第175話「焦げた、身体」
一つ、倒せた——手応え。
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それを——胸に。
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誠たちは——反撃を——続けていった。
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だが——そこには——大きな、"代償"、が——伴っていた。
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「皆瀬さん! 大丈夫ですか!」
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一撃を、放った、後——地上に、降りてきた、スライムたちを、見て——誠は——絶句した。
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スライムたちの——透明だった、身体が。
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一部——黒く——焦げていた。
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「これは……!」
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「太陽の光を……集める、時……ものすごい、熱が……身体に……」
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皆瀬が——苦しそうに、揺れた。
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「私たちの、身体で……光を、集めるから……その、熱で……身体が……焼けちゃうの」
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誠は——愕然と、した。
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太陽光を——集める、レンズ。
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それに、なる、ということは——その、凄まじい、熱を——自らの、身体で——受け止める、ということだった。
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「そんな……。皆さん……自分の、身体を……犠牲にして……」
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「大丈夫……。少し、休めば……治るから」
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皆瀬は——気丈に——そう、言った。
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「でも……何度も、続けると……」
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誠は——胸が——締め付けられた。
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敵を、倒すたびに——スライムたちは——自らの、身体を——焦がしている。
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これでは——長くは——続かない。
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「一撃、放つ、ごとに……こんなに、消耗する、なんて……」
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誠は——考え込んだ。
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「このままじゃ……スライムの、皆さんが……もたない」
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さらに——消耗は——スライムだけでは、なかった。
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「田中……。すまん……。ちょっと、休ませて、くれ……」
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スライムを——運び続けた、鬼族も。
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「うちも……さすがに……疲れたわ……」
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空を——飛び続けた、龍族も。
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皆——疲労が——蓄積していた。
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「みんな……無理を、させて……ごめん」
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誠は——申し訳なさで——いっぱいに、なった。
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「田中」
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アルフレートが——静かに、言った。
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「これが……戦いの、"現実"、だ」
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「アルフレート様……」
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「敵を、倒すには……代償が、いる。そして……その、代償を……いかに、抑えるかが……長期戦を……戦い抜く、鍵に、なる」
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誠は——静かに、頷いた。
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「消耗を……抑える、方法……」
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誠は——必死に——考えた。
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スライムの、身体が——焦げるのを——防ぐ、方法。
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あるいは——焦げた、身体を——早く、回復させる、方法。
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「回復……」
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その、言葉に——誠は——ふと——引っかかった。
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「傷ついた、スライムを……早く……回復させられれば……」
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「もっと、長く……戦える……」
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だが——スライムの、身体を——どうやって、回復させれば、いいのか。
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薬草は——スライムには——効かない。
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「うーん……。何か……スライムを……回復させる、方法は……」
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誠は——考え続けた。
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だが——その、時は——まだ——肝心な、答えに——気づかなかった。
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「とにかく……今日は……もう、休もう」
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誠は——皆に、言った。
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「無理を、続けたら……皆が、壊れてしまう。焦らず……身体を、休めながら……戦おう」
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「田中くん……。ごめんね。もっと……たくさん、倒せたら……いいのに」
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皆瀬が——申し訳なさそうに、揺れた。
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「そんな……! 皆瀬さんたちは……十分、頑張ってくれてる」
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誠は——優しく、言った。
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「君たちの、身体を……犠牲にしてまで……戦ってくれてるんだ。無理は……しないでほしい」
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だが——誠の、胸には——重い、焦りが——残った。
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一撃、放つ、ごとに——皆が、消耗する。
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この、ままでは——数万の、敵を、倒す、前に——味方が——先に、力尽きてしまう。
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「消耗を、抑える……。皆を、回復させる……。何か……方法が……あるはずだ」
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その夜、誠は、祖父のノートに、こう書き加えた。
「反撃を、続けたけど……大きな、代償が、あった。スライムの、皆の、透明な、身体が……太陽光を、集める、熱で……黒く、焦げてた。自分の、身体を、犠牲にして、光を、集めてくれてたんだ。鬼族も、龍族も……運搬で、疲れ果ててた。敵を、倒すたびに、皆が、消耗する。このままじゃ、数万の敵を、倒す前に……味方が、先に、力尽きてしまう。アルフレート様が、"代償を、いかに、抑えるかが、長期戦の、鍵だ"、って。消耗を、抑える方法……焦げた、スライムを、早く、回復させる方法。でも……薬草は、スライムには、効かない。何か……あるはずなのに……肝心なところで……思いつかない。じいちゃん……皆を、これ以上、犠牲にしたくない。何か……皆を、回復させる、方法が……あればいいのに」
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窓の外——裂けた、空。
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まだこの時の誠は知らない。彼が、探し求める、"スライムを、回復させる、方法"、が——実は……すでに……彼、自身の、中に……あることを。
そして——それに、気づく日が……もう……そこまで……近づいていることも——今はまだ、知る由もなかった。




