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英雄は世界を救う。でも、世界を住みやすくするのは八百屋でした ~勇者も魔王も悪の組織も常連です~  作者: 伝説の男前
防衛

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第186話「鬼族の、翼」

スライムが——"霧"、に、なる——訓練。



それは——予想通り——難航した。



「あ……! また、ばらけちゃう……!」




霧に、なった、スライムたちは——風に、流され——うまく——一箇所に——留まれなかった。




「集まろう、としても……ばらばらに……なっちゃうの」




皆瀬が——困ったように、揺れた。





「うーん……。空中で……形を、保つのは……難しいんだね」




誠は——考え込んだ。




「何か……霧を……支える、ものが……あればいいんだけど」





その時——グランデルが——ふと、言った。




「なあ、田中。ワシら、鬼族……昔は……"妖精族"、やったやろ?」



「うん。そうだね」




「妖精族の、時は……"羽"、が、あって……空を、飛べたんや。今は……鬼族に、なって……羽は、なくなったけど……」





グランデルは——自分の、背中を——見た。




「でも……なんとなく……"飛ぶ、感覚"、は……まだ、身体が……覚えとる、気が、するんや」





「飛ぶ、感覚……?」




誠は——はっと、した。




「グランデルさん! もしかして……鬼族の、皆さん……また……飛べるように……なれませんか!」





「え?」




「もし……鬼族が、飛べたら……空中で……スライムの、霧を……支える、"骨組み"、に……なれる!」




誠は——興奮して、続けた。




「鬼族が、空中で……位置を、保って……その、周りに……スライムの、霧が……集まれば……安定した、レンズが……作れるかも!」





「なるほど……! でも……ワシら……もう、飛べへんで?」




グランデルは——困った、顔を、した。





「そこで……僕の、力です!」




誠は——閃いた。




「僕の、体質は……"覚醒"、させる、力。相手を……進化させたり……本来の、力を……引き出したり、する」




「もしかしたら……鬼族の、皆さんの……"眠っている、飛ぶ、力"、を……呼び覚ませる、かもしれない!」





一同が——はっと、した。




「そうか……! 田中の、力は……回復、だけやない……! "覚醒"、の、力……!」





「試してみましょう! グランデルさん……失われた、"翼"、を……取り戻す、つもりで……!」




誠は——グランデルの、背中に——手を、当てた。




「グランデルさん……! "飛びたい"、って……強く、念じて、ください!」





「おう……! 飛ぶんや……! 昔みたいに……空を……!」




グランデルが——強く——念じた。





その、瞬間。




——ゴォォォォォォッ!!!





誠の、手から——眩い、光が——グランデルの、背中へと——流れ込んだ。




そして——





「な……! 背中が……熱い……!」




グランデルの、背中から——光の、"翼"、が——現れた。




かつて——妖精族、だった、頃の——翼の、記憶。




それが——鬼族の、巨体に——蘇ったのだ。





「うおおお! 飛べる……! ワシ……飛べるで……!」




グランデルが——ふわり、と——宙に、浮いた。




巨体が——光の翼で——空を、舞う。





「すごい……! グランデルさんが……飛んでる!」




誠は——歓喜した。




「僕の、力で……鬼族の……眠っていた、"翼"、を……呼び覚ませた!」





「わははは! これは……ええわ! 田中……お前の、力……ほんまに……すごいのう!」




グランデルは——空を、舞いながら——豪快に、笑った。






こうして——鬼族が——次々と——"翼"、を——取り戻していった。




空を、飛べる——鬼族。




彼らが——空中で——スライムの、霧を——支える、"骨組み"、に、なる。





「これで……運搬の、問題も……空中での、安定も……一気に……解決するかもしれない!」




誠は——希望を——見出した。





だが——同時に——誠は——気づいた。




(僕の、"覚醒"、の、力……。回復、だけじゃ、なくて……眠っている、力を……呼び覚ますことも……できるんだ)




(これは……もしかしたら……もっと……色々なことに……使えるんじゃ、ないか)





その、可能性に——誠は——少しずつ——気づき始めていた。





その夜、誠は、祖父のノートに、こう書き加えた。


「スライムが、霧に、なる、訓練は、難航した。空中で、形を、保てなくて、ばらける。でも……グランデルさんが、"鬼族は、昔、妖精族で、羽が、あって、飛べた。飛ぶ感覚は、まだ、身体が、覚えてる気が、する"、って。それで、閃いた。僕の、覚醒の力で……鬼族の、眠ってる、"飛ぶ力"、を、呼び覚ませないか、って。グランデルさんの、背中に、手を、当てて……"飛びたい"、って、念じてもらったら……光の翼が、現れて……グランデルさんが、飛んだ! 鬼族が、空中で、スライムの霧を、支える、骨組みに、なれる。運搬も、空中の安定も、一気に、解決するかも。それに……気づいた。僕の、覚醒の力は……回復だけじゃ、ない。眠ってる、力を……呼び覚ますことも、できる。これは……もっと、色々なことに……使えるんじゃ、ないか。じいちゃん……僕の、この、力……思ってたより……ずっと、大きな、力なのかもしれない」



窓の外——裂けた、空。



まだこの時の誠は知らない。彼の、"覚醒"、の、力が——回復や、翼だけでなく……仲間、一人一人の……"眠れる、可能性"、を……引き出せることを。


そして——その、力こそが……やがて……"総力戦"、で……皆の、力を……何倍にも、する……決定的な、切り札に、なることも——今はまだ、知る由もなかった。

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