第200話「この手が、あったか」
「皆を、繋いで……一斉に、力を、引き出す」
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その、発見に——誠は——確かな、手応えを——感じていた。
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だが——同時に——一つの——大きな、疑問が——湧いてきた。
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「待てよ……。もし……皆を、繋いで……力を、引き出せるなら……」
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誠は——考えた。
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「どこまで……"大きく"……できるんだろう」
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これまで——誠は。
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目の前の、仲間を——一人ずつ——あるいは——手を、繋いだ、数人を——覚醒させてきた。
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だが——もし——もっと、たくさんの、仲間を——一度に——繋げられたら。
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「桜庭さん。相談が、あるんだ」
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誠は——桜庭に——自分の、考えを——打ち明けた。
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「僕の、力は……皆を、繋げば……一斉に……引き出せる。なら……もし……ここに、いる、全員を……一度に、繋げたら……どうなるかな」
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「全員を……一度に……!?」
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桜庭は——目を、見開いた。
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「それは……試したこと、ないわね。でも……理論上は……可能なはず」
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「問題は……どうやって……"全員を、繋ぐ"、か、よ」
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「繋ぐ、方法……」
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誠は——考えた。
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「手を、繋ぐだけじゃ……大人数だと……限界が、ある」
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その時——皆瀬が——ぽつり、と、言った。
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「あのね……。私たち、スライムが……"間"、に……入るのは、どう?」
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「スライムが、間に?」
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「うん。私たち……身体を……薄く、広げて……皆と、皆を……"繋ぐ"、ことが……できるかもしれない」
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「そうか……! スライムの、皆さんが……"繋ぎ手"、になるんだ……!」
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誠は——閃いた。
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「スライムが……皆の、間に、入って……全員を……一つに、繋ぐ。そうすれば……大人数でも……一度に……繋がれる……!」
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早速——試してみることに、なった。
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拠点に、いる——仲間、全員が——集まった。
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鬼族。龍族。虫人族。忍者。傭兵団。そして——他の、多くの、者たち。
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その、間を——スライムたちが——薄く、広がって——繋いでいく。
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まるで——一枚の——透明な、"膜"、が——全員を——包み込むように。
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「準備は……いい?」
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誠は——皆を、見渡した。
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「皆……! 一つに、なる、つもりで……! "強くなりたい、皆を、守りたい"、って……心を、一つに……!」
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「「「おおおお!」」」
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全員の、意志が——スライムの、膜を、通じて——一つに——繋がっていく。
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「行きます……!」
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誠は——スライムの、膜に——両手を、当てた。
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「みんなの、力を……引き出す……! 全員……一斉に……覚醒しろ……!」
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その、瞬間。
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——ゴォォォォォォォォォォォッ!!!!!
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拠点、全体が——眩い、光に——包まれた。
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繋がった、全員が——一斉に——覚醒する。
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鬼族が。龍族が。虫人族が。忍者が。傭兵団が。
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全員が——同時に——力を——爆発的に——高めた。
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「うおおお! 力が……溢れてくる……!」
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「なんや、これ……! 身体が……軽い……!」
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「すごい……! 皆と、繋がってるのが……感じられる……!」
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光が——収まった、後。
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そこには——覚醒した——強大な、軍勢が——立っていた。
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「これは……!」
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誠は——愕然と、した。
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「全員が……一度に……覚醒した……!」
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たった、一度——スライムの、膜に、触れただけで。
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拠点に、いる——全ての、仲間が——一斉に——覚醒したのだ。
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「この、手が……あったか……!」
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誠は——己の、手を——見つめた。
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「一人ずつ、じゃ、ない……! スライムが……繋ぎ手に、なれば……何百、何千の、仲間でも……一度に……覚醒させられる……!」
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「田中……」
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アルフレートが——静かに、言った。
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その、声には——確かな——感嘆が——込められていた。
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「ついに……たどり着いたな。お前の、力の……本当の、"使い方"、に」
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「はい……!」
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誠は——力強く、頷いた。
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「僕は……戦えない。でも……皆を、繋いで……皆の、力を……一斉に……引き出すことが……できる」
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「これが……僕の……"戦い方"、なんです」
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戦えない、モブが——数百、数千の、仲間を——一斉に、覚醒させる。
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その、力は——もはや——一人の、勇者の、力を——遥かに——超えていた。
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「これで……反撃の……本当の、準備が……整った」
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誠は——空を——見上げた。
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無数の、敵。
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だが——もう——以前のような——絶望は——なかった。
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「皆の、力を……一つに、繋げば……あの、敵にも……きっと……勝てる」
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その夜、誠は、祖父のノートに、こう書き加えた。
「皆を、繋いで、力を、引き出せるなら……もっと、たくさんの、仲間を、一度に、繋げないか、って、考えた。桜庭さんに、相談したら、"理論上は、可能。問題は、どうやって、繋ぐか"、って。そしたら……皆瀬さんが、"私たち、スライムが、間に、入って、繋ぐのは、どう?"、って。スライムが、薄く、広がって、皆と、皆を、繋ぐ、"繋ぎ手"、になる。試したら……拠点の、全員が、スライムの膜で、繋がって……僕が、触れたら……全員が、一斉に、覚醒した! 何百人もの、仲間が、一度に! この手が、あったか、って、思った。僕は、戦えない。でも……皆を、繋いで、皆の力を、一斉に、引き出せる。これが、僕の、戦い方だ。アルフレート様も、"お前の、力の、本当の、使い方に、たどり着いた"、って。もう……以前みたいな、絶望は、ない。皆の力を、一つに、繋げば……あの敵にも、勝てる。じいちゃん……ついに……ここまで、来たよ」
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窓の外——裂けた、空と——二つの、月。
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まだこの時の誠は知らない。この、"スライムが、繋ぎ手に、なって……全員を、一斉に、覚醒させる"、という、力こそが——やがて……世界中の……あらゆる、種族を……一つに、繋ぐ……"繋がりの、陣"、へと……発展していくことを。
そして——それでも、なお……敵を、倒すには……まだ……"最後の、答え"、が……足りないことも——今はまだ、知る由もなかった。




