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英雄は世界を救う。でも、世界を住みやすくするのは八百屋でした ~勇者も魔王も悪の組織も常連です~  作者: 伝説の男前
防衛

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第179話「減らない、敵」

各地の——スライムへの——呼びかけが——始まった。



森川の、虫人族と——忍者が——各地の、湿地へ——散っていく。



「霧霊スライム族の、皆さん! 力を、貸してください!」




その、呼びかけに——各地の、スライムたちが——応え始めた。





続々と——スライムたちが——集まってくる。




その、数は——これまでの——何倍にも、なった。




「すごい……! こんなに、たくさん……!」




誠は——感激した。



⸻⸻


「これだけ、いれば……もっと、大きな、レンズが……作れる!」






早速——巨大な、レンズの、訓練が——始まった。




これまでの——何倍もの、スライムが——一つに、融合し——巨大な、レンズを、作り上げる。




「うわ……! でかい……!」




その、大きさは——見上げるほどだった。





「太陽の光を……集めて!」




巨大な、レンズに——太陽の光が——差し込む。




そして——これまでとは——比べ物にならない——強力な、光線が——放たれた。





——ヒュゴォォォォォォォッ!!!





その、光線は——敵の——一つでは、なく——




——パアン! パアン! パアン!





一度に——複数の、敵を——貫いた。





「やった……! 一度に……三つ、倒した!」




誠は——歓喜した。




「これなら……効率が……格段に、上がる!」






巨大な、レンズは——確かに——効果的だった。




一撃で——複数の、敵を——撃ち落とせる。




反撃の、ペースは——さらに——上がっていった。




「今日は……三十、倒せた!」



「昨日の、三倍だ!」





皆の、士気も——再び——上がっていった。





だが——




数日後——藤原が——また——偵察から、戻ってきた。




その、顔は——やはり——暗かった。




「田中くん……。悪い、知らせや」





「まさか……また……」




「そうや。……それでも……敵の、数は……減ってへん」





誠は——愕然と、した。




「三十も、倒してるのに……!?」



「敵の、"補充"、も……速くなっとる。うちらが、効率を、上げた、分……敵も……補充を、増やしとるみたいや」





一同に——深い——絶望が——広がった。




「僕たちが……頑張れば、頑張るほど……敵も……補充を、増やす……?」




「まるで……僕たちに……合わせてるみたいだ……」





誠は——ぞくり、とした。




敵は——ただ——無限に、補充してくる——だけでは、なかった。




こちらの、反撃の、ペースに——"合わせて"——補充を、調整している。




それは——まるで——こちらを——"見て"、いるかのように。





「なんて……賢い、敵、なんだ……」




誠は——戦慄した。





「田中」




アルフレートが——静かに、言った。




「敵は……こちらの、"限界"、を……見極めようと、しているのかもしれん」



「限界……?」




「我々が……どれだけ、頑張れるか。どこまで……もつか。それを……試している」




アルフレートは——険しい、顔を、した。




「そして……我々が……力尽きるのを……待っている」





誠は——言葉を——失った。




どれだけ——頑張っても。




どれだけ——工夫しても。




敵は——それに、合わせて——補充を、増やし——こちらが——力尽きるのを——待っている。





「これじゃあ……"持久戦"、で……勝てるわけが……ない……」




誠は——初めて——本当の、絶望を——感じ始めていた。





その夜、誠は、祖父のノートに、こう書き加えた。


「各地の、スライムに、呼びかけたら……何倍もの、仲間が、集まってくれた。巨大な、レンズを、作って……一度に、複数の、敵を、倒せるように、なった。一日に、三十も。士気も、上がった。でも……藤原さんが、また、偵察から、戻って……"それでも、敵の数は、減ってへん"、って。しかも……敵の、補充も、速くなってる。僕たちが、効率を、上げた分……敵も、補充を、増やしてる。まるで、僕たちに、合わせてるみたいに。アルフレート様は、"敵は、こちらの限界を、見極めて……力尽きるのを、待ってる"、って。どれだけ、頑張っても、工夫しても……敵は、それに、合わせて、補充を、増やす。これじゃあ……持久戦で、勝てるわけが、ない。じいちゃん……初めて……本当の、絶望を、感じ始めてる。力任せの、やり方じゃ……ダメなのかもしれない」



窓の外——裂けた、空と——減ることのない、無数の、敵。



まだこの時の誠は知らない。敵が、こちらに、"合わせて"、補充を、増やす……その、行動の、裏に——敵の、恐ろしい、"真の、目的"、が……隠されていることを。


そして——"力任せでは、勝てない"、という、この、絶望こそが……やがて……"別の、答え"、へと……皆を、導くことも——今はまだ、知る由もなかった。

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