第176話「消耗という、代償」
消耗を——抑える、方法。
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それが——見つからないまま。
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戦いは——続いていった。
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誠たちは——なんとか——工夫を、凝らした。
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「一度に、全部の、スライムで、戦うんじゃ、なくて……交代制に、しよう」
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誠は——提案した。
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「半分が、戦って……半分が、休む。そうすれば……焦げた、身体を……回復させる、時間が、できる」
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「なるほど……! それなら……少しは……もつかも」
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皆瀬も——頷いた。
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こうして——交代制の——反撃が——始まった。
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半分の、スライムが——レンズと、鏡に、なって、戦い。
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もう半分が——後方で——焦げた、身体を——休ませ、回復させる。
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だが——それでも。
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「回復が……追いつかない……」
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皆瀬が——苦しそうに、揺れた。
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「自然に、任せてたら……焦げた、身体が、治るのに……何日も、かかるの」
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「でも……戦いは……毎日……」
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誠は——歯を、噛んだ。
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回復の、速度が——消耗の、速度に——追いつかない。
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このままでは——じりじりと——スライムたちの、数が——減っていく。
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「なんとか……回復を、早められないか……」
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誠は——必死に——考えた。
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栄養を、与える? 特別な、水に、浸す?
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色々——試してみた。
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だが——どれも——決定的な、効果は——なかった。
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そんな、ある日。
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一匹の——特に、ひどく——焦げた、スライムが——運ばれてきた。
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「この子……もう……動けなくて……」
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皆瀬が——心配そうに、揺れた。
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「このままだと……消えて、しまうかも……」
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誠は——その、スライムに——駆け寄った。
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「大丈夫か……!」
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思わず——誠は——その、焦げた、スライムに——手を、伸ばし——触れた。
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その、瞬間。
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——ゴォッ!
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「……!?」
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誠の、手が——触れた、スライムが。
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一瞬——眩く——光った。
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「え……!?」
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誠は——驚いて——手を、引いた。
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そして——目を、見張った。
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焦げていた、スライムの、身体が——
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みるみる——元の、透明な、姿に——戻っていく。
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「な……治ってる……!?」
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誠は——愕然と、した。
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「田中くん……! 今……何を……!?」
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皆瀬も——驚いて、揺れた。
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「わ、分からない……! 触っただけ、なのに……」
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回復した、スライムが——元気に——ぷるぷると、揺れた。
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「あれ……? 私……治ってる……! 力が、戻ってきた……!」
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一同は——呆然と——その、光景を、見つめた。
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誠が——触れただけで。
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死にかけていた、スライムが——完全に——回復した。
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「これは……一体……」
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誠は——自分の、手を——見つめた。
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そして——ある、ことを——思い出した。
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「まさか……あの、"体質"……!?」
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誠には——昔から——奇妙な、体質が、あった。
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誠が、触れて——相手が、応戦すると——なぜか——相手が、覚醒し——進化したり——全回復したり、する。
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これまで——猫や、ウサギや、ゴブリンが——覚醒して、暴走し——さんざん——迷惑を、かけてきた……あの、厄介な、体質。
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「まさか……あの、体質が……こんな、形で……役に、立つのか……!?」
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誠は——愕然と——そして——静かに——気づき始めた。
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その夜、誠は、祖父のノートに、こう書き加えた。
「スライムの、消耗を、抑えるために……交代制に、したけど……回復が、追いつかない。焦げた身体が、自然に治るのに、何日も、かかる。栄養を、あげたり、特別な水に、浸したり……色々、試したけど、決定的な効果は、なかった。でも……今日、すごいことが、起きた。ひどく、焦げて、動けなくなった、スライムに……思わず、手を、伸ばして、触れたら……その子が、光って……みるみる、元の、透明な、姿に、戻ったんだ! 完全に、回復した! 触っただけ、なのに。まさか……あの、"体質"、なのか。僕が、触れると、相手が、覚醒したり、全回復したり、する……あの、厄介な、体質。猫とか、ゴブリンとか、暴走させて、さんざん、迷惑かけてきた、あれ。まさか……あれが……こんな、形で……役に、立つのか。じいちゃん……信じられない。僕の、あの、体質が……皆を、救う、力に、なるかもしれない」
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窓の外——裂けた、空。
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まだこの時の誠は知らない。彼の、この、"厄介な、体質"、が——やがて……この、長い、戦いの……"決定的な、鍵"、に、なることを。
そして——散々、迷惑ばかり、かけてきた、その、力が……皆を、救う……最大の、"武器"、に、変わることも——今はまだ、知る由もなかった。




