第198話「一色の、覚醒」
覚醒の、連鎖が——皆を——強くしていく。
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その、報せは——やがて——帝都の、一色にも——届いた。
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「田中くんが……皆を、覚醒させて……強くしている……?」
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一色は——その、話を、聞いて——居ても、立っても、いられなく、なった。
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前線の、拠点に——一色が——自ら——やってきた。
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「田中くん!」
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「一色さん! どうしたんですか、こんな、前線まで……」
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一色は——真剣な、顔で——言った。
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「私も……覚醒、させて、ほしいの」
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「一色さんを……?」
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「そう。私……皇帝として……レールガンを、作ることしか……できなかった。でも……皆が、戦ってるのに……私だけ……後方に、いるのは……もう、嫌なの」
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一色の、瞳には——強い、決意が——宿っていた。
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「私も……皆と……一緒に……戦いたい」
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「でも……一色さん。覚醒は……全力で……僕と、向き合う、必要が、あります。それは……きっと……苦しいですよ」
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「望むところよ」
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一色は——きっぱりと、言った。
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「私……ずっと……一人で……背負ってきた。でも……あなたが……教えてくれた。"一人じゃ、ない"、って」
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「だから……今度は……皆と、繋がって……全力で……向き合いたいの」
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誠は——一色の、覚悟を——受け止めた。
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「分かりました。行きますよ、一色さん!」
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誠と、一色は——向かい合った。
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そして——両手を——握り——全力で——意志を——ぶつけ合う。
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「私……もっと……皆の、役に……立ちたい……!」
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一色が——全力で——念じる。
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「うおおおお!」
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「はあああ!」
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二人の、意志が——真っ向から——ぶつかり合った。
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そして——
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——ゴォォォォォォォッ!!!
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一色の、身体が——眩く、光った。
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「あ……! 頭の中に……次々と……"設計"、が……浮かんでくる……!」
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一色の——覚醒は——他とは——違っていた。
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肉体的な、力ではなく——彼女の——"叡智"、が——覚醒したのだ。
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「見えた……! レールガンの……新しい、設計が……! これなら……砲身が、砕けずに……射程を、伸ばせる……!」
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「本当ですか、一色さん!」
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「ええ……! それだけじゃ、ない……! スライムの、レンズと……レールガンを……"組み合わせる"、方法も……見えてきた……!」
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誠は——驚いた。
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「レールガンと……スライムのレンズを……組み合わせる……?」
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「そう……! レールガンの、砲弾を……スライムの、レンズで……集めた、光で……加速させる……! そうすれば……威力も、射程も……飛躍的に……上がるはず……!」
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一色の、頭の中では——覚醒によって——次々と——新しい、アイデアが——生まれていた。
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「これは……すごい……! 一色さんの、覚醒で……新しい、武器が……生まれるかもしれない……!」
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だが——ここで——誠は——ふと——引っかかった。
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「一色さん。一つ……聞いても、いいですか」
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「なに?」
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「その……"レールガン"、って……そもそも……どういう、意味なんですか」
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一色は——きょとん、とした。
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「意味……? うーん……。私が……この、兵器を、作った、時に……名付けた、名前、だけど……」
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「"レール"、の、上を、走らせて……撃ち出すから……"レールガン"、って……」
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「レール……ガン……」
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誠は——その、言葉を——繰り返した。
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なぜか——胸の、奥が——ざわついた。
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「"ガン"……」
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忍者の里の——言い伝え。
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「"ガン"、を、以て……抗え」
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「まさか……ね」
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誠は——首を、振った。
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「関係……ない、か。ただの……偶然だよな」
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その、小さな——引っかかりを。
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誠は——まだ——深く、考えることは——なかった。
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その夜、誠は、祖父のノートに、こう書き加えた。
「一色さんが……前線まで、来て、"私も、覚醒させてほしい。皆と、一緒に、戦いたい"、って。全力で、向き合ったら……一色さんが、覚醒した。でも……他とは、違った。肉体の力じゃ、なくて……"叡智"、が、覚醒したんだ。頭の中に、次々、新しい、設計が、浮かんでくる、って。砲身が、砕けずに、射程を、伸ばす、方法。それに……レールガンと、スライムのレンズを、"組み合わせる"、方法も、見えた、って。すごい。新しい、武器が、生まれるかもしれない。……それにしても。一色さんに、"レールガン、って、どういう、意味?"、って、聞いたら……"レールの上を、走らせて、撃つから、レールガン"、って。"ガン"……。忍者の里の、言い伝え、"ガンを、以て、抗え"。まさか……ね。関係、ないよな。ただの、偶然だ。じいちゃん……なんか、ちょっと、引っかかったけど……気のせいだよな」
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窓の外——裂けた、空と——二つの、月。
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まだこの時の誠は知らない。今、彼が、"偶然"、と、片付けた、その、引っかかりこそが——実は……四百年もの、間……皆が、探し続けてきた……"答え"、そのものであることを。
そして——その、"答え"、が……あまりにも……身近すぎて……誰も……気づけなかった、ことも——今はまだ、知る由もなかった。




