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英雄は世界を救う。でも、世界を住みやすくするのは八百屋でした ~勇者も魔王も悪の組織も常連です~  作者: 伝説の男前
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第182話「ジリ貧の、日々」

「別の……何か」



その、答えを——探しあぐねたまま。



ただ——時間だけが——過ぎていった。



そして——戦いは——文字通りの——"ジリ貧"、に——陥っていった。




毎日——毎日。




太陽が、昇れば——スライムたちが——レンズに、なり——敵を、撃ち落とす。




誠が——焦げた、身体を——回復させる。




鬼族と、龍族が——運び。虫人族と、忍者が——狙いを、定める。





だが——どれだけ、倒しても。




敵の、数は——減らない。




むしろ——少しずつ——増えていく。





「今日も……三十、倒した。でも……敵は……四十、増えた……」




桜庭が——疲れた、声で、言った。




「差し引き……十、増えた、計算に、なる……」





誠は——うなだれた。




どれだけ——頑張っても。




結果は——マイナス。




その、事実が——皆の、心を——少しずつ——蝕んでいった。






「なあ、田中……」




ある日——鬼族の、一人が——ぽつり、と、言った。




「これ……勝てるんか?」





誠は——言葉に——詰まった。




「……勝てるさ。諦めなければ」




「でもよ……。毎日……頑張っても……敵は、増える、ばっかりや。ワシら……何のために……戦っとるんや……?」





その、言葉に——周りの、仲間たちも——沈黙した。




皆——同じことを——感じていた。





出口の、見えない——戦い。




頑張っても、報われない——日々。




その、"ジリ貧"、の、状況は——皆の、心を——じわじわと——折っていった。





「くそっ……。こんなの……やってられるか……!」




一人が——道具を——投げ出した。




「どうせ……勝てないんだ……! 何を、やっても……無駄なんだ……!」





「待って……! 諦めないで……!」




誠は——必死に——呼びかけた。




だが——皆の、目には——もう——希望の、光が——薄れかけていた。






その夜。




誠は——一人——高原に——立っていた。




「じいちゃん……。僕は……どうすれば、いいんだろう」




誠は——夜空を——見上げた。




裂けた、空と——無数の、敵。





「みんな……心が……折れかけてる。僕も……正直……どうすれば、いいのか……分からない」




誠は——祖父に——語りかけた。




「力で……勝てない。数で……勝てない。じゃあ……何で……勝てば、いいんだ……」





その時——誠の、脳裏に——祖父の、言葉が——蘇った。




「誠。人ってのはな……一人じゃ……何も、できねえ」




「でもな……人と、人が……繋がれば……一人じゃ、できねえことも……できるように、なる」





「繋がれば……」




誠は——はっと、した。




「そうだ……。僕が……ずっと……大切にしてきたのは……"繋がり"、だ」





「今……皆の、心が……折れかけてる。バラバラに、なりかけてる」




誠は——考えた。




「まずは……その、"繋がり"、を……もう一度……取り戻さないと」




「力とか、数の、前に……皆の、"心"、を……繋ぎ直すんだ」





誠は——静かに——決意した。




「明日……皆と……話そう。勝ち負けの、前に……なぜ、僕たちが……戦うのか。何を……守りたいのか」




「その、"想い"、を……もう一度……繋ぎ直すんだ」





まだ——勝つ、方法は——見えない。




だが——誠は——一つ——大切なことに——気づき始めていた。




この、戦いで——本当に——守るべきものは。




勝ち負けよりも——まず——"皆の、繋がり"、なのだ、と。





その夜、誠は、祖父のノートに、こう書き加えた。


「戦いが、ジリ貧に、陥ってる。毎日、三十、倒しても……敵は、四十、増える。差し引き、マイナス。どれだけ、頑張っても、報われない。皆の、心が……折れかけてる。"何のために、戦っとるんや"、"どうせ、勝てない"、って。道具を、投げ出す、者も、出てきた。僕も、正直、どうすれば、いいのか、分からない。力でも、数でも、勝てない。じゃあ、何で、勝てば、いいんだ。でも……じいちゃんの、言葉を、思い出した。"人と、人が、繋がれば……一人じゃ、できないことも、できる"、って。そうだ。僕が、ずっと、大切にしてきたのは、"繋がり"、だ。今、皆の、心が、折れかけて、バラバラに、なりかけてる。まずは……その、繋がりを、取り戻さないと。勝ち負けの前に……なぜ、戦うのか、何を、守りたいのか。その想いを、繋ぎ直すんだ。じいちゃん……本当に、守るべきものは……まず、皆の、繋がりなんだね」



窓の外——裂けた、空。



まだこの時の誠は知らない。今、彼が、取り戻そうとしている、"皆の、繋がり"、こそが——やがて……"敵の、想定を、超える、別の、何か"、の……正体で、あることを。


そして——心を、繋ぎ直す、この、地道な、営みが……最終的に……世界を、救う、力に……なることも——今はまだ、知る由もなかった。

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