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英雄は世界を救う。でも、世界を住みやすくするのは八百屋でした ~勇者も魔王も悪の組織も常連です~  作者: 伝説の男前
防衛

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第191話「何が、できる」

無力感に——打ちのめされた、まま。



誠は——数日間——ふさぎ込んでいた。



出店にも——立たず。



ただ——一人——高原の、隅で——膝を、抱えていた。




「僕に……何が、できるっていうんだ」




誠は——虚ろに——呟いた。




「戦えない。人も、救えない。ただ……皆に……頼ってるだけだ」






そんな、誠のもとに——エリナが——やってきた。




「あなた……。ずっと、ここに、いたのね」




「エリナ……」





エリナは——誠の、隣に——静かに、座った。




「無理も……ないわ。あんな、こと、あったんだもの」




「……僕は、無力だ。あの、人を……助けられなかった」





エリナは——しばらく——黙っていた。




そして——静かに——口を、開いた。




「ねえ、あなた。あの、少女……覚えてる?」



「少女?」




「あの夜……あなたが、必死に、誘導してた……大勢の、人たち」





エリナは——静かに、続けた。




「あの、人たちは……あなたの、声に、導かれて……逃げ延びたのよ」




「あなたが、いなかったら……もっと、たくさんの、人が……死んでたわ」





「でも……あの、瓦礫の、下の、人は……」




「救えなかった。ええ。それは……悲しいことよ」




エリナは——誠の、手を——握った。




「でも……あなたが、救った、命も……たくさん、あるの。それを……忘れないで」





誠は——エリナの、言葉を——静かに、聞いた。




「あなたはね……"力"、で、人を、救う、人じゃ、ないの」




エリナは——優しく、微笑んだ。




「あなたは……"繋がり"、で……人を、救う、人。皆を、繋いで……一人じゃ、救えない、命を……皆の、力で……救う、人なの」





「繋がりで……救う……」




誠は——その、言葉を——繰り返した。





「そうよ。あなた、一人の、力は……小さいかもしれない。でも……あなたが、繋いだ、皆の、力は……とても、大きい」




エリナは——静かに、続けた。




「あの夜、瓦礫を、どけられなかったのは……たまたま……皆が、他の、場所に、いたから。もし……皆が、そばに、いれば……あなたは……皆を、繋いで……あの、人も、救えたはずよ」





誠は——はっと、した。




「そうか……。僕、一人で……なんとか、しようと、してたから……救えなかったんだ」




「もし……皆と……繋がっていれば……」






その時——誠の、頭の中で——何か、が——閃いた。




「待てよ……。僕は……一人では、無力だ。でも……皆と、繋がれば……大きな、力に、なる」




「それって……僕の、"覚醒"、の、力と……似てないか?」





誠は——考えを、巡らせた。




「僕の、覚醒の、力は……"相手の、力を、引き出す"、力だ。僕、自身は……何も、しない。でも……相手の、眠っている、力を……呼び覚ます」




「僕は……"自分が、戦う"、んじゃ、なくて……"皆の、力を、引き出して、繋ぐ"、ことが……できるんだ」





誠は——立ち上がった。




「そうだ……! 僕が、無力なのは……当たり前なんだ。だって……僕の、力は……"自分で、戦う"、ための、力じゃ、ないんだから」




「僕の、力は……"皆の、力を、最大限に、引き出して……繋ぐ"、ための、力なんだ!」





エリナは——微笑んだ。




「気づいた、みたいね」




「うん……! ありがとう、エリナ! 僕……大事なことを……見落としてた!」





誠の、目に——再び——光が——戻った。




無力感は——消えた、わけでは、ない。




だが——その、無力さの、意味が——分かった、今。




誠は——自分の、"本当の、力"、に——向き合う、覚悟を——決めていた。





その夜、誠は、祖父のノートに、こう書き加えた。


「数日間、ふさぎ込んでた。でも……エリナが、来てくれた。"あなたが、救った命も、たくさん、ある。あなたは、力で、救う人じゃ、なくて……繋がりで、救う人"、って。"あの夜、瓦礫を、どけられなかったのは、皆が、他の場所に、いたから。皆と、繋がっていれば……救えたはず"、って。それで、閃いた。僕は、一人では、無力。でも、皆と、繋がれば、大きな力に、なる。それって……僕の、覚醒の力と、似てる。僕の力は、"自分が、戦う"、ための、力じゃ、ない。"皆の力を、引き出して、繋ぐ"、ための、力なんだ。僕が、無力なのは、当たり前。だって、僕の力は、そういう、種類の、力なんだから。エリナに、感謝だ。大事なことを、見落としてた。じいちゃん……僕の、本当の、力が……やっと、分かった気が、する」



窓の外——裂けた、空と——二つの、月。



まだこの時の誠は知らない。彼が、たどり着いた、この、気づき——"自分は、戦わず、皆の、力を、引き出して、繋ぐ"、こそが——やがて……敵を、倒す……"決定的な、答え"、へと……繋がっていくことを。


そして——その、力を……"味方に、使う"、という、発想が……もう、すぐ、そこまで……来ていることも——今はまだ、知る由もなかった。

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