第172話「初めての、反射」
決行の、朝が——来た。
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太陽が——昇り。
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戦場に——皆が——配置に、ついた。
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「みんな……準備は、いい?」
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誠は——皆に——確認した。
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「いつでも……大丈夫や」
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「準備、完了だ」
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作戦は——こうだった。
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まず——鬼族が——スライムたちを、乗せた、担架を、担ぐ。
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龍族が——それを——空へ、運び上げる。
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そして——安全な、高度で——スライムたちが——レンズと、鏡に、なる。
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虫人族と、忍者が——敵の、動きを、監視し——安全な、タイミングを、伝える。
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「行くで……! しっかり、掴まっとき!」
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藤原が——スライムを、乗せて——空へ、上がっていく。
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「田中くん! 私たち……頑張るから!」
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皆瀬の、声が——響いた。
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「うん! 気をつけて!」
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安全な、高度に——達すると。
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スライムたちが——担架から——降り——ゆっくりと——融合し始めた。
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「皆……! 心を、一つに……!」
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皆瀬の、号令で——スライムたちが——一つの、塊に、なっていく。
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そして——訓練通り——凸レンズの、形を——作り上げた。
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「よし……! 綺麗な、レンズだ!」
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地上から——見守る、誠が——歓声を、上げた。
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「森川! 敵の、位置は!」
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「今……ちょうど……レンズの、正面に……敵が、来てる! タイミングは……今だ!」
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「皆瀬さん! 今です! 太陽の光を……集めて!」
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誠が——叫んだ。
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スライムの、レンズに——太陽の光が——差し込む。
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そして——その、光が——レンズを、通って——一点に——集束していく。
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「集まってる……! 光が……!」
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集められた、光が——眩い——一条の、光線と、なった。
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「今……! もう一つの、鏡で……敵に、向けて……跳ね返して!」
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別の、スライムの、集団が——"鏡"、と、なり——集めた、光を——敵へと——反射した。
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——ヒュゴォォォォッ!
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集束された、光線が——天へと——放たれた。
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そして——敵の、一つに——向かって——一直線に——突き進んでいく。
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一同は——固唾を、呑んで——見守った。
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「当たれ……!」
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光線は——ぐんぐんと——上昇し——そして——
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その、結末を——皆が——息を、詰めて——見つめた。
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だが——
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「あ……! 逸れた……!」
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光線は——敵の、寸前で——わずかに——逸れた。
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そして——敵に、当たらず——虚しく——空を、貫いた。
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「外れた……!」
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一同に——落胆が——広がった。
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「くそっ……! あと、少し、だったのに!」
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「皆瀬さん! 大丈夫!?」
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誠が——叫んだ。
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「うん……! でも……狙いが……難しくて……」
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皆瀬の、声には——悔しさが——滲んでいた。
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「敵は……動いてる。それに……こんなに、遠いと……ほんの、少しの、ズレで……大きく、外れちゃう」
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誠は——考え込んだ。
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確かに——遠くの——動く、標的に——正確に、光線を、当てるのは——至難の、業だった。
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「狙いを……もっと、正確に、する、方法が……必要だ」
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その時——森川が——声を、上げた。
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「田中! 虫人族が……敵の、動きを……もっと、細かく……分析できる!」
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「敵が……次に、どこに、来るか……予測して……伝えれば……」
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「そうか……! 未来の、位置を……予測して……そこを、狙うんだ!」
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誠は——はっと、した。
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「森川! 頼めるか!」
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「任せて!」
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虫人族が——敵の、動きを——細かく、観察し——次の、位置を——予測する。
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その、情報を——忍者が——正確に——皆瀬たちに、伝える。
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「今度は……敵の、"進む先"、を、狙って! 三……二……一……今!」
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再び——スライムの、レンズが——光を、集め——鏡が——それを、放つ。
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——ヒュゴォォォォッ!
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光線は——敵の——"進む先"、へと——放たれた。
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そして——
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その、瞬間を——皆が——祈るように——見つめた。
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その夜、誠は、祖父のノートに、こう書き加えた。
「今日、初めての、反射を、決行した。鬼族が、運んで、龍族が、空へ、上げて……スライムの皆が、レンズに、なった。綺麗な、レンズだった。太陽の光を、集めて……鏡で、敵に、跳ね返した。光線は、敵に、向かって……でも……寸前で、逸れて、外れた。悔しかった。敵は、動いてるし、遠いから、ほんの少しの、ズレで、大きく、外れる。でも……森川が、"虫人族が、敵の、動きを、分析して……次に、どこに、来るか、予測できる"、って。未来の位置を、予測して、そこを、狙う。虫人族が、予測して、忍者が、伝えて……もう一度、敵の、"進む先"、を、狙って、撃った。結果は……まだ、分からない。じいちゃん……初めての、反射。成功するか、どうか……祈るような、気持ちだ」
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窓の外——裂けた、空。
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まだこの時の誠は知らない。この、二度目の、光線が——ついに……長い、防衛戦の……最初の、"手応え"、に、なることを。
そして——それが……皆の、心に……大きな、希望を……灯すことも——今はまだ、知る由もなかった。




