第210話「敗北の、後で」
作戦の——失敗。
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その、衝撃は——皆の、心に——重く——のしかかっていた。
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拠点には——重い——沈黙が——漂っていた。
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負傷した——仲間たち。
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覚醒した、精鋭ですら——手も足も、出なかった——という、事実。
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それは——皆から——希望を——奪いかけていた。
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「あんなの……勝てるわけ、ない……」
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誰かが——ぽつり、と、呟いた。
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「覚醒しても……あの、本体には……近づくことすら……」
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誠は——負傷者の——手当てを、しながら。
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皆の——沈んだ、様子を——見ていた。
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(また……皆の、心が……折れかけてる)
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(でも……今度は……前とは、違う)
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誠は——立ち上がり——皆に——語りかけた。
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「みんな。確かに……今日は……負けた」
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皆が——顔を、上げた。
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「でも……全部が……無駄だった、わけじゃ、ない」
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誠は——静かに、続けた。
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「僕たちは……今日……敵の、"本体"、を……この目で、見た。その、力を……知った」
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「敵を、倒すには……まず……敵を、知らないと、いけない。今日……僕たちは……大きな、"手がかり"、を……得たんだ」
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「手がかり……?」
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「うん。本体は……無数の、敵を……"レンズ"、みたいに、使って……光を、集めて、撃った。それは……僕たちの、戦い方と……同じ、原理、だった」
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誠は——皆を、見渡した。
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「つまり……敵に、できることは……僕たちにも……できるはずなんだ」
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その、言葉に——桜庭が——頷いた。
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「そうね……。本体は……無数の、敵を、集めて……巨大な、光を、放った。もし……私たちも……もっと、たくさんの、力を、集められれば……」
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「本体に……対抗できる……かもしれない」
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「でも……どうやって……あんなに、たくさんの、力を……」
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グランデルが——呟いた。
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誠は——考えた。
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「今は……分からない。でも……答えは……きっと……"繋がり"、の中に、ある」
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「僕たちが……もっと、たくさんの……仲間と……もっと、深く……繋がれば……本体に、負けない、力が……生まれるはずだ」
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だが——ここで——アルフレートが——重い、口を、開いた。
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「田中……。一つ……言っておかねば、ならんことが、ある」
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「なんですか」
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「俺たちは……敵の、"本体"、を……見た。だが……その、"正体"、が……何なのか……全く……分からなかった」
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アルフレートは——静かに、続けた。
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「あれは……一体……何なのか。なぜ……この、世界を……焼こうと、しているのか。その、"目的"、が……分からない、限り……」
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「本当の、意味で……敵を……倒すことは……できないのかもしれん」
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誠は——静かに、頷いた。
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「そうですね……。僕も……ずっと……それが……引っかかってました」
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「敵の、"目的"、を……知らないと……」
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「田中殿」
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その時——ずっと、黙っていた——忍者が——口を、開いた。
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「敵の、目的を、知る……手がかりが……あるかもしれませぬ」
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「本当ですか!」
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誠は——身を、乗り出した。
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「我が、里の、言い伝え……"ガンを、以て、抗え"。あの、言い伝えを……最初に、遺した、"何者か"」
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忍者は——静かに、続けた。
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「その、"何者か"、が……敵のことを……知っていた、はず。ならば……その、"痕跡"、を……たどれば……」
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「敵の、目的が……分かるかもしれない……!」
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誠は——はっと、した。
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「その、言い伝えは……各地の、種族に……伝わっている。おそらく……同じ、"何者か"、が……分けて、託したもの」
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忍者は——静かに、続けた。
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「その、"源"、をたどれば……全ての、言い伝えが……集まる、場所が……あるはず」
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「そこに、行けば……敵の、"真実"、が……分かるかもしれない……!」
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敗北の——絶望の中で。
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新たな——"真実"、への——道が——見え始めていた。
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その夜、誠は、祖父のノートに、こう書き加えた。
「作戦の、失敗で……皆の、心が、折れかけてた。でも……僕は、言った。"負けたけど、無駄じゃ、ない。敵の、本体を、見て、その力を、知った。本体は、無数の敵を、レンズみたいに、使って、光を、集めて、撃った。僕たちの、戦い方と、同じ、原理だ。敵に、できることは、僕たちにも、できるはず"、って。桜庭さんも、"もっと、たくさんの力を、集められれば、対抗できるかも"、って。でも……アルフレート様が、"敵の、本体の、正体が、目的が、分からない限り、本当の意味で、倒せないかもしれん"、って。そしたら……忍者さんが、"言い伝えを、遺した、何者かの、痕跡を、たどれば、敵の、真実が、分かるかもしれない。言い伝えの、源を、たどれば、集まる、場所が、あるはず"、って。そこに、行けば……敵の、真実が……分かるかもしれない。じいちゃん……敗北の中で……新しい、道が、見えてきた」
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窓の外——裂けた、空と——二つの、月。
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まだこの時の誠は知らない。忍者が、言った、"全ての、言い伝えが、集まる、場所"、こそが——やがて……この、戦いの……そして……この、世界の……"全ての、真実"、が……明らかになる、場所で、あることを。
そして——それが……"勇者の、里"、と、呼ばれる……場所で、あることも——今はまだ、知る由もなかった。




