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英雄は世界を救う。でも、世界を住みやすくするのは八百屋でした ~勇者も魔王も悪の組織も常連です~  作者: 伝説の男前
防衛

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第193話「もう一つの、力」

「味方を、殴る」



その、方法を——聞いてから。



誠は——ずっと——悩んでいた。



「仲間を……傷つける、なんて……できない」




だが——同時に——思う。




「でも……この、力を、使えば……戦況が……変わるかもしれない」






答えの、出ない、まま。




誠は——皆瀬に——相談してみることに、した。




「皆瀬さん。実は……アルフレート様から……こんなことを……言われたんだ」




誠は——覚醒の、力の、ことを——打ち明けた。





「僕の、力を……最大限に、引き出すには……味方を……"殴る"、必要が、ある、って」




「でも……そんなこと……できるわけが……」





皆瀬は——静かに——聞いていた。




そして——ぽつり、と、言った。




「田中くん……。試しに……私で、やってみない?」





「え……!?」




誠は——驚いた。




「皆瀬さんを……殴る、なんて……!」




「大丈夫。私……スライムだから……殴られても……痛くないの」




皆瀬は——ぷるぷると、揺れた。




「それに……あなたの、力が……本当に……"味方を、強くする"、のか……確かめる、必要が、あるでしょう?」





「でも……」




「私は……大丈夫だから。ね?」




皆瀬の、優しい、言葉に——誠は——迷いながらも——頷いた。




「分かった……。でも……無理そうなら……すぐ、言ってね」






誠は——拳を——握った。




そして——皆瀬に——向かって——構えた。




「行くよ……皆瀬さん! 応戦して……!」




「うん! 来て、田中くん!」





誠は——皆瀬に——拳を——振るった。




——ポヨン!





拳は——皆瀬の、柔らかい、身体に——めり込み——跳ね返された。




そして——皆瀬が——"応戦"、するように——誠に——ぶつかってきた。





その、瞬間。




——ゴォォォォォォォッ!!!





誠と、皆瀬の、間に——眩い、光が——爆ぜた。




「うわ……!?」





光が——収まると。




皆瀬の、姿が——変わっていた。





これまでより——ずっと、大きく。




そして——身体の、輝きが——増していた。




「皆瀬さん……!?」




「あ……! 力が……! 力が、みなぎってくる……!」





皆瀬は——驚いたように——揺れた。




「なに、これ……! 身体が……前より……ずっと、しっかりしてる……! 光を、集める、力も……すごく、強くなってる……!」





「本当に……覚醒した……!」




誠は——愕然と、した。




「僕の、力で……皆瀬さんが……強くなった……!」





皆瀬は——試しに——太陽の光を——集めてみた。




すると——これまでとは——比べ物に、ならない——強力な、光線が——放たれた。




——ヒュゴォォォォォォォッ!!!





「すごい……! 前の、何倍もの、威力だ……!」





「田中くん……! あなたの、力……本当に……すごい……!」




皆瀬は——感激したように、揺れた。




「これなら……もっと、たくさんの、敵を……倒せる……!」





誠は——自分の、拳を——見つめた。




「僕の、力は……本当に……味方を……強くできるんだ……」




だが——誠の、心には——複雑な、思いが——残った。




「皆瀬さんは……痛くない、って、言ってくれた。でも……他の、皆は……人間や、鬼族や、龍族は……殴られたら……痛い……」





「僕は……仲間を……痛い、思いを……させてまで……この、力を……使えるのか……」





その、葛藤は——依然——誠の、心に——重く——のしかかっていた。





その夜、誠は、祖父のノートに、こう書き加えた。


「皆瀬さんに、相談したら……"試しに、私で、やってみない? スライムだから、殴られても、痛くないの"、って。迷ったけど……皆瀬さんに、拳を、振るった。ポヨンって、跳ね返されて……皆瀬さんが、応戦してきた、瞬間……眩い光が、爆ぜて……皆瀬さんが、覚醒した! 前より、ずっと、大きくなって、輝きも、増して……光を集める力も、すごく、強くなった。試しに、撃ったら……前の、何倍もの、威力の、光線が! 僕の力で……皆瀬さんが、強くなったんだ。本当に、味方を、強くできる。でも……皆瀬さんは、痛くない、って、言ってくれた。他の、皆は……人間や、鬼族や、龍族は……殴られたら、痛い。仲間に……痛い思いを、させてまで……この力を、使えるのか。じいちゃん……力の、すごさは、分かった。でも……僕の、心は……まだ、決められないでいる」



窓の外——裂けた、空と——二つの、月。



まだこの時の誠は知らない。この、"味方を、覚醒させる"、力こそが——やがて……数万の、敵を、相手に……皆の、力を……何倍にも、する……決定的な、切り札に、なることを。


そして——彼が、抱える、その、"葛藤"、を……乗り越えさせてくれるのが……仲間たち、自身で、あることも——今はまだ、知る由もなかった。

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