅の、途中——二人は——様々な、種族の、生き残りと——出会った。
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敵に、故郷を——焼かれ。
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それでも——必死に——生きようと、する、人々。
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「あんたたちは……戦って、くれてるのか」
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生き残りの、老人が——誠に、尋ねた。
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「はい。この、世界を……守るために」
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「そうか……。ありがとう。わしらには……もう……戦う、力も、ないが……あんたたちのことを……祈っとるよ」
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誠は——その、言葉に——胸が、熱くなった。
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「必ず……守ります。皆さんの、暮らしを……取り戻します」
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旅を、続けるうち——誠は——ある、ことに、気づいた。
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「アルフレート様。焼かれた、跡が……北に、行くほど……古いですね」
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「古い?」
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「はい。南は……最近、焼かれた、跡。でも……北に、行くほど……ずっと、昔に、焼かれた……ような……」
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アルフレートは——周囲を——見渡した。
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「言われて、みれば……そうだな。北の、方が……古い、焼け跡……」
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「まるで……敵の、攻撃が……"北から、始まった"、かのように……」
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誠は——ぞくり、とした。
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「北から……始まった……。勇者の、里が、ある……北から……」
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「まさか……敵と、勇者の、里には……何か……関係が……?」
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その、疑問は——二人の、胸に——重く——残った。
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やがて——二人は——険しい、山岳地帯に——差しかかった。
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「ここから、先が……勇者の、里への、道だ」
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アルフレートが——言った。
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「険しい、道だ。気を、つけろ」
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そびえ立つ——山々。
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その、奥に——世界の、真実が——眠っている。
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「いよいよ……ですね」
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誠は——山を——見上げた。
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胸の中で——期待と、不安が——入り混じっていた。
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その夜、誠は、祖父のノートに、こう書き加えた。
「アルフレート様と……勇者の里へ、旅立った。皆瀬さんも、小さくなって、一緒に、来てくれた。北への、道は……過酷だった。焼かれた、荒野。崩れた、町の跡。生き残った、人々に、出会った。故郷を、焼かれても、必死に、生きようと、してる。老人が、"あんたたちのことを、祈っとる"、って。必ず、守るって、誓った。それに……気づいた。焼かれた、跡が……北に、行くほど、古いんだ。まるで……敵の攻撃が、"北から、始まった"、みたいに。勇者の里が、ある、北から……。まさか、敵と、勇者の里に……関係が? やがて……険しい、山岳地帯に、差しかかった。ここから先が、勇者の里への、道。いよいよ……世界の、真実が、眠る、場所へ。じいちゃん……期待と、不安が……入り混じってる。でも……行くよ」
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窓の外——裂けた、空と——二つの、月。
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まだこの時の誠は知らない。彼が、気づいた、"敵の、攻撃が、北から、始まった"、という、事実が——実は……この、世界の、真実に……深く……関わっていることを。
そして——勇者の、里こそが……四百年前……"最初に"……敵と、遭遇した、場所で、あることも——今はまだ、知る由もなかった。




