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英雄は世界を救う。でも、世界を住みやすくするのは八百屋でした ~勇者も魔王も悪の組織も常連です~  作者: 伝説の男前
防衛

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第192話「アルフレートの、沈黙」

「自分の、力は……皆の、力を、引き出して、繋ぐ、こと」



その、気づきを——胸に。



誠は——再び——立ち上がった。



だが——一つ——気に、なることが、あった。




「僕の、覚醒の、力……。スライムを、回復させたり……鬼族の、翼を……呼び覚ましたり、した」




誠は——考えた。




「でも……もっと……色々な、使い方が……あるんじゃ、ないか」






そんな、ある日。




誠は——アルフレートが——一人、静かに——考え込んでいるのを——見かけた。




「アルフレート様? どうかしましたか」





アルフレートは——珍しく——沈んだ、表情を、していた。




「田中……。少し……聞いても、いいか」



「はい」




「お前の、"覚醒"、の、力……。あれは……本来……"戦いの、最中"、に……発動する、ものだった、な」





「そうですね。相手に、触れて……相手が、応戦すると……相手が、覚醒する」




「昔は……猫とか、ゴブリンとかを……暴走させて……さんざん……迷惑を、かけました」





アルフレートは——静かに、頷いた。




「そうだ。相手を……"強く"、する、力。……ということは、だ」




アルフレートは——ふと——言葉を、切った。




「その、力を……"味方"、に、使えば……味方を……"強く"、できる、のではないか」





誠は——はっと、した。




「味方を……強く……!」




「回復や……眠っている、力を……呼び覚ますだけ、ではない。応戦している、相手を……"覚醒"、させ……本来の、力を……何倍にも、する」




アルフレートは——静かに、続けた。




「それを……戦っている、味方に、使えば……味方の、戦闘力を……飛躍的に……高められる、かもしれん」





誠は——衝撃を、受けた。




「そうか……! 僕の、力は……"相手を、覚醒させる"、力……! 味方に、使えば……味方が、覚醒して……強くなる……!」





だが——アルフレートの、表情は——晴れなかった。




「アルフレート様? どうして……そんな、浮かない、顔を……」





アルフレートは——長い、沈黙の、後——静かに、口を、開いた。




「田中……。実は……お前の、力を……"確実に"、発動させる、方法が……一つ、ある」



「え?」




「お前の、力は……相手が……"応戦"、した、時に……発動する。つまり……相手が……お前に……"反撃"、してくる、状況を……作れば、いい」





誠は——考えた。




「反撃してくる……状況……」




「そうだ。相手が……お前を……"敵"、と、認識し……全力で……向かってくる。その、時……お前の、力は……最も、強く……発動する」





「でも……どうやって……味方に……そんなことを……」




「簡単だ」




アルフレートは——静かに、言った。




「お前が……味方を……"殴れ"、ばいい」





「え……!?」




誠は——絶句した。




「味方を……殴る……!?」




「そうだ。お前が……本気で……味方を、殴り……味方が……"応戦"、してくる。その、瞬間……お前の、力が……最大限に……発動し……味方は……覚醒する」





誠は——愕然と、した。




「そんな……! 味方を、殴る、なんて……!」




「分かっている。だから……俺は……この、方法を……お前に……言うべきか……ずっと、迷っていた」





アルフレートは——沈痛な、面持ちで——続けた。




「お前は……優しい、男だ。仲間を……傷つけることなど……できないだろう」




「だが……もし……お前が……この、力を……使いこなせれば……戦況は……大きく……変わるかもしれん」





誠は——言葉を——失った。




自分の、力を——最大限に、引き出す、方法。




それは——仲間を——"殴る"、という……あまりにも……受け入れがたい……方法だった。





「これは……お前にしか……決められないことだ」




アルフレートは——静かに、言った。




「よく……考えるがいい」





その夜、誠は、祖父のノートに、こう書き加えた。


「アルフレート様が……重い話を、してくれた。僕の、覚醒の力は……"相手を、強くする"、力。それを、味方に、使えば……味方を、強く、できる、って。回復や、翼だけじゃ、なくて……味方の、戦闘力を、飛躍的に、高められるかもしれない。それは、すごい、発見だ。でも……アルフレート様は、浮かない顔で……"力を、確実に、発動させる、方法が、ある"、って。僕の力は、相手が、"応戦"、した、時に、発動する。だから……"味方を、殴れ"、って。味方が、応戦してくる、その、瞬間、力が、最大限に、発動して、味方が、覚醒する、って。僕は……絶句した。味方を、殴るなんて……できるわけ、ない。でも……アルフレート様は、"使いこなせれば、戦況が、大きく、変わる。よく、考えろ"、って。じいちゃん……僕は……どうすれば、いいんだろう。仲間を、傷つけてまで……力を、使うべきなのか……」



窓の外——裂けた、空と——二つの、月。



まだこの時の誠は知らない。この、"味方を、殴る"、という、受け入れがたい、方法が——やがて……彼と、仲間たちの、"信頼"、と、"覚悟"、を……試す……大きな、試練に、なることを。


そして——それを、乗り越えた、先に……この、戦いの……本当の、"反撃"、が……待っていることも——今はまだ、知る由もなかった。

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