第184話「グランデルの、負傷」
心を——繋ぎ直した——皆。
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その、翌日から——再び——戦いが——始まった。
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以前とは——少し、違った。
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数字に——一喜一憂するのでは、なく。
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「今日も……皆で、生き延びる。それだけを……考えよう」
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誠の、言葉に——皆は——静かに、頷いた。
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だが——戦いは——依然——過酷だった。
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その日——敵の、攻撃は——いつになく——激しかった。
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——ズドオオン! ズドオオン!
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光の柱が——次々と——降り注ぐ。
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「くっ……! 今日は……敵の、攻撃が……多い!」
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グランデルが——スライムを、運びながら——叫んだ。
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「田中! 早う、退避や! 危ない!」
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その、時。
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一本の——光の柱が——スライムを、運ぶ——グランデルの、方へ——降ってきた。
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「グランデルさん! 危ない!」
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グランデルは——とっさに——スライムを、庇った。
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自らの——巨体で——スライムを——包み込むように。
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——ズドオオン!
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光の柱が——グランデルの——背中を——掠めた。
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「ぐああっ!」
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「グランデルさん!」
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誠は——青ざめた。
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グランデルは——スライムを、抱えたまま——地上へ——落下していく。
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「藤原さん! 龍族の、皆さん! 受け止めて!」
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龍族が——すかさず——グランデルを——受け止めた。
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なんとか——地上に——降ろされた、グランデル。
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だが——その、背中は——ひどく——焼け、爛れていた。
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「グランデルさん! しっかり!」
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誠は——駆け寄った。
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「ぐっ……。すまん、田中……。油断、したわ……」
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「喋らないで! すぐ、手当てします!」
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誠は——祖父直伝の——薬草で——必死に——手当てを、した。
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だが——傷は——深かった。
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「これは……ひどい……」
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「田中くん……! 私を、庇って……!」
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グランデルに、庇われた、スライムが——悲痛に、揺れた。
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「私の、せいで……グランデルさんが……!」
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「違う!」
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グランデルは——苦しい、息の中で——言った。
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「お前を……守れて……良かった……。ワシは……鬼族や……力持ちが……取り柄、やからな……」
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誠は——胸が——締め付けられた。
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仲間を、守るために——グランデルは——自らを——犠牲にした。
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「グランデルさん……」
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誠は——ふと——ある、ことを——思った。
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「僕の、"回復"、の、力……スライムだけじゃ、なくて……グランデルさんにも……効かないかな」
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誠は——グランデルの——傷に——そっと、手を、当てた。
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「グランデルさん……治れ……! 治ってくれ……!」
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だが——
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「……あれ?」
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何も——起こらなかった。
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「なんで……? スライムは……治せたのに……」
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誠は——戸惑った。
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「田中くん……」
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皆瀬が——静かに、言った。
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「たぶん……グランデルさんは……"応戦"、してない、から」
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「応戦?」
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「私たちが、治ったのは……"生きたい、また戦いたい"、って、強く、思ったから。それが……"応戦"、みたいに、なった、って……言ったでしょう?」
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「そうか……。グランデルさんは……今……気を、失いかけてて……"戦う、意志"、が……」
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「グランデルさん!」
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誠は——必死に——呼びかけた。
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「諦めないで! まだ……戦えます! 立ち上がって……もう一度……スライムの、皆さんを……運んでください!」
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「田中……」
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グランデルの——薄れかけた、目に——わずかに——光が——戻った。
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「そうや……。ワシは……まだ……戦える……! 皆を……守るんや……!」
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その、瞬間。
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誠の、手が——グランデルの、身体を——
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——ゴォォォォッ!
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眩く——光らせた。
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「おお……!?」
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グランデルの——焼け爛れた、背中が——みるみる——癒えていく。
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「治って……いく……! 力が……戻ってくる……!」
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「効いた……! グランデルさんにも……効いたぞ!」
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誠は——歓喜した。
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やがて——グランデルは——完全に——回復し——立ち上がった。
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「わははは! 復活や! 田中……お前の、力……鬼族にも、効くやんけ!」
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誠は——重大なことに——気づいた。
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「僕の、回復の、力は……スライムだけじゃ、ない……。"戦う、意志"、さえ、あれば……誰にでも……効くんだ……!」
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その、発見は——大きな——意味を——持っていた。
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その夜、誠は、祖父のノートに、こう書き加えた。
「今日、グランデルさんが……スライムを、庇って、光の柱に、やられた。背中が、ひどく、焼けて……薬草でも、手に負えなかった。だから……僕の、回復の力を、試した。でも……最初は、効かなかった。皆瀬さんが、"グランデルさんが、応戦してないから"、って。気を失いかけてて、戦う意志が、なかったんだ。だから、必死に、呼びかけた。"諦めないで、まだ戦える"、って。そうしたら……グランデルさんの、目に、光が、戻って……僕の手が、光って……傷が、癒えた! 完全に、回復した! すごいことに、気づいた。僕の、回復の力は……スライムだけじゃ、ない。"戦う意志"、さえ、あれば……誰にでも、効くんだ。じいちゃん……これは……もしかしたら……すごく、大きな、意味を、持つ、力なのかもしれない」
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窓の外——裂けた、空。
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まだこの時の誠は知らない。彼の、回復の力が、"誰にでも効く"、という、この、発見が——やがて……戦況を、覆す……大きな、鍵に、なることを。
そして——それが……単なる、"回復"、を、超えた……もっと、大きな、可能性へと……繋がっていくことも——今はまだ、知る由もなかった。




