第195話「決意の、朝」
「全力で、向き合えば……覚醒する」
⸻
その、発見によって。
⸻
誠の、力は——大きな——可能性を——手に、入れた。
⸻
だが——それでも——誠は——一つ——確かめて、おきたいことが、あった。
⸻
⸻
⸻
翌朝——誠は——皆を——集めた。
⸻
⸻
スライムも。鬼族も。龍族も。虫人族も。忍者も。傭兵団も。
⸻
⸻
そして——アルフレートも。
⸻
⸻
⸻
「みんな。聞いてほしいことが、あるんだ」
⸻
⸻
誠は——静かに、切り出した。
⸻
⸻
「僕の、力……"全力で、向き合えば……皆を、覚醒させて……強くできる"、って、分かった」
⸻
⸻
⸻
皆が——静かに——耳を、傾けた。
⸻
⸻
「これを……皆に、使えば……戦況は……大きく、変わるかもしれない。でも……」
⸻
⸻
誠は——一人、一人の、顔を——見た。
⸻
⸻
「これは……皆に……"全力で、僕と、向き合う"、ことを……お願いする、ってことなんだ」
⸻
⸻
⸻
「覚醒するのは……楽じゃ、ない。全力で、意志を、ぶつけ合う……。それは……きっと……苦しいことだ」
⸻
⸻
誠は——静かに、続けた。
⸻
⸻
「だから……無理には……頼めない。皆が……嫌なら……この、方法は……使わない」
⸻
⸻
⸻
すると——グランデルが——豪快に、笑った。
⸻
⸻
「わはは! 何を、水臭いこと、言うとるんや、田中!」
⸻
「グランデルさん……?」
⸻
⸻
「ワシらは……お前を……信じとる。お前が……"強くなれる"、言うんやったら……喜んで……向き合うわ!」
⸻
⸻
⸻
「そうや、田中くん!」
⸻
⸻
藤原も——頷いた。
⸻
⸻
「うちらは……一緒に、戦う、仲間や。全力で、ぶつかるくらい……なんてこと、あらへん!」
⸻
⸻
⸻
「俺も、だ」
⸻
⸻
竜崎が——拳を、握った。
⸻
⸻
「もう、一回、覚醒したって……いいぜ。お前となら……何度でも、向き合う」
⸻
⸻
⸻
次々と——仲間たちが——声を、上げた。
⸻
⸻
「私も……!」
⸻
「我が、力……存分に……引き出すがいい……!」
⸻
「田中くんと、なら……頑張れる!」
⸻
⸻
⸻
誠は——胸が——熱くなった。
⸻
⸻
「みんな……」
⸻
⸻
⸻
誰も——嫌がらなかった。
⸻
⸻
皆が——誠を、信じ——喜んで——向き合おうと、してくれた。
⸻
⸻
「これが……"繋がり"、なんだ」
⸻
⸻
誠は——静かに、思った。
⸻
⸻
「僕が……皆を、信じ……皆も……僕を、信じてくれる。その、"信頼"、が、あるから……全力で、向き合える」
⸻
⸻
⸻
⸻
「アルフレート様」
⸻
⸻
誠は——アルフレートを——見た。
⸻
⸻
「僕……決めました」
⸻
⸻
「この、力を……使います。皆と……全力で、向き合って……皆の、力を……引き出します」
⸻
⸻
⸻
アルフレートは——静かに、微笑んだ。
⸻
⸻
「そうか。……お前が、決めたなら……俺は……何も、言うまい」
⸻
⸻
「ただ……一つ、だけ」
⸻
⸻
アルフレートは——誠を、見た。
⸻
⸻
「お前の、"覚悟"、が……皆の、"覚悟"、を……引き出す。だから……お前も……全力で……向き合え」
⸻
⸻
⸻
「はい……!」
⸻
⸻
誠は——力強く、頷いた。
⸻
⸻
⸻
朝日が——高原を——照らした。
⸻
⸻
長い——防衛戦の中で——ただ、守り……ただ、耐えるだけ、だった、日々。
⸻
⸻
その、日々が——今——終わろうと、していた。
⸻
⸻
⸻
「みんな……! 今日から……"反撃"、を、始めよう!」
⸻
⸻
誠は——皆を、見渡し——宣言した。
⸻
⸻
「僕たちの、"繋がり"、で……皆の、力を……最大限に、引き出して……あの、敵に……立ち向かうんだ!」
⸻
⸻
⸻
「「「おおおおお!」」」
⸻
⸻
高原に——皆の、鬨の声が——響き渡った。
⸻
⸻
⸻
長かった——"防衛"、の、日々。
⸻
⸻
その、終わりと。
⸻
⸻
新たな——"覚醒"、と、"反撃"、の——始まり。
⸻
⸻
誠たちは——今——大きな、一歩を——踏み出そうと、していた。
⸻
⸻
⸻
その夜、誠は、祖父のノートに、こう書き加えた。
「今朝、皆を、集めて、話した。"皆に、全力で、向き合って、覚醒させる、力を、使いたい。でも、覚醒は、苦しい。嫌なら、使わない"、って。そしたら……グランデルさんが、"何を、水臭い。ワシらは、お前を、信じとる。喜んで、向き合う"、って。藤原さんも、竜崎も、皆も……次々、"向き合う"、って、言ってくれた。誰も、嫌がらなかった。皆が、僕を、信じて、くれた。これが、繋がりなんだ。僕が、皆を、信じ、皆も、僕を、信じる。その、信頼が、あるから、全力で、向き合える。アルフレート様が、"お前の、覚悟が、皆の、覚悟を、引き出す。全力で、向き合え"、って。僕は……決めた。この力を、使う。皆と、全力で、向き合って、皆の力を、引き出す。今日から……反撃を、始める。長い、防衛の日々が……終わる。じいちゃん……ついに、ここまで、来たよ。皆と、一緒に……前に、進むんだ」
⸻
窓の外——裂けた、空と——二つの、月。
⸻
まだこの時の誠は知らない。この、"決意の、朝"、から始まる、反撃が——やがて……この、長い、戦いの……大きな、転換点に、なることを。
そして——皆と、"全力で、向き合う"、その、先に……この、戦いの……そして、この、世界の……"本当の、真実"、が……待ち受けていることも——今はまだ、知る由もなかった。




