第211話「勇者の、里へ」
「全ての、言い伝えが……集まる、場所」
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その、手がかりを——追って。
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皆は——調査を——始めた。
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各地の——種族に、伝わる——言い伝え。
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その、"源"、を——たどっていく。
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「桜庭さん。各地の、言い伝えを……集めて、比べてみて、分かったことは?」
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誠が、尋ねると——桜庭は——資料を——広げた。
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「面白いことが……分かったの。各地の、言い伝えは……バラバラの、種族に……伝わってる。でも……その、"始まり"、を、たどると……」
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桜庭は——地図を——指し示した。
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「全部……ある、一つの、場所を……指してるの」
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「一つの、場所……!」
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「そう。世界の……ずっと、北の、果て。人が、住まない……険しい、山の、奥」
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桜庭は——静かに、続けた。
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「そこに……全ての、言い伝えの、"源"、が……あるらしいの」
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その時——アルフレートが——静かに、言った。
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「北の、果て……険しい、山の、奥……」
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アルフレートの、表情が——わずかに——こわばった。
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「まさか……そこは……」
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「アルフレート様? 何か……ご存知なんですか」
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誠が、尋ねると——アルフレートは——長い、沈黙の、後——静かに、口を、開いた。
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「そこは……おそらく……"勇者の、里"、だ」
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「勇者の……里……?」
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誠は——首を、傾げた。
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「それは……アルフレート様の……故郷、ですか?」
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「……ああ」
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アルフレートは——静かに、頷いた。
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「俺が……生まれ、育った……場所だ」
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皆が——驚いた。
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「アルフレート様の、故郷が……全ての、言い伝えの、源……!?」
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「そう……なのかもしれん」
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アルフレートは——複雑な、表情を、した。
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「勇者の、里には……古くから……"禁忌の、間"、と、呼ばれる……場所が、ある」
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「そこには……里の、"起源"、に、まつわる……秘密が……封印されている、と……言い伝えられている」
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「禁忌の、間……」
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誠は——ぞくり、とした。
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「その、"秘密"、が……敵の、真実と……関係してる、かもしれない……?」
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「分からん。だが……」
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アルフレートは——静かに、続けた。
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「俺は……里の、落ちこぼれ、だった。レベルも……低く……勇者としての、力も……皆に、劣っていた」
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「だから……里の、深い、秘密には……関わらせて、もらえなかった」
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アルフレートの、声には——わずかな——寂しさが——滲んでいた。
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「だが……今なら……その、"禁忌の、間"、に……入る、資格が……あるのかもしれん」
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「アルフレート様……」
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「田中。俺と……一緒に……勇者の、里へ……行ってくれるか」
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アルフレートは——誠を——見た。
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「そこで……この、戦いの……そして……この、世界の……"真実"、を……確かめたい」
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「はい……!」
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誠は——力強く、頷いた。
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「一緒に……行きます。真実を……知るために」
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こうして——誠と、アルフレートは。
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北の、果て——"勇者の、里"、へと——向かう、ことを——決めた。
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全ての——言い伝えの、源。
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そして——世界の、真実が——眠る、場所へ。
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だが——出発の、前に。
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一つ——気がかりが——あった。
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「僕たちが……里に、行っている、間……敵の、攻撃は……止まらない」
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誠は——空を——見上げた。
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「皆を……残していくのは……心配だ」
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「それは……心配、いらへんで」
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藤原が——微笑んだ。
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「うちらが……ここを、守る。田中くんは……安心して……真実を、確かめてきぃ」
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「そうだ。防衛は……俺たちに、任せろ」
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竜崎も——頷いた。
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「みんな……ありがとう」
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誠は——皆の、信頼に——胸が、熱くなった。
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その夜、誠は、祖父のノートに、こう書き加えた。
「全ての、言い伝えの、源を、たどったら……世界の、北の果て、険しい山の奥を、指してた。そこは……アルフレート様の、故郷、"勇者の、里"、だった。里には、"禁忌の間"、っていう、里の、起源に、まつわる、秘密が、封印された、場所が、ある、って。その秘密が……敵の、真実と、関係してるかもしれない。アルフレート様は、"俺は、里の、落ちこぼれで……深い、秘密には、関わらせて、もらえなかった。でも、今なら、禁忌の間に、入る資格が、あるかもしれん"、って。そして、"一緒に、勇者の里へ、行ってくれるか。真実を、確かめたい"、って。僕は……行くって、決めた。皆が、"防衛は、任せろ、安心して、真実を、確かめてきて"、って。ありがとう。じいちゃん……ついに……全ての、真実を、知る、時が……来るのかもしれない。少し……怖いけど……行ってくるよ」
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窓の外——裂けた、空と——二つの、月。
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まだこの時の誠は知らない。勇者の、里の、"禁忌の、間"、で——彼が、知ることに、なる、真実が——あまりにも……大きく……そして……哀しいもので、あることを。
そして——その、真実こそが……敵を、倒す……最後の、鍵へと……繋がっていくことも——今はまだ、知る由もなかった。




