第20話「焼け跡からの再建」
ゴブリンの巣討伐から、村に戻って数日が過ぎた。
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村は、竜の襲撃から少しずつ立ち直りつつあった。焼け落ちた誠の店も、村人たちの手を借りながら、再建が進められていた。
「田中さん、資材はこれで足りますか」
トビアスが、木材を運びながら尋ねた。
「はい、十分です。ありがとうございます」
誠は、焼け跡に新しく組まれていく柱を見上げながら、感慨深げに呟いた。
「前よりも、少し大きく建てられそうですね」
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「田中商会、再建の噂を聞きつけてな」
ある日、隣町の商人が、誠の店を訪れた。
「タナカソウ茶の評判は、隣町でも広がっている。うちの店でも扱わせてもらえないか」
誠は、少し驚いた。
「隣町にまで、噂が届いているんですか」
「ああ。それに、避難民に炊き出しをした話も、な。あんたの名前は、思っている以上に知られているぞ」
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「田中さん、これって……」
エリナが、その様子を見て、少し興奮した様子で言った。
「商売が、村の外にまで広がるということですよね」
「そうかもしれません」
誠は、まだ実感が湧かないながらも、頷いた。
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再建作業は、順調に進んだ。以前よりも広い店舗、そして薬草の栽培地も、竜の襲撃を教訓に、より安全な場所へと移された。
「これで、また一から始められますね」
エリナが、新しい店舗を見渡しながら言った。
「はい。今度は、もう少し、しっかりとした造りにしましょう」
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「田中さんよぉ」
ゴラムが、再建作業を手伝いながら、誠に声をかけた。
「なんですか」
「お前、最近、勇者様のパーティに同行してるんだって?」
「はい、案内役として、何度か」
「大丈夫なのか、お前が戦えないのに」
誠は、苦笑いした。
「正直、あまり役には立ててません。むしろ、迷惑をかけてばかりで」
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「そんなことないと思いますよ」
エリナが、横から口を挟んだ。
「アルフレート様も、田中さんのことを、頼りにしているみたいですし」
「頼りにしてるというか……」
誠は、ゴブリンの群れを覚醒させてしまったことを思い出し、少し複雑な気持ちになった。
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数週間後、新しい店舗が完成した。以前よりも一回り大きく、研ぎ場、薬草の乾燥・保管スペース、そしてタナカソウ茶を提供する小さな喫茶スペースまで備えた、立派な建物だった。
「立派になりましたね」
村長が、感慨深げに新しい店を見上げた。
「皆さんのおかげです」
誠は、深く頭を下げた。
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「田中さん、これからは、もっと忙しくなりそうですね」
エリナが、新しい看板——「田中商会」と書かれた、以前よりも立派な看板——を見上げながら言った。
「そうかもしれません」
誠は、隣に並べられた、あの最初の拙い「研ぎ屋、始めます」の看板を、そっと見つめた。
「でも、この看板だけは、ずっとここに置いておきたいです」
「はい、私もそう思います」
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その夜、誠は祖父のノートに、こう書き加えた。
「店の再建が終わった。前よりも立派になった。でも、あの最初の看板は、大切に残しておく。じいちゃん、俺はここまで、色んな人に助けられてきた。これからも、その恩を、少しずつ返していきたいと思う」
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窓の外、二つの月が、新しく建てられた店を、優しく照らしていた。
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まだこの時の誠は知らない。この再建された店が、この後、幾多の困難——疫病、飢饉、そしてさらなる戦火——を乗り越えながら、王国最大級の商会へと成長していく、その確かな礎になることを。
そして、遠く離れた場所で、かつての同級生たちもまた、それぞれの姿で、この世界のどこかを生きていることも——今はまだ、誠には知る由もなかった。




