表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
英雄は世界を救う。でも、世界を住みやすくするのは八百屋でした ~勇者も魔王も悪の組織も常連です~  作者: 伝説の男前
防衛

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
187/466

第185話「運ぶ者たちの、限界」

誠の——回復の、力が——誰にでも、効く。



その、発見は——大きな、希望だった。



だが——それでも——戦況は——好転しなかった。



根本的な——問題は——別に、あったからだ。




「田中……。正直に、言う」




ある日——藤原が——疲れ果てた、顔で、言った。




「うちら……龍族も、鬼族も……"運ぶ"、のが……限界に、近い」





「運ぶのが……限界?」




「そうや。スライムを、空へ、運んで……戦って……また、運んで……。一日中……その、繰り返しや」




藤原は——ため息を、ついた。




「田中くんが……回復させてくれるから……戦えとる。でも……"運ぶ"、体力までは……回復しきれへん」





誠は——はっと、した。




確かに——誠の、力は——傷を、癒し——体力を、回復させる。




だが——龍族や、鬼族が——スライムを、運ぶために、費やす——時間と、労力そのものは——減らせなかった。





「巨大な、レンズに、なると……運ぶ、スライムの、数も……膨大に、なる」




桜庭が——指摘した。




「それを……毎回……空へ、運んで……また、降ろして……。運搬だけで……一日の、大半が……終わってしまうの」





「そうか……。戦う、時間より……運ぶ、時間の方が……長くなってる……」




誠は——考え込んだ。





「なあ、田中」




グランデルが——言った。




「いっそ……スライムを……ずっと、空に……置いとく、わけには……いかんのか?」



「空に、置いとく?」




「そうや。毎回、運ぶから……大変なんや。最初から……空に、いてくれたら……運ぶ、手間が……省ける」





「でも……スライムは……自分では、飛べないよ」




誠は——首を、傾げた。




「それに……ずっと、空に、いたら……光の柱の、的に……なっちゃう」





「うーん……。それも、そうやな」




グランデルは——腕を、組んだ。





その時——皆瀬が——ぽつり、と、言った。




「あのね……。私たち……"雲"、に……なれないかな」




「雲?」




「うん。私たち……霧霊スライム、でしょう? もともと……霧みたいに……薄く、広がることも……できるの」





皆瀬は——静かに、続けた。




「もし……霧に、なって……空に、漂っていられたら……運んでもらう、必要が……なくなるかも」




「それに……霧なら……光の柱も……的を、絞りにくい、かも」





「それは……! すごい、発想だ!」




誠は——目を、輝かせた。




「スライムの、皆さんが……霧に、なって……空に、漂う。必要な、時だけ……集まって……レンズに、なる」




「そうすれば……運ぶ、手間が……なくなる!」





だが——皆瀬は——不安げに、揺れた。




「でも……やったこと、ないの。霧に、なるのは……できても……そのまま……空に、留まって……また、集まって、レンズに、なる……なんて」




「相当……難しいと、思う」





「そうだね……。すぐには……無理かもしれない」




誠は——静かに、頷いた。




「でも……それが、できれば……大きな、突破口に、なる。少しずつ……練習してみよう」





「うん……! やってみる!」




皆瀬は——前向きに、揺れた。






こうして——スライムが——"霧"、に、なって——空に、漂う。




その、新たな——挑戦が——始まった。




運搬の、限界を——越えるための——新しい、可能性。





「一つ、壁に、ぶつかっても……皆で、考えれば……必ず……次の、道が、見えてくる」




誠は——静かに、思った。




「これも……"繋がり"、の、力なんだ」





その夜、誠は、祖父のノートに、こう書き加えた。


「回復の力が、誰にでも効く、って、分かっても……戦況は、好転しない。藤原さんが、"龍族も、鬼族も、運ぶのが、限界に近い"、って。僕が、回復させても、"運ぶ"、労力そのものは、減らせない。巨大な、レンズだと、運ぶスライムも、膨大で……運搬だけで、一日の、大半が、終わる。グランデルさんが、"スライムを、ずっと、空に、置いとけたら"、って。でも、スライムは、飛べないし、的に、なる。そこで……皆瀬さんが、"私たち、霧に、なれないかな"、って。霧霊スライムだから、霧みたいに、薄く、広がれる。霧に、なって、空に、漂って……必要な時だけ、集まって、レンズに、なる。運ぶ手間が、なくなるかも。難しいけど……大きな、突破口に、なる。少しずつ、練習してみる。じいちゃん……一つ、壁に、ぶつかっても、皆で、考えれば、次の道が、見えてくる。これも、繋がりの力だ」



窓の外——裂けた、空。



まだこの時の誠は知らない。スライムが、"霧"、に、なって、空に、漂う、という、この、発想が——やがて……決戦で……空、全体を、覆う……巨大な、"仕掛け"、へと……発展していくことを。


そして——それが……敵の、"想定"、を、超える……重要な、一手に、なることも——今はまだ、知る由もなかった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ