第190話「誠の、無力」
答えを——探し続ける——日々。
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だが——答えが——見つからない、うちにも。
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戦いは——容赦なく——続いた。
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そして——その日——大きな、悲劇が——起きた。
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敵の——夜襲。
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太陽の、ない、夜。
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スライムの、レンズは——使えない。
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——ズドオオン! ズドオオン!
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光の柱が——避難民の、集落を——襲った。
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「きゃああっ!」
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「逃げろ! 早く!」
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「みんな! こっちへ!」
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誠は——必死に——人々を——誘導した。
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だが——闇の中の、混乱で。
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一人の、少女が——逃げ遅れた。
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「お母さん……! お母さん、どこ!」
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崩れかけた——建物の、そばで。
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少女が——泣き叫んでいた。
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「危ない!」
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誠は——駆け出した。
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少女の、上に——光の柱が——降ってこようと、していた。
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「間に合え……!」
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誠は——全力で——駆けた。
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だが——戦う、力の、ない——ただの、青年の、足では。
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——ズドオオン!
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「……!」
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間一髪——アルフレートが——飛び込み——少女を——抱えて、跳んだ。
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「ぐっ……!」
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アルフレートは——光の柱を——背中で、受けながらも——少女を——守り抜いた。
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「アルフレート様!」
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誠は——駆け寄った。
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「大丈夫だ……。少女も……無事だ」
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アルフレートは——少女を——そっと、降ろした。
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だが——その、時。
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別の、方向で——悲鳴が——上がった。
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「田中さん! あっちで……人が……!」
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誠は——振り返った。
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崩れた、建物の、下敷きに——数人の、避難民が——なっていた。
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「助けないと……!」
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誠は——駆け寄り——瓦礫を——どけようとした。
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だが——重い、瓦礫は——誠の、力では——びくとも、しなかった。
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「くっ……! 動かない……!」
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「グランデルさん! 力を……!」
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だが——グランデルは——別の、場所で——救助に、あたっていた。
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「田中! 今、行けん! そっちは……頼む!」
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「そんな……!」
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誠は——必死に——瓦礫を——押した。
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だが——動かない。
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戦う、力も——瓦礫を、どける、力も——誠には——なかった。
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「誰か……! 誰か、助けて……!」
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瓦礫の、下から——か細い、声が——聞こえた。
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「今……今、助けますから……! 待ってて……!」
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誠は——必死に——瓦礫と——格闘した。
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だが——非力な、その、手では。
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どうしても——間に合わなかった。
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やがて——瓦礫の、下の、声は。
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聞こえなく——なった。
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「……あ」
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誠は——立ち尽くした。
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助けられ——なかった。
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自分の、手が——届く、範囲に、いたのに。
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夜が——明けた。
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誠は——動けずに——いた。
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「僕は……無力だ……」
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誠は——自分の、手を——見つめた。
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「戦う、力も、ない。瓦礫を、どける、力も、ない。目の前で……人が、死んでいくのに……何も、できなかった……」
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「田中……」
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アルフレートが——静かに、声を、かけた。
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「お前の、せいでは、ない。あの、状況では……誰にも……」
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「でも……僕の、手が……届く、範囲に、いたんです」
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誠の、声は——震えていた。
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「なのに……僕には……何も……できなかった……」
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誠は——初めて——己の、"無力さ"、に——打ちのめされていた。
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繋がりを、大切に、してきた。皆を、支えてきた。
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だが——いざ、という、時。
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目の前の、命を——救う、力すら——自分には——なかった。
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その夜、誠は、祖父のノートに、こう書き加えた。
「夜襲が、あった。スライムの、レンズが、使えない、夜。避難民の、集落が、襲われた。少女は……アルフレート様が、救ってくれた。でも……崩れた、建物の、下敷きに、なった、避難民を……僕は、助けられなかった。瓦礫が、重くて……僕の、力じゃ、びくとも、しなくて。"誰か、助けて"、っていう、声が……だんだん、聞こえなく、なって……。僕の、手が、届く、範囲に、いたのに。何も、できなかった。僕は……無力だ。戦う力も、ない。瓦礫を、どける力も、ない。繋がりを、大切にしてきた。皆を、支えてきた。でも……いざ、って時、目の前の、命を、救う力すら、ない。アルフレート様は、"お前の、せいじゃない"、って。でも……悔しい。こんなに……悔しいことは、ない。じいちゃん……僕は……本当に……無力なんだ」
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窓の外——裂けた、空と——二つの、月。
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まだこの時の誠は知らない。この、"無力さ"、への、痛みこそが——やがて……彼を……"新たな、力"、へと……突き動かすことを。
そして——「自分では、何も、できない」、という、その、絶望が……逆に……"皆の、力を、引き出す"、という……彼、だけの、答えへと……繋がっていくことも——今はまだ、知る由もなかった。




