第174話「落ちた、一つ」
初めての、勝利に——沸いた、翌日。
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誠は——撃ち落とした、敵が——落下した、場所を——見に、行った。
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「これが……敵の、"残骸"、か」
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焼け焦げた、大地に——それは——横たわっていた。
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砕けた——金属の、物体。
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近くで、見ると——その、異様さが——より、はっきりと、分かった。
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「なんて……材質だ……。見たことも、ない」
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宮田が——残骸を——熱心に、観察した。
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「田中……。これは……この、世界の、金属じゃ、ない」
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「え?」
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「俺は……鉱物の、専門家だ。この、世界の、あらゆる、金属を……見てきた。でも……こんな、材質は……知らない」
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宮田は——難しい、顔を、した。
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「これは……"どこか、別の、場所"、で……作られた、ものだ」
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「別の、場所……」
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誠は——ぞくり、とした。
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「この、世界の、ものじゃ、ない、敵……。一体……どこから、来たんだ」
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宮田は——残骸を——さらに、調べた。
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「見ろ、田中。この、"表面"……」
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砕けた、物体の——一部。
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そこには——鏡のように——磨かれた——巨大な、"面"、が、あった。
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「これが……太陽の光を……集める、部分だな」
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「やっぱり……敵も……太陽光を……集めてたんだ」
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誠は——その、"面"、を——見つめた。
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それは——スライムたちが、なった——"レンズ"、と——同じ、役割を——果たすもの、だった。
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「僕たちと……同じ、原理で……敵も……太陽光を、集めてる」
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誠は——不思議な、気持ちに、なった。
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「敵と、僕たちが……同じ、"仕組み"、を、使ってる、なんて」
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「田中」
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宮田が——静かに、言った。
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「もう一つ……気になることが、ある」
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「なに?」
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「この、残骸……"一つ"、だけなのに……これだけの、大きさ、だ」
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宮田は——残骸を——見上げた。
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「そして……あれが……空に……数万、数十万……」
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誠は——言葉を——失った。
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「一つ、倒すのに……あれだけ……皆で、力を、合わせて……ようやく、だった」
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「なのに……あと……数万、数十万……」
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初めての、勝利の、喜びが——冷静な、現実の、前で——少しずつ——しぼんでいった。
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「一つ、倒しただけで……こんなに、消耗した」
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誠は——昨日の、戦いを——思い返した。
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スライムたちは——一撃を、放った、後——ぐったりと——疲れ果てていた。
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龍族も、鬼族も——運搬で——体力を、消耗していた。
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「この、ペースで……数万を、倒すには……一体……どれだけの、時間と……力が……」
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誠は——気が、遠くなる、思いに、駆られた。
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「田中殿」
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その時——忍者が——静かに、進み出た。
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「悲観する、ことは、ありませぬ」
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「え?」
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「昨日……我らは……"できない"、ことを……"できる"、ように、しました」
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忍者は——静かに、続けた。
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「これまで……手も足も、出なかった、敵に……初めて……一撃を……入れたのです」
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「ゼロが……一に、なった。それは……大きな、違いです」
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誠は——はっと、した。
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「そう……ですね」
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「数万は……確かに、多い。ですが……"倒せない"、のと……"倒せるが、時間が、かかる"、のは……全く……違います」
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忍者は——静かに、続けた。
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「あとは……いかに……"効率よく"、"数多く"……倒せるように、するか。それを……工夫すれば、よいのです」
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誠は——気を、取り直した。
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「そうだ……。落ち込んでる、場合じゃ、ない。一つ、倒せた、なら……次は……もっと、たくさん……倒す、方法を、考えよう」
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「一度に……たくさんの、レンズを……作る。もっと、大きな、レンズに、する。連携を……もっと、速くする」
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誠は——考えを、巡らせた。
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「工夫の、余地は……いくらでも、ある」
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初めての、勝利がもたらした——希望と、現実。
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だが——誠は——絶望に——沈むのではなく——次への、"改善"、へと——目を、向けた。
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その夜、誠は、祖父のノートに、こう書き加えた。
「撃ち落とした、敵の、残骸を、見に行った。宮田が、"これは、この世界の、金属じゃない。どこか、別の場所で、作られたものだ"、って。この世界の、ものじゃ、ない、敵。一体、どこから……。それに、残骸の、表面には……太陽光を、集める、鏡みたいな、面が、あった。敵も、僕たちと、同じ、原理を、使ってる。でも……宮田が、言った。"一つ、これだけの、大きさ。それが、数万、数十万"。一つ、倒すのに、あれだけ、皆で、消耗して、ようやく、だったのに。気が、遠くなった。でも……忍者さんが、"ゼロが、一に、なった。倒せないのと、倒せるが、時間が、かかるのは、全く、違う"、って。そうだ。落ち込んでる、場合じゃ、ない。もっと、効率よく、たくさん、倒す、方法を、考えよう。じいちゃん……希望と、現実。でも、僕は、前を、向くよ」
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窓の外——裂けた、空と——変わらず、果てしなく、浮かぶ、無数の、敵。
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まだこの時の誠は知らない。撃ち落とした、この、"一つ"、が——やがて……敵の、正体を、探る……重要な、手がかりに、なることを。
そして——"効率よく、倒す"、という、課題の、答えが……思わぬ、ところに……隠されていることも——今はまだ、知る由もなかった。




