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英雄は世界を救う。でも、世界を住みやすくするのは八百屋でした ~勇者も魔王も悪の組織も常連です~  作者: 伝説の男前
防衛

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第177話「誠の、薬湯」

スライムを——触れただけで——回復させた。



その、事実は——皆に——大きな、驚きを、与えた。



「もう一度……試してみます」




誠は——別の——焦げた、スライムに——そっと、触れた。





——ゴォッ!





やはり——スライムが、光り——みるみる——回復していく。




「治った……! また、治った!」





「間違い、ない……。僕の、"体質"、で……スライムを……回復させられる」




誠は——確信した。





「でも……なんで、今まで……気づかなかったんだろう」




桜庭が——不思議そうに、言った。




「田中くんの、体質は……前から、あったのに」





「うーん……」




誠は——考えた。




「前は……"戦いの、最中"、に……敵に、触れて……相手を、覚醒させて、暴走させる……そういう、"厄介な"、使い方、ばかりだったから」




「まさか……"味方を、回復させる"、なんて……考えたことも、なかった」





「なるほど……。同じ、力でも……"使い方"、次第、なのね」




桜庭は——感心したように、頷いた。





「でも……」




誠は——考え込んだ。




「僕の、体質は……本来……"応戦した、相手"、を……覚醒させる、ものだ。スライムの、皆さんは……僕に……応戦、してないのに……なんで、回復するんだろう」





皆瀬が——ぽつり、と、言った。




「もしかしたら……私たちが……"生きよう"、とする……その、意志に……反応してるのかも」




「え?」




「田中くんが、触れた、時……私たち、"治りたい"、"また、戦いたい"、って……強く、思ってたの。それが……"応戦"、みたいな、ものに……なったのかも」





「なるほど……」




誠は——納得した。




「"生きたい"、っていう、意志が……僕の、体質を……"回復"、の、力に……変えてるのかもしれない」






理由は——ともかく。




誠の、体質が——スライムを、回復させられる。




その、事実は——大きな、希望だった。




「これで……焦げた、スライムを……すぐに、回復させられる!」




誠は——興奮した。




「そうすれば……消耗を……気にせず……もっと、戦える!」





だが——




「でも……田中くん」




皆瀬が——気遣わしげに、揺れた。




「あなた……一人しか、いないでしょう? 一匹ずつ……触って、回復させるの……大変じゃ、ない?」





誠は——はっと、した。




確かに——誠は——一人。




無数の、スライムを——一匹ずつ——触れて、回復させるのは——気の、遠くなる、作業だった。





「そうか……。回復、できる、のは、分かった。でも……一人で……どうやって……たくさんの、スライムを……」





「田中殿」




その時——忍者が——静かに、言った。




「一つずつ、では……確かに、大変です。ですが……"工夫"、次第では……」



「工夫?」




「例えば……スライムたちが……一箇所に、集まっていれば……一度に……触れられるのでは?」





「あ……! そうか!」




誠は——閃いた。




「スライムの、皆さんは……融合、できる! 一つに、まとまってれば……僕が、触れれば……一度に……全員……回復できる、かもしれない!」





「試してみましょう!」




皆瀬たちが——焦げた、身体で——一つに、融合した。




誠が——その、塊に——手を、当てる。





——ゴォォォォォッ!





融合した——スライムの、塊、全体が——一斉に——光り——回復した。




「すごい……! 一度に……全員、治った!」





誠は——歓喜した。




「これだ……! これなら……大量の、スライムを……一度に、回復できる!」





「田中くん……! あなたの、力……本当に……すごい……!」




皆瀬が——感激したように、揺れた。





こうして——誠の、"回復"、の、力が——消耗戦を、戦い抜く——大きな、支えに、なり始めた。




かつては——"厄介"、でしか、なかった、体質。




それが——今——皆を、救う——"力"、へと——変わっていく。





その夜、誠は、祖父のノートに、こう書き加えた。


「僕の、体質で……スライムを、回復させられる、って、確信した。何度、試しても、治る。皆瀬さんが、"私たちが、生きようとする、意志に、反応してるのかも"、って。理由は、ともかく……焦げた、スライムを、すぐに、回復させられる。大きな、希望だ。でも……僕は、一人。一匹ずつ、触るのは、大変。そこで、忍者さんが、"一箇所に、集まってれば、一度に、触れられるのでは"、って。スライムの皆は、融合できる。だから、一つに、まとまって、僕が、触れたら……一度に、全員、回復した! これなら、大量の、スライムを、一度に、回復できる! かつては、厄介でしか、なかった、僕の、体質が……今、皆を、救う、力に、変わっていく。じいちゃん……ずっと、迷惑ばかり、かけてきた、この力が……こんな、形で、役に立つなんて。なんだか……不思議な、気持ちだよ」



窓の外——裂けた、空。



まだこの時の誠は知らない。この、"回復"、の、力が——スライムだけでなく……やがて……もっと、大きな、可能性を……秘めていることを。


そして——彼の、体質が……この、戦いの……本当の、"切り札"、に、なる日が……近づいていることも——今はまだ、知る由もなかった。

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