第204話「敵の、変化」
反撃の、輪が——世界中へ——広がっていく。
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誰もが——「これなら、勝てる」、と——希望を——抱き始めていた。
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だが——その、矢先。
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藤原が——偵察から——血相を、変えて——戻ってきた。
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「田中くん! 大変や! 敵の、様子が……おかしいんや!」
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「おかしい?」
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「敵が……攻撃を……止めた」
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「攻撃を、止めた……?」
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誠は——首を、傾げた。
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「それは……いいこと、じゃ……」
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「ちゃう! ちゃうんや!」
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藤原は——焦った、様子で、続けた。
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「敵は……攻撃を、止めて……全部が……一斉に……"向き"、を、揃え始めたんや!」
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一同に——緊張が——走った。
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「向きを……揃える……! ついに……!」
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これまでも——敵は——少しずつ——向きを、揃えていた。
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だが——今は——攻撃を、完全に、止めて——全ての、敵が——一斉に——同じ、方向を——向き始めたのだ。
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「これは……いよいよ……あの、"準備"、が……完成に、近づいてる……!」
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桜庭が——青ざめた。
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「藤原さん。敵は……どこを……向いてるの?」
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誠が、尋ねると——藤原は——沈痛な、面持ちで、答えた。
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「それが……よう、分からへん。ただ……"ある、一点"、に……向かって……全部の、鏡の、面を……揃えていってる」
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「一点に……全部の、鏡を……」
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誠は——ぞくり、とした。
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以前から——恐れていた——最悪の、可能性。
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「敵が……全部の、鏡で……太陽の光を……一点に、集めて……とてつもない、大きな、光を……作ろうと、してる……!」
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「もし……そうなら……」
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桜庭が——震える、声で、言った。
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「私たちの、レンズなんて……比べ物に、ならない……。数十万の、鏡が……集める、光……。それが……一点に……」
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「そんなものを……撃たれたら……一体……何が……起こるの……」
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誰も——答えられなかった。
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「アルフレート様……。これは……」
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誠は——アルフレートを——見た。
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アルフレートは——険しい、顔で——空を——見上げていた。
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「……ついに、来たか」
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「アルフレート様?」
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「以前……俺は、言ったな。"今の、攻撃は、小手調べ。本当の、狙いは、別に、ある"、と」
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アルフレートは——静かに、続けた。
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「その……"本当の、狙い"、が……いよいよ……姿を、現そうとしている」
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誠は——息を、呑んだ。
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「これまでの……村を、焼き……町を、焼き……人を、焼いた……あの、攻撃が……"小手調べ"……」
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「なら……"本当の、狙い"、は……一体……どれほどの……」
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「分からん」
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アルフレートは——静かに、首を、振った。
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「だが……一つ、確かなことが、ある。敵が……その、"準備"、を……完了させる、前に……何としても……止めねばならん」
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「でも……どうやって……」
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誠は——空を——見上げた。
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一点に——向きを——揃えていく——無数の、敵。
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その、光景は——不気味なほど——静かで——そして——恐ろしかった。
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「僕たちの、反撃は……効いてる。でも……敵は……もう……"次の、段階"、に……進もうとしてる」
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誠は——焦りを——感じた。
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「間に合うのか……。敵の、準備が……完成する、前に……」
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反撃の、希望が——見え始めた、矢先。
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敵は——その、"本当の、姿"、を——現そうと、していた。
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新たな——そして——最大の——脅威が。
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刻一刻と——迫っていた。
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その夜、誠は、祖父のノートに、こう書き加えた。
「反撃が、うまく、いき始めた、矢先……藤原さんが、血相を、変えて、戻ってきた。敵が……攻撃を、止めて……全部が、一斉に、"向き"、を、揃え始めた、って。ある、一点に、向かって……全部の、鏡の面を。桜庭さんが、"数十万の、鏡が、集める、光が、一点に……そんなものを、撃たれたら"、って。とてつもない、大きな、光を、作ろうと、してるんだ。アルフレート様が、"今までの攻撃は、小手調べ。本当の、狙いが、いよいよ、姿を、現そうとしてる"、って。村を、町を、人を、焼いた、あの攻撃が……"小手調べ"。なら、本当の、狙いは……どれほどの……。敵が、準備を、完成させる前に、止めないと。でも……どうやって。反撃が、効き始めたのに……敵は、もう、次の段階に、進もうとしてる。じいちゃん……間に合うのか。最大の、脅威が……迫ってるんだ」
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窓の外——裂けた、空と——二つの、月。
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まだこの時の誠は知らない。敵が、集めようとしている、その、"大きな、光"、が——一体……何を……焼こうと、しているのかを。
そして——その、標的が……この……"星"、そのもので……もし、それが、放たれれば……世界の、全てが……焼き尽くされることも——今はまだ、知る由もなかった。




